定期販売ラボby Shopi Lab D2C・定期通販の立ち上げと、続く仕組みの作り方
D2C立ち上げ

D2C立ち上げで決める順序 — 商材から逆算する7つの意思決定

システム選定から入ると必ず手戻りします。商材の消費ペースを起点に、何をどの順で決めるかを整理します。

D2Cの立ち上げ相談で最初に出てくるのは、たいてい「カートは何を使えばいいですか」です。これは順序が逆で、この質問から入ると、決めたあとに前提が変わって作り直しになります。

決める順序には依存関係があります。上から順に固めてください。

1. 商材の消費ペースを測る

すべての起点はここです。顧客が1個をどれくらいの期間で使い切るか。

  • 消費ペースが読める(30日で1本、など)→ 定期便が成立する
  • 人によって大きくばらつく → 定期便は解約要因になる。都度+リピート導線を先に検討
  • 消費という概念がない(家具、家電)→ そもそも定期販売の対象外

ここが曖昧なまま定期モデルを組むと、「在庫が余った」を理由にした解約が構造的に発生します。詳しくは定期購入モデルの3類型に書いています。

2. 販売モデルを決める

消費ペースが決まると、取れるモデルが絞られます。定期便か、頒布会か、都度+リピートか。

このとき 併売するかどうか も同時に決めてください。「都度購入も定期購入も両方置く」構成は現実的ですが、価格差の根拠を説明できる必要があります。

3. 単価と原価構造を置く

粗利が1回あたりいくら残るかを出します。定期販売は毎回配送が発生するので、送料・決済手数料・梱包費を回数分引かないと数字が合いません。

1回あたり粗利 = 販売価格 − 原価 − 送料 − 決済手数料 − 同梱物・梱包費

この時点では継続率が分からないので、LTVはまだ確定しません。ただし 1回あたり粗利がマイナスなら、その先の計算をする意味はありません。 ここで止まるケースがあります。

4. 獲得チャネルを決める

広告なのか、SNSなのか、卸・店舗からの流入なのか。ここで決まるのは、CPAの相場と、集まる顧客の質です。

広告主体で立ち上げるなら、初回赤字を何か月で回収するかを先に決めてください。 LTVで黒字でも、回収に8か月かかるなら8か月分の広告費を先に払える資金が要ります。成長速度を決めるのはLTVではなく、回収期間と手元資金です。

計算手順はLTVから逆算する定期価格の決め方にまとめています。

5. 決済手段を決める

ここでようやくシステムの話に入りますが、カートより先に決済です。

理由は単純で、使いたい決済手段が定期課金に対応していなければ、カートを選んでも運用できない からです。コンビニ払い、キャリア決済、後払いを使いたい場合、定期での対応可否が制約になります。

あわせて次も確認します。

  • カード有効期限切れの自動追従に対応しているか
  • 決済失敗時のリトライ回数・間隔を設定できるか

ここが弱いと、顧客が離れていないのに契約が消えます(決済失敗を解約にしない)。

6. カート・基幹システムを決める

1〜5がすべて決まって、はじめて要件が確定します。

必要な機能は、ここまでの決定から逆算で出ます。定期便なら周期変更とスキップ、頒布会なら回ごとの商品差し替え、広告主体ならLP連携と計測、といった具合です。

選定の観点はD2Cのカート・基幹システムをどう選ぶかに分けて書きました。

7. 運用体制を決める

最後に、誰が何を回すかです。見落とされやすいのは次の3つです。

業務件数に比例して増えるか
受注・出荷指示システム化しないと比例して増える
問い合わせ対応(周期変更・解約)セルフサービス化の範囲で決まる
決済失敗のリカバリ自動化しないと比例して増える

定期販売は件数が積み上がるビジネスなので、比例して増える業務を最初に潰しておかないと、伸びた瞬間に運用が壊れます。 立ち上げ時点で件数が少ないと問題が見えないため、ここは意識的に確認してください。

手戻りが起きるパターン

順序を飛ばしたときの典型は次の2つです。

システムを先に決めた。 後から使いたい決済手段が対応していないと分かり、決済を諦めるかシステムを変えるかの二択になります。

価格を先に決めた。 継続率を測る前に初回価格を大きく下げてしまい、獲得は伸びたが回収が終わらない状態になります。値引きは、継続率を実測してからでも遅くありません。

立ち上げ時点で全部を精緻に決める必要はありませんが、順序だけは守ってください。