定期販売ラボby Shopi Lab D2C・定期通販の立ち上げと、続く仕組みの作り方
受注・物流・CS

D2Cの出荷体制をどう選ぶか — 自社出荷と外部倉庫の分かれ目

出荷を自社で持つか、外部倉庫(3PL)や製造委託先からの直送に任せるかは、出荷件数・同梱物の複雑さ・初期投資の体力で分かれます。切り替えの判断軸と、外部に任せる際に確認すべき点を整理します。

D2Cの立ち上げで物流の相談を受けるとき、最初に聞かれるのはたいてい「倉庫は自社と外部、どちらがいいか」です。この質問には正解が1つあるわけではなく、件数・同梱物の複雑さ・投資に回せる体力の3つで答えが変わります。

定期通販の物流でつまずく4か所では在庫・出荷指示・同梱物・返品の運用上の注意点を、受注管理をカートから分ける判断ではOMSを入れる境目を書きました。ここでは、その手前にある出荷そのものをどこが担うかの選び方を整理します。

選択肢は3つ

1. 自社出荷

自社の拠点で在庫を持ち、梱包・出荷まで社内で行う体制です。

  • 強み:同梱物の出し分けや梱包の細かい調整を、外部との調整なしに変更できる。出荷にかかる限界コストが低い
  • 弱み:件数が増えると人員も比例して増える。繁忙期の波に人手で対応する必要がある

2. 外部倉庫(3PL)への委託

在庫の保管と出荷作業を外部の倉庫会社に委託する体制です。

  • 強み:件数の増減を自社の採用に依存せず吸収できる。複数拠点化やピーク対応も委託先の設備次第で可能
  • 弱み:同梱物の出し分けや急な仕様変更が、委託先の対応範囲を超えると通らない。倉庫側との契約・連携コストが発生する

3. 製造委託先(OEM先)からの直送

OEM先や卸元の倉庫からそのまま顧客に出荷してもらう体制です。立ち上げ初期、在庫を自社・外部倉庫のどちらにも積みたくない場合に選ばれます。

  • 強み:在庫を二重に持たずに済み、初期投資を抑えられる
  • 弱み:同梱物の同梱、返品対応、複数商品の同梱出荷など、定期通販特有の要件に対応できないことが多い。出荷精度も委託先の体制に依存する

判断軸

判断軸自社出荷が向く3PLが向くOEM直送が向く
出荷件数少〜中(人手で回せる)多い、または急増が見込めるごく少数(立ち上げ初期)
同梱物の複雑さ高い(細かい出し分けが必要)中〜高(委託先の対応範囲内なら可)低い(同梱なし・単品中心)
初期投資の体力拠点・人員への投資が必要委託費用が主で初期投資は抑えられる投資はほぼ不要
繁忙期の波人員でカバーできる範囲まで委託先の設備でカバーしやすい対応が読みにくい
成長速度への追従人を増やし続けられるかが制約契約範囲内なら追従しやすい拡大とともに限界が来やすい

判断が割れたときは、「同梱物の出し分けが必須かどうか」で見てください。 出し分けが必須なら自社出荷か、対応できる3PLに絞られます。単品でシンプルな出荷なら、OEM直送や標準的な3PLでも十分です。

商品開発の段階での同梱物設計はD2Cの商品開発で決めること、同梱物そのものの設計は同梱物の設計にまとめています。

自社出荷から3PLに切り替えるサイン

次のどれかに当たったら、切り替えの検討時期です。

  • 受注1件あたりの出荷作業時間が、件数の増加とともに下がらなくなった
  • 繁忙期に、既存人員では出荷が締切に間に合わなくなった
  • 拠点を増やす必要が出たが、自社での多拠点運用は現実的でない

「出荷が遅れてから検討する」のではなく、上のサインが出た時点で3PLの選定を始めてください。 委託先の契約・連携構築には一定の期間がかかるため、遅れが出てから動くと間に合いません。

3PLに委託するときに確認すること

委託先を比較する際、パンフレット上の機能一覧だけでは判断できません。次を実機・実データで確認してください。

  • 契約情報(回数・プラン)を出荷指示に含められるか。 同梱物の出し分けや、決済状況に応じた出荷可否の判断に必要です
  • 在庫情報がどのくらいの頻度で共有されるか。 リアルタイムでないと、複数チャネル展開時に売り越しが起きます
  • 自社のカート・OMSとのデータ連携が、実際にどの形式で行われるか。 API連携なのか、ファイル授受なのかで運用負荷が変わります
  • 返品・戻り品の情報が、こちらに戻ってくる仕組みがあるか。 戻り品を放置すると顧客対応が遅れます
  • 少量多頻度の出荷に対する料金体系。 単発通販向けの料金表のままだと、定期の少量出荷ではコスト効率が悪くなることがあります

料金・機能は委託先ごと、契約時期ごとに変わるため、ここでは個別の金額は挙げません。候補先には自社の想定件数・同梱パターンを渡した上で、実際の見積りとデモを取ってください。

判断の順序

  1. 現在(または想定する)出荷件数と、同梱物の出し分けが必須かを整理する
  2. 同梱物の出し分けが必須なら、自社出荷か対応可能な3PLに絞る
  3. 単品でシンプルな出荷なら、立ち上げ初期はOEM直送も選択肢に入れる
  4. 自社出荷を選ぶ場合、切り替えのサイン(作業時間・繁忙期対応・拠点数)を先に決めておく
  5. 3PLを選ぶ場合、契約情報の連携・在庫共有頻度・データ連携形式を実機で確認する

4を決めずに自社出荷を始めると、切り替えの判断が「出荷が遅れてから」になります。 立ち上げ時点で、どうなったら見直すかの基準を持っておいてください。

よくある質問

Q. 立ち上げ初期はどの体制がよいですか

同梱物なしの単品販売なら、OEM直送か小規模な自社出荷から始めるのが現実的です。件数が読めない段階で3PLと契約すると、最低出荷件数などの条件が負担になることがあります。

Q. 3PLに切り替えるタイミングの目安はありますか

件数の閾値だけでは決まりません。受注1件あたりの出荷作業時間が件数増加とともに下がらなくなったか、繁忙期に人員で対応しきれているかで判断してください。

Q. OEM直送のまま定期通販を続けることはできますか

単品でシンプルな出荷が続く限りは可能です。ただし同梱物の出し分けや複数商品の同梱が必要になった時点で、自社出荷か3PLへの切り替えを検討することになります。

Q. 3PLの委託費用は自社出荷より安くなりますか

件数や同梱パターンによって変わるため、一概には言えません。少量多頻度の出荷は単発通販向けの料金体系だと割高になることがあるため、自社の出荷パターンを渡した見積りで比較してください。

Q. 同梱物の出し分けができない3PLを選んでしまった場合、どうすればよいですか

出荷前の仕分け作業を自社側で行うか、対応可能な委託先への切り替えを検討してください。委託先の対応範囲を超える出し分けを無理に依頼すると、誤出荷のリスクが上がります。