定期販売ラボby Shopi Lab D2C・定期通販の立ち上げと、続く仕組みの作り方
カート・システム

D2Cのカート・基幹システムをどう選ぶか — 汎用型と定期通販特化型の分かれ道

Shopifyのような汎用ECプラットフォームと、ecforceのような定期通販特化型では、得意な領域が違います。どちらを選ぶかの判断軸を整理します。

D2Cのカート選定でよく起きるのは、機能一覧を横に並べた比較表を作って、かえって判断できなくなることです。機能はどれも「ある」と書かれるので、差がつきません。

差がつくのは 何を標準で持っていて、何をアプリや開発で足す設計になっているか です。ここから見ると、選択肢は大きく2つの系統に分かれます。

システムの仕様と料金は頻繁に変わります。ここに書くのは判断の軸で、個別製品の現在の対応状況は必ず公式資料と実機のデモで確認してください。

2つの系統

汎用型ECプラットフォーム(Shopify など)

カートとしての土台が広く、定期購入などの機能はアプリで足す設計です。

  • 強み:立ち上げが速い。デザインの自由度が高い。海外展開や多チャネル販売に強い。アプリのエコシステムが大きい
  • 弱み:定期通販に固有の機能(引き上げ、同梱物制御、CRM連携、コールセンター運用)はアプリの組み合わせ次第。組み合わせが増えるほど、連携部分が壊れやすくなる

選定の要点はアプリ側にあります。詳細はShopifyで定期販売を始めるにまとめました。

定期通販特化型プラットフォーム(ecforce など)

日本の定期通販・単品リピート通販の運用を前提に作られた系統です。定期契約の管理、引き上げ、CRM、広告計測といった領域を標準側に持っています。

  • 強み:定期通販の運用に必要な機能が最初から揃っている。日本の商習慣・決済・法対応との噛み合わせが前提になっている
  • 弱み:汎用ECとしての自由度は汎用型に劣る。単品リピート通販の型から外れる売り方をしようとすると、逆にやりにくくなることがある

どちらを選ぶかの判断軸

判断軸汎用型が向く定期通販特化型が向く
商品点数多い(カタログ型)少ない(単品〜数SKU)
売上の主軸都度購入が中心定期契約が中心
獲得方法SEO・SNS・多チャネル広告主体、LPからの獲得
引き上げ・アップセルの重要度低〜中
コールセンター運用使わない/外部中核業務として回す
海外展開予定がある国内に集中
デザインの自由度重視する標準の型で回したい

判断が割れたときは、「事業の売上の何割が定期契約から来るか」で決めてください。 ここが高いほど特化型が効き、低いほど汎用型の自由度が効きます。

比較表を作るときの注意

ベンダーの資料をそのまま並べても判断できません。次の観点で聞き直してください。

「できる」の中身を分解する。 標準機能なのか、オプション費用なのか、開発が必要なのかで、実際のコストは桁違いになります。

費用を件数が10倍になった前提で試算する。 従量課金・売上連動の課金体系が多いため、立ち上げ時の金額で比較すると判断を誤ります。

運用に何人必要かを聞く。 機能があっても、それを回す人が要るなら人件費がかかります。同じ業務を何人で回している事例があるかを確認してください。

出口を確認する。 将来別のシステムへ移る場合、契約データとカード情報(トークン)を引き継げるかどうか。カードの再登録が必要な移行は、実質的に全顧客に一度解約してもらうのと同じです。ここは契約前に確認する価値があります。

選定を進める手順

  1. 立ち上げの意思決定の1〜5を先に固める(特に決済手段)
  2. 決済手段に対応するシステムだけに候補を絞る
  3. 自社の運用フローを1本、実機のデモで最初から最後まで通してもらう
  4. データのエクスポート形式を実際に出してもらう
  5. 件数10倍での費用を試算する

3が最も効きます。機能一覧ではなく、自社の注文が1件、受注から出荷、2回目の配送、周期変更、解約まで通るか を見てください。ここで詰まる部分が、そのまま導入後の運用課題になります。

どちらでもない選択肢

売上規模がまだ小さく、定期契約の比率も読めていない段階では、決め切らないという判断 もあります。都度購入で立ち上げてリピート率を実測し、定期化の見込みが立ってから特化型に移る、という順序です。

移行コストは発生しますが、間違った前提で作り込んだシステムを捨てるコストより小さいことがあります。

自社がどの段階にいるかは、グロース診断で整理できます。