D2C支援会社の選び方 — 何を任せて、何を自社に残すか
「D2C支援サービス」は一気通貫型と機能特化型に分かれ、向く場面が違います。契約前に決めるべき範囲と、判断を誤りやすい落とし穴を整理します。

D2C立ち上げの全体像D2C立ち上げで決める順序 — 商材から逆算する8つの意思決定
「D2C支援サービス」という括りで検索すると、サイト構築・広告運用・CRM・物流・OEMまでを一手に引き受ける会社と、どれか一つに特化した会社が同じ土俵に並びます。この2つは向く場面がまったく違うため、比較する前に自社がどちらを必要としているかを決めてください。
私たち Shopi Lab(運営:ウェブ・コロ株式会社)は ecforce partners および Shopify Select Partner の認定を受けており、D2Cのカート構築・運用支援を行っています(2026年9月時点、認定内容は各社公式ページでご確認ください)。この記事は自社を含む支援会社を選ぶ側の視点で書いています。
2つの型を先に区別する
一気通貫型(オールインワン)
サイト構築、広告運用、CRM、物流、時にはOEMの手配まで、1社で完結させる契約です。
- 向く場面:立ち上げ初期で、社内に各機能の担当者がまだいない。まず動かすことを優先したい
- リスク:機能ごとの質が見えにくくなる。広告の実績と物流の実績を、同じ営業担当の説明でしか確認できないことが多い
機能特化型
EC構築だけ、広告運用だけ、物流だけを請け負う会社です。
- 向く場面:社内に他の機能を回せる担当者がいて、弱い部分だけを補いたい
- リスク:機能間の連携が自社の責任になる。広告とLPの担当が別会社だと、数字が合わない原因の切り分けに時間がかかります
どちらが正しいという話ではありません。 自社の立ち上げフェーズと社内体制で決まります。順序としては、D2C立ち上げで決める順序で商材・モデルを固めたあとに、この選択に進むのが手戻りが少ない流れです。
契約前に決める3つ
1|どこまでを任せるか、範囲を書き出す
「D2C支援」という言葉だけでは範囲が確定しません。次の単位で、任せる/自社でやる/未定、を仕分けてください。
| 機能 | 任せる | 自社 | 未定 |
|---|---|---|---|
| 商品企画・OEM選定 | |||
| サイト構築・LP制作 | |||
| 広告運用・クリエイティブ | |||
| CRM(ステップメール・同梱物) | |||
| 受注管理・物流 | |||
| カスタマーサポート | |||
| 数値のレポーティング・改善提案 |
「未定」を契約前に必ず埋めてください。 ここが曖昧なまま契約すると、公開後に「それはこちらの担当だと思っていた」という空白が出ます。
2|契約形態と、成果報酬の対象を確認する
D2C支援サービスには、月額固定・成果報酬(売上や広告費の一定率)・その組み合わせがあります。
- 成果報酬の対象が初回売上なのか、継続後の売上なのかを確認してください。初回売上が対象だと、支援会社の利害が「初回のCVRを上げること」に偏り、初回解約が増える設計を勧められることがあります
- 広告費に対する運用手数料がある場合、率と、広告費が増えたときの実質負担を計算してください
- 最低契約期間と、途中解約の条件
3|乗り換え時にデータを引き継げるか
一気通貫型で契約すると、顧客データ・広告のクリエイティブ資産・カートの設定が、その支援会社の環境に閉じることがあります。
- 契約終了時、顧客・注文データをどの形式で受け取れるか
- 広告アカウントの所有者は自社か、支援会社か
- カートやMAツールが支援会社独自の契約になっていないか(カート・基幹システムの選び方にも関わります)
入るときにしか聞けない質問です。 契約前に確認してください。
実績の見方
「導入実績◯社」という数字は、比較の役に立ちません。見るべきは次の2点です。
- 自社に近い商材・規模の実績があるか。 100社の実績があっても大半がアパレルなら、健康食品の定期販売には効きません
- その実績のどこまでをその会社が担当したか。 一気通貫と謳っていても、実際は広告運用だけを担当し、構築は別会社という体制のことがあります
具体的に聞く質問の例は「同じ商材ジャンルで、月間何件程度の定期契約を今運用していますか」「その案件で御社が担当していない部分はどこですか」です。答えが具体的かどうかで、実務の解像度が分かります。
自社でやったほうがいいケース
外部の支援会社を入れない、あるいは最小限にとどめたほうがよいのは次の場合です。
- 定期の要件が標準的な型に収まり、特殊なサイクルや価格体系がない
- 社内にECの運用経験者がいて、日々の数値を見る体制を作れる
- 立ち上げまでに時間の余裕があり、内製で立ち上げながら学習できる
逆に、法令対応の判断が絡む場面(特定商取引法の表示義務、薬機法・景品表示法)は、経験のある支援会社を部分的にでも入れたほうが、公開後のやり直しを避けられます。
よくある質問
Q. 一気通貫型と機能特化型、どちらから検討すべきですか
社内に各機能の担当者がいるかで決めてください。誰もいないなら一気通貫型で立ち上げの速度を優先し、いるなら弱い機能だけを機能特化型で補うほうが、費用対効果も実績の検証もしやすくなります。
Q. 成果報酬型の契約で注意すべき点は何ですか
成果報酬の対象が初回売上か継続後の売上かを確認してください。初回売上が対象だと、支援会社の利害が短期のCVR最大化に偏り、初回解約が増える設計を勧められることがあります。
Q. 「D2C支援実績◯社」という数字はどう評価すればいいですか
実績数そのものではなく、自社に近い商材・規模の実績があるか、その実績のどこまでをその会社が担当したかを確認してください。一気通貫と謳っていても、実際の担当範囲は限定的なことがあります。
Q. 契約を途中で解約する場合、何を確認しておくべきですか
顧客・注文データを引き継げる形式で受け取れるか、広告アカウントの所有者が自社か支援会社か、カートやMAツールが支援会社独自の契約になっていないかです。入る前に確認しておかないと、乗り換えが実質的にできなくなります。
Q. 自社だけで立ち上げることはできますか
定期の要件が標準的な型に収まり、社内にEC運用の経験者がいて、立ち上げまでに時間の余裕があるなら可能です。ただし法令対応の判断が絡む部分は、経験のある支援会社を部分的にでも入れたほうが安全です。



