ecforce構築を外注するときの選び方 — 「実績があります」で決めない
構築の外注先は、制作会社の実績数ではなく、要件定義と公開後の運用まで見られるかで決まります。見積もりを取る前に確認すべき項目を整理します。

カート・システムの全体像D2Cのカート・基幹システムをどう選ぶか — 汎用型と定期通販特化型の分かれ道
ecforceの構築を外注するとき、「おすすめの会社◯選」を探しても決まりません。判断に必要な情報が、その形の記事には載っていないからです。
必要なのは会社のランキングではなく、自社の要件に対して誰が答えられるかを見分ける質問です。ここを整理します。
私たち Shopi Lab(運営:ウェブ・コロ株式会社)は ecforce partners の認定を受けており、構築・運用の支援を行っています。この記事は自社を含む外注先を選ぶ側の視点で書いています。
外注の範囲を先に決める
「ecforceの構築をお願いします」だけでは見積もりが揃いません。どこまでを頼むかで金額が数倍変わります。
| 範囲 | 内容 |
|---|---|
| 要件定義 | 定期のサイクル・引き上げ・締切・解約導線を決める |
| デザイン・実装 | サイトとLPの制作 |
| 初期設定 | 商品・定期コース・決済・メールの設定 |
| データ移行 | 既存カートからの契約・顧客・カード情報の移送 |
| 外部連携 | 物流・広告計測・MA・基幹システム |
| テスト | 業務フローの通し確認 |
| 公開後の運用 | 数字を見て直し続ける |
分かれ目は最初と最後です。
要件定義を外注先に任せるのか、自社で決めて実装だけ頼むのか。ここが曖昧なまま進むと、「言われた通りに作ったが業務が回らない」になります。
公開後の運用を頼むのかも先に決めてください。作って終わりの契約だと、公開1か月後に出てくる問題を誰も直しません。
構築そのものの進め方はecforce構築の進め方に整理しています。
見積もり前に確認する6つ
1|定期通販の運用を分かっているか
最も重要です。 ecforceが触れることと、定期通販の運用が分かっていることは別です。
聞き方:
- 「初回解約を減らすために、構築段階で何をしますか」
- 「引き上げをどの経路で作るのがいいと思いますか」
- 「決済失敗の再試行は何回に設定していますか」
答えの正しさより、具体的に答えられるかを見てください。 実装だけの会社は、ここで一般論に逃げます。
2|表示義務を理解しているか
改正特定商取引法では、申込みの最終確認画面に定期の条件を表示する義務があります。分量、価格、支払総額、引き渡し時期、解約の条件、申込期間。
「最終確認画面の表示要件をどう実装しますか」と聞いてください。知らない相手に作らせると、公開後に作り直しになります。 要件は定期販売の表示義務にまとめました。
健康食品・化粧品なら薬機法も絡みます。LPの表現をチェックする体制があるかも確認してください。
3|移行の経験があるか
既存カートからの移行がある場合、カードのトークンを引き継げるかが最大の関門です。
- 「移行元の決済代行会社から、トークンを引き継いだ経験はありますか」
- 「引き継げない場合、どう進めますか」
ここを「調べます」で止まる相手とは、移行を伴う案件は進めないほうが安全です。定期通販のカート移行で失敗する順序を参照してください。
4|公開後に誰が見るか
- 公開後、数字を見る定例はあるか
- 障害が出たときの一次窓口はどこか
- 担当者が変わったときの引き継ぎはどうなるか
定期通販は公開してからが本番です。 最初の定期サイクルが回る1〜2か月後に、想定と違う挙動が出ます。そこに誰がいるかを確認してください。
5|自社の商材・規模の事例があるか
「同じ商材で、月間◯件くらいを回している構築の実績はありますか」。
実績数ではなく、自社に近い実績があるかです。 100社の実績があっても、全部がアパレルなら健康食品の定期には効きません。
6|見積もりの内訳が出るか
一式いくら、ではなく、上の表の範囲ごとに分かれた見積もりを出してもらってください。内訳が出ない見積もりは比較できません。
相見積もりの取り方
複数社に依頼するなら、同じ条件を渡してください。 条件が揃っていないと、金額の差が何の差なのか分かりません。
渡すもの:
- 商材とSKU数
- 定期のバリエーション(サイクル・回数・価格)
- 12か月後の想定月間受注件数
- 既存システムと移行の有無
- 必要な外部連携
- 公開希望時期
- 社内で運用に何人使えるか
最後の項目を必ず入れてください。 運用体制が薄いなら、その前提で設計が変わります。伝えないと、回せない仕組みが出来上がります。
安い見積もりが安くない場合
金額だけで選ぶと、次のどれかが起きます。
要件定義が入っていない。 決めるのは自社、という前提の見積もりです。決められる人が社内にいるなら問題ありませんが、いないなら結局追加費用がかかります。
テストが入っていない。 業務フローの通し確認を自社でやることになります。定期通販は確認項目が多く、抜けると公開後に顕在化します。
公開後が入っていない。 一番問題が出る時期に誰もいません。
移行の見積もりが甘い。 データ移行は既存環境で作業量が変わります。「一式」で出ている見積もりは、着手後に増えることがあります。
自社でやるか外注するか
外注が常に正解ではありません。次に当てはまるなら自社でも進められます。
- 定期の要件が標準の型に収まる(特殊なサイクルや価格体系がない)
- 既存カートからの移行がない、または契約数が少ない
- 管理画面を触れる担当者を置ける
- 公開時期に余裕がある
逆に、移行を伴う場合と、法対応の判断が要る場合は、経験のある相手を入れるほうが結果的に速くなります。
よくある質問
Q. ecforceの構築費用の相場はどのくらいですか
範囲によって変わるため、相場という形では出せません。要件定義を含むか、移行があるか、LPを何本作るか、公開後の運用を含むかで数倍変わります。範囲ごとに分かれた見積もりを取ってください。
Q. ecforce partners の認定があれば大丈夫ですか
認定は前提条件であって、判断基準にはなりません。認定を持つ会社の中から、定期通販の運用を分かっているか、自社の商材の実績があるかで選ぶことになります。
Q. 制作会社と運用会社は分けるべきですか
分けると、公開後に出た問題の責任範囲が曖昧になります。分けるなら、引き継ぎの範囲と障害時の一次窓口を契約時に決めてください。
Q. 自社で構築することはできますか
要件が標準の型に収まり、移行がなく、管理画面を触れる担当者がいるなら進められます。移行を伴う場合と、法対応の判断が要る場合は経験のある相手を入れるほうが安全です。
Q. 見積もりを比べるとき何を見ればいいですか
金額の総額ではなく、範囲の内訳です。要件定義・テスト・公開後の運用が入っているかを確認してください。安い見積もりは、この3つのどれかが抜けていることが多くなります。


