D2CのKPIを3つに分解する — 獲得・継続・単価のどれが効いているか
売上を追うだけでは打ち手が決まりません。獲得件数・継続率・平均単価に分解し、どこが伸びていてどこが漏れているかを見る型。

D2C立ち上げの全体像D2C立ち上げで決める順序 — 商材から逆算する7つの意思決定
D2Cの数字を見るとき、売上を月次で並べても打ち手は決まりません。伸びていれば安心し、落ちていれば焦るだけで、次に何をすべきかが出てこないからです。
分解の型を1つ持っておくと、毎月の会議が「どこを直すか」の話になります。
売上を3つに分ける
定期販売の売上は、次の3つの掛け算で近似できます。
売上 = 稼働件数 × 平均単価 × 配送回数
そして稼働件数は、新規と既存の差し引きで決まります。
今月の稼働件数 = 先月の稼働件数 + 新規獲得 − 解約
つまり見るべきKPIは、獲得・継続・単価 の3つです。この3つに分けると、同じ「売上横ばい」でも中身がまったく違うことが見えます。
| パターン | 獲得 | 継続 | 単価 | 実態 |
|---|---|---|---|---|
| A | 増 | 悪化 | 横ばい | 穴の空いたバケツに注いでいる |
| B | 減 | 良好 | 横ばい | 獲得が止まっている。既存は健全 |
| C | 横ばい | 横ばい | 減 | 値引きに依存し始めている |
Aは広告を止めると一気に縮みます。Bは獲得さえ戻せば伸びます。Cは短期の売上は保てても粗利が痩せます。打ち手はまったく別物なのに、売上のグラフだけ見ていると区別がつきません。
獲得を見る
見るのは件数とCPAですが、それだけでは足りません。チャネル別に継続率まで見てください。
実質CPA = CPA ÷ (そのチャネルの2回目継続率)
広告経由のCPAが7,000円で2回目継続率が55%、自然流入のCPAが9,000円で継続率が78%なら、2回目まで残る1件あたりのコストは前者が約12,700円、後者が約11,500円です。CPAだけ見ると逆の判断になります。
続かない顧客を安く買い続けるのが、D2Cで最も多い失敗です。
継続を見る
全体の解約率ではなく、回数別 と 獲得コホート別 で見ます。
- 回数別 … 離脱の山がどこにあるか。ほとんどの事業で1→2回目に集中します
- コホート別 … 施策の効果が見えるのはこの形だけです
あわせて、自発的解約と決済失敗による停止を分けてください。原因も打ち手も別で、後者は通知とリトライで戻せます。
測り方は解約率の測り方に、初回の山への打ち手は初回解約を減らすにまとめています。
単価を見る
単価は、値上げ以外にも動かせます。
- 同梱・クロスセルで1回あたりの購入点数を増やす
- 年間プランなど、まとめ買いの選択肢を置く
- 送料・梱包費を下げて、粗利ベースの単価を上げる
3つ目は見落とされがちですが、毎回発生するので回数分効きます。 1回150円下げられれば、期待継続10回で1,500円のLTV改善です。これは初回割引を1,500円縮小するのと同じ効果を、CVRを落とさずに得ることに相当します。
毎月見る形にする
3つのKPIを、次の粒度で並べてください。
- 獲得 … チャネル別の件数・CPA・2回目継続率
- 継続 … 回数別の継続率、コホート別の1/3/6か月後残存、自発/非自発の内訳
- 単価 … 平均単価、1回あたり粗利、購入点数
この3ブロックが揃うと、毎月の議論が「今月どこが崩れたか」から始められます。逆に、この形になっていない状態でいくら会議をしても、原因の特定に時間が溶けます。
自社の3つのうちどこが弱いかは、グロース診断で当たりをつけられます。


