同梱物の設計 — 何を入れると継続率が動くか
箱を開けた瞬間だけは全員が見ます。冊子を厚くするのではなく、次の行動を1つに絞る同梱物の作り方。

CRM・リピート施策の全体像定期通販のステップメール設計 — 送る順番と回数の決め方
同梱物は、定期通販で唯一「全員が必ず目にする」接点です。メールは開かれないことがあり、マイページは訪問されないことがありますが、箱は必ず開きます。
にもかかわらず、内容が「会社案内とクーポンと商品カタログ」で固定されている事業者が多い。接点の価値に対して、使い方が雑になりやすい場所です。
開封時に起きていること
顧客は箱を開けた瞬間、次の順で確認します。
- 頼んだものが入っているか
- どう使うか
- (余裕があれば)それ以外
3に到達する人は多くありません。 冊子を厚くしても読まれないのは、注意の総量が決まっているからです。
したがって同梱物の設計は「何を足すか」ではなく 「何を捨てるか」 の作業になります。
初回に入れるもの
初回の目的はひとつです。使い始めてもらうこと。
| 入れるもの | 目的 | 分量 |
|---|---|---|
| 使い方(1枚) | つまずきを消す | A5片面 |
| 次回配送日と変更方法 | 「知らなかった」を消す | 使い方の裏面 |
| 問い合わせ先 | 不安の受け皿 | 同上 |
これだけです。会社案内、商品カタログ、他商品のチラシは初回に入れないでください。 使い始めの妨げになります。
使い方の書き方
冊子ではなくA5一枚。書くのは3つ。
- いつ、どれくらい使うか
- よくある間違いを1つ
- 効果を感じるまでの目安
3つ目は書かれていないことが多いのですが、短期解約を減らす効果が大きい項目です。期待値のズレを埋める話は初回解約を減らすにまとめています。
2回目以降に入れるもの
初回を乗り越えた顧客には、別の目的が生まれます。
| 回 | 目的 | 入れるもの |
|---|---|---|
| 2回目 | 習慣化 | 使い続けた人の変化、続け方のコツ |
| 3〜4回目 | 在庫調整の提案 | 周期変更の案内(余っていませんか) |
| 5回目以降 | 飽きの防止 | 別の使い方、季節の提案 |
| 任意 | 単価向上 | 併用商品の案内 |
3〜4回目の「余っていませんか」が効きます。 この時期の離脱理由は在庫過多が多く、周期を延ばす提案が解約の代わりになります。
クロスセルを入れる位置
同梱物でのクロスセルは、継続率を下げずに単価を上げられる数少ない手段です。ただし位置を間違えると逆効果になります。
- 初回には入れない。 使い始める前に別商品を勧められると、売り込みの印象だけが残る
- 2回目以降、本商品を使い切っている前提で入れる
- 本商品と併用するものに絞る。 関連の薄い商品はカタログになり、読まれない
測り方
同梱物は効果測定が難しいと言われますが、方法はあります。
同梱物ごとにURLを分ける。 QRコードやパラメータ付きの短縮URLで、どの同梱物からマイページやフォームに来たかを見ます。
A/Bで回を分ける。 同じ週の出荷を2群に分け、片方だけ同梱物を変えます。評価は開封率ではなく コホートの残存率 です。
| 見る指標 | 何が分かるか |
|---|---|
| 同梱物経由のマイページ到達率 | 導線が機能しているか |
| 周期変更・スキップの実行率 | 在庫調整の提案が効いているか |
| 1か月後・3か月後の残存率 | 継続に効いているか |
| クロスセルの購入率 | 単価向上に効いているか |
印刷コストの見方
同梱物は毎回発生するので、LTVのレバーとしては送料・梱包費と同じ性質を持ちます。
1枚あたり20円のチラシを毎回3種類入れていれば、期待継続10回で600円。これは初回割引を600円縮小するのと同じ重さです。 読まれていないものを毎回入れているなら、そこはそのまま利益になります。
「入れておくと安心」で増えた同梱物を、一度全部出してみてください。
よくある質問
冊子とチラシ、どちらがよいですか
初回はA5一枚に絞ってください。冊子は情報量を増やせますが、使い始める前の顧客には読まれません。冊子が効くのは、習慣化した2回目以降です。
初回にクーポンを入れてもよいですか
初回はおすすめしません。まだ本商品を使い始めていない段階で別の購入を促すと、売り込みの印象が残ります。2回目以降、本商品を使い切っている前提で入れてください。
効果をどう測ればよいですか
同梱物ごとにURLを分け、到達率を測ります。継続への効果は、同じ週の出荷を2群に分けて、コホートの残存率で比較してください。開封率や到達率だけでは継続への効果は分かりません。
コストはどう考えますか
毎回発生するので、送料や梱包費と同じくLTVに回数分効きます。1枚20円を3種類・10回続ければ600円です。読まれていない同梱物を減らすと、そのまま粗利になります。


