定期販売ラボby Shopi Lab D2C・定期通販の立ち上げと、続く仕組みの作り方
D2C立ち上げ

D2Cの商品開発で決めること — 消費ペースからの容量・ラインナップ設計

D2Cの商品開発は「良い商品を作る」だけで終わりがちですが、定期通販では消費ペースに合わせた容量・SKU設計と、本生産に進む前のテスト販売の順序が、後の解約や欠品リスクを左右します。判断の型を整理します。

D2Cの商品開発を扱う記事の多くは、「顧客視点で考える」「競合と差別化する」といった一般論で終わります。どれも正しいのですが、実務では何をどの順で決めるかが分からないと手が止まります。

定期通販を前提にすると、決めることはさらに絞れます。ここでは、商品そのものの企画ではなく、定期販売として売る前提で商品開発に組み込むべき判断を整理します。

起点は消費ペース、次は容量設計

D2C立ち上げで決める順序で書いたとおり、定期販売が成立するかどうかは商材の消費ペースが読めるかで決まります。商品開発の段階では、これを容量とSKU構成に落とし込みます。

  • 1回分の内容量は、平均的な消費ペースの何日分にするか
  • 消費ペースには個人差があるため、その差を容量ではなく周期の変更で吸収できる設計になっているか
  • 容量を変えて複数SKU(大容量・小容量)を用意するのか、周期変更だけで対応するのか

ここを容量の作り込みだけで解決しようとすると、SKUが増えて在庫・パッケージデザイン・原価計算がすべて複雑になります。 多くの場合、容量は1〜2種類に絞り、消費ペースの差はマイページからの周期変更で吸収するほうが運用は軽くなります。

飽き対策をどこで設計するか

消耗品の定期販売では、必要性ではなく「飽き」による解約が一定数発生します。商品開発の段階で対策を組み込むなら、選択肢は次の2つです。

  • フレーバー・香り・柄のバリエーションを複数用意し、周期ごとに選べるようにする
  • 頒布会型に寄せて、事業者側が毎回の中身を変える

前者は定期便のまま運用コストを抑えられます。後者は頒布会と定期の違いで書いたとおり、企画・調達コストが毎回発生する前提に変わります。商品開発の初期段階でどちらの型を取るかを決めておくと、パッケージやOEM先への発注ロットの考え方も変わってきます。

本生産に進む前に、需要を検証する

OEM先を選ぶ基準や、継続生産・契約解除時の条件についてはD2C立ち上げで決める順序の3番に書きましたが、商品開発の実務では、その前段階の判断が抜けがちです。

OEMは最小ロット(MOQ)単位での発注になるため、本生産に進む時点で在庫リスクを引き受けることになります。企画の確度が高くない段階でいきなりMOQを発注すると、売れなかったときに在庫が固定費として残ります。

これを避けるための選択肢が、本生産の前に少量のテスト販売で需要を確認することです。

  • クラウドファンディングで先行予約を募り、目標数に届くかで需要を測る
  • 少量ロットで先行販売し、実際の購入者の継続意向を見る
  • 既存顧客・見込み客リストへの先行案内で、反応率を見る

狙いは「売れる自信」ではなく、「発注ロットに見合う需要があるかどうかの実測」です。 ここで数字が読めないまま本生産に進むと、企画段階の期待値だけを頼りにMOQを抱えることになります。

パッケージ・同梱物は物流を前提に設計する

商品そのものの企画と並行して決めておくべきなのが、パッケージと同梱物の扱いです。ここを商品開発の後工程に回すと、物流側で対応できない設計のまま進んでしまうことがあります。

  • 同梱物(挨拶状、次回案内、ノベルティなど)を回数に応じて出し分けるなら、それが出荷指示に反映できる設計か
  • パッケージのサイズ・重量が、想定する配送方法の規格に収まるか
  • 定期便の梱包資材そのものが在庫管理の対象になることを、発注計画に織り込んでいるか

同梱物の設計自体は同梱物の設計に詳しくまとめています。商品開発の段階でここまで決めておくと、出荷体制の検討に進んだときに手戻りが起きません。出荷を自社で持つか外部倉庫に任せるかの判断は自社出荷か外部倉庫かを参照してください。

判断の順序

  1. 消費ペースを起点に、容量を1〜2種類に絞れるか検討する(差は周期変更で吸収する前提を先に置く)
  2. 飽き対策を定期便のバリエーション追加でやるか、頒布会型に寄せるかを決める
  3. OEM先の発注ロットに見合う需要があるかを、本生産の前にテスト販売で確認する
  4. 同梱物・パッケージの出し分けが、想定する物流体制で実現できるかを確認する

3を飛ばして本生産に進むケースが最も多い手戻りです。 企画の完成度が高いほど「売れるはず」という前提で進めがちですが、需要の実測はロットの大きさに関わらず一度は挟んでください。

よくある質問

Q. 容量やSKUは最初から複数用意すべきですか

避けたほうが無難です。容量違いのSKUが増えるほど在庫・パッケージ・原価計算が複雑になります。まず1〜2種類に絞り、消費ペースの差はマイページからの周期変更で吸収する設計にしてください。SKUを増やすのは、実際の解約理由に「容量が合わない」が多く出てからでも遅くありません。

Q. クラウドファンディングは資金調達のためだけのものですか

需要の実測という使い方もできます。目標数に届くかどうかで、本生産のロットに見合う需要があるかを確認できます。ただし、支援者は必ずしも定期購入の継続顧客と同じ層ではない点には注意してください。

Q. 飽き対策として一番手間がかからないのはどちらですか

定期便のままフレーバーなどのバリエーションを増やす方法です。頒布会型に寄せると、毎回の企画・調達コストが恒常的に発生する前提に変わります。運用体制を先に見て選んでください。

Q. 商品開発と物流の設計は、どちらを先に決めるべきですか

商品開発が先です。ただし同梱物の出し分けやパッケージ規格は、物流側で実現できるかを商品開発の段階で確認しておく必要があります。決めてから物流側に持ち込むと、対応できない設計のまま進んでしまうことがあります。