解約率の測り方 — 定期ECで最初に見るべき4つの指標
「解約率が高い」と言う前に定義を揃える。件数ベースと金額ベース、コホートの切り方、回数別の見方を整理します。

定期販売の相談で「解約率が高くて困っている」と言われたとき、まず聞き返すのは どう数えているか です。同じ事業の同じ月について、数え方だけで解約率が2倍違うことは珍しくありません。
指標を改善する前に、定義を確定させてください。
1. 件数ベースの月次解約率
もっとも基本的な指標です。
月次解約率 = その月に解約した件数 ÷ 月初の稼働件数
シンプルですが、注意点が2つあります。
分母に当月の新規を入れるかどうか。 入れると、新規が伸びている月ほど解約率が低く見えます。事業の実態を見るなら分母は月初の稼働件数に固定し、新規は別指標として並べるのが扱いやすいです。
「解約」の定義。 顧客が解約ボタンを押したもの(自発的解約)と、決済が通らずに止まったもの(非自発的解約)は、原因も打ち手もまったく違います。合算した数字は施策につながりません。必ず分けて数えてください。
非自発的解約は見落とされやすい
カード有効期限切れ、限度額超過、残高不足による停止は、顧客が離れたいわけではありません。ここは決済リトライと事前通知でかなり戻せる領域です。全体の解約のうち何割がここかを一度測ると、優先順位が変わることがあります。
2. 金額ベースの解約率(レベニューチャーン)
件数と金額は一致しません。安いプランばかり解約されているのか、高額プランが抜けているのかは、件数だけでは分かりません。
レベニューチャーン = 解約によって失われた月次売上 ÷ 月初の月次売上
件数ベースが横ばいでもレベニューチャーンが悪化しているなら、上位顧客が抜けています。これは打ち手の緊急度が違います。
3. コホート別の継続率
月次の全体解約率は、施策の効果を見るには鈍すぎます。獲得月ごとにグループ(コホート)を分け、獲得から何か月後に何%残っているかを追ってください。
| 獲得月 | 1か月後 | 2か月後 | 3か月後 | 6か月後 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | 72% | 61% | 55% | 46% |
| 5月 | 74% | 63% | 57% | — |
| 6月 | 79% | 68% | — | — |
※数値は表の見方を示すための例です。自社の実測値に置き換えてください。
この形にすると、「6月に入れた初回オンボーディングの改善が、1か月後の残存を効かせている」といった読み方ができます。全体解約率では、この差は過去のコホートに薄められて見えなくなります。
獲得チャネル別に分けると、さらに解像度が上がります。 広告経由と自然流入では継続率がまったく違うのが普通です。チャネル別の継続率を見ずにCPAだけで広告を評価すると、続かない顧客を高く買い続けることになります。
4. 回数別の離脱
定期販売の離脱は均等には起きません。ほとんどの事業で、初回から2回目のあいだ に最大の山が来ます。
回数別に「n回目を受け取った人のうち、n+1回目まで進んだ割合」を出してください。山がどこにあるかで打ち手が変わります。
- 1→2回目に集中 … 期待値のズレ。LPの訴求と現物、初回の体験設計を疑う
- 3→4回目あたり … 在庫が余っている。周期が消費ペースに合っていない
- 6回目以降でなだらか … 飽き。ラインナップやコミュニケーションの問題
まず作るべきもの
指標を4つ挙げましたが、最初から全部を整える必要はありません。順序としては次を勧めます。
- 自発的解約と非自発的解約を分けて数える
- 回数別の離脱率を出し、山の位置を特定する
- 獲得月×獲得チャネルのコホート表を作る
- レベニューチャーンを並べる
1と2だけでも、次に何をすべきかはかなり絞れます。
- 関連:初回解約を減らす


