EC事業を行う企業にとって、ECマーケティングの強化は必要不可欠です。しかし、このECマーケティングへの理解を深めておかないと、思うような利益を獲得できないかもしれません。
実際にここ数年でEC市場は急成長を遂げており、ECマーケティングという言葉を耳にする機会が増えたものの、意味を理解している方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は企業でECを担当する方のために、ECマーケティングの特徴や売上を向上させるためのポイントを解説します。
目次
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マーケティングとは
まずはビジネスの世界でよく耳にする「マーケティング」の意味を解説していきます。
企業では、マーケティングに関する会議を行ったり「マーケティング部」といった部署を設けたりと、ビジネスシーンにおいて「マーケティング」は非常に身近な存在です。しかし、日頃からマーケティングに接している方に「どんな意味か説明してください」と言っても、悩んでしまうのではないでしょうか。
参考までに、実用日本語表現辞典では、マーケティングを以下のように定義しています。
マーケティング(marketing)とは、企業活動における「売れる仕組みの構築」に関する活動の総称である。市場と顧客の需要を明確にし、それに基づき商品を作り、商品の存在を広く知らせつつ需要を喚起し、そして顧客の需要を満たし、最終的に自社の利益にも繋げる、といった一連の戦略的な企業活動の総体である。
(実用日本語表現辞典)
これだけだとピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
この文章を簡潔にまとめると「顧客の欲求を満たすべく、企業が行う一連の活動」と言えます。
代表的なマーケティング手法は以下の3つです。
マス・マーケティング
マス・マーケティングは不特定多数の消費者をターゲットにしたマーケティング手法のことです。
テレビや雑誌、新聞やラジオなどのマスメディアを使った宣伝活動を行います。
BtoCの分野で最も利用される手法のひとつで、販促だけでなく商品や企業の知名度を上げるためにも有効です。
ダイレクトマーケティング
ダイレクトマーケティングは消費者へ直接、商品を販売するマーケティング手法のこと。
最近ではインターネットを使った宣伝活動が広まっており、マス・マーケティングに代わる手法として注目を集めています。
インバウンドマーケティング
運営側からアプローチを行うのではなく、消費者からのお問い合わせやサイトへのアクセスに対して販促を行っていく手法のこと。
ここでは、自社のサイトが検索結果に表示されやすくするための「SEO対策(※1)」が必須です。
これまでご紹介した手法とは違い、比較的低コストで実施できます。
なお、マーケティングを行う際には一定のステップを踏んでから行わなければなりません。
具体的なマーケティングのステップはコチラです。
市場調査
商品やサービスを企画する前にまずは顧客のニーズを探る必要があります。
売れる商品・サービスを開発するには「顧客が何を求めているのか」を知るのが重要です。
そのために、モニター向けのアンケートや統計データの分析といった、市場調査(マーケティングリサーチ)を行います。
他にも、事前に設定したペルソナ(※2)に近い年齢層・性別の顧客を集めて座談会を開いたり、商品をお試しで使ってもらって意見を募ったりといった情報集めが必要と言えるでしょう。
広告宣伝
良い商品を開発しても、顧客に知ってもらわなければそもそも売れません。そこでテレビや新聞、広告などを使って、商品・サービスを宣伝する必要があります。
ここ数年はインターネットを使って、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから顧客を集める手法も一般的になってきました。これ以外にも、記事として無料で取り上げてもらう「PR」や口コミでの評価を広げていく「バズ・マーケティング」も方法のひとつでしょう。
広告宣伝活動 | 活動内容詳細 |
マスメディア | テレビや雑誌、新聞やラジオの4大マスメディアを使った宣伝活動。 不特定多数の消費者にリーチできるマーケティング手法。 |
デジタルマーケティング | 検索エンジンやメール、ポータルサイトやSNSなどのインターネットを使った宣伝活動。 あらかじめ、ターゲットを絞ってリーチできるため、昨今のマーケティング手法の中では主流になりつつある。 |
SP広告 | 電車やバスの中での交通広告や看板・サインボードなどの屋外で掲出される広告を使った宣伝活動。 特定のエリア内で商品・サービスを販売したい場合に広く行われる手法。 |
効果測定
一連の活動がどれくらいの売上を上げたか測定します。宣伝活動にかかったコストとそれによって得た利益を算出して、数値化するのです。
このとき、売上ではなく「認知度の向上」「見込み顧客の獲得」などの数値を用いて、検証する場合もあります。また、効果を測定する際には、必ずゴールも明確にしておきましょう。
このようにマーケティングにはいくつかの手法・ステップがありますが、これらの活動を通して売上拡大に結びつけるには、商品の特性や強み、市場の動きに応じて、自社にぴったりなものを実践していく必要があります。
(※1)SEO対策:検索結果において、自社サイトの露出を増やすための対策。検索エンジン最適化とも呼ばれる。
(※2)ペルソナ:ビジネスにおける架空のユーザー像。「氏名・性別・年齢・職業」などのように、リアリティある人物像に落とし込む。
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ECマーケティングとは
ECマーケティングはインターネットを介して、集客や購買を促す、一連の取り組みのことを指します。オンラインショッピングサイトを使ったビジネス、といえばわかりやすいかもしれません。
ちなみにECは「Electronic Commerce」の略称で電子商取引の意味です。
ECマーケティングの目的は一般的なマーケティングと同じく消費者に商品を買ってもらうことですが、インターネット上で展開するサイトの特性に合わせて施策を行っていく必要があります。
この数年はパソコンやスマートフォンといったデバイスの普及やコロナ禍による外出自粛により、ECショップの需要は高まりを見せている状況です。ECマーケティングで売上を向上させるためには、これから解説する3つのポイントが重要になります。
アクセス数の向上
売上を増やすには、まずは集客について考えていきましょう。
ECマーケティングは場所を選ばずに展開できる、インターネット上でのビジネスなので、実店舗とは違った施策が必要になります。ここ数年でインターネット利用率は大きくアップしており、上手く情報を拡散させられれば、爆発的にアクセス数を獲得することが可能です。
購入しやすいサイト作り
顧客が手軽に商品を購入できるかも重要なポイントです。
詳細は後述しますが、商品の魅力が伝わりやすいデザイン・テキストに変更してみたり、決済までの導線を簡潔にしたりといった工夫が必要になります。
リピーターを増やす
長期的な売上の確保には定期的にあなたのサイトを訪れるリピーターの獲得も重要です。
こちらも詳細は後述させていただきますが、クーポンやポイントの付与やメールマガジンの配信などでファンを増やすことができます。
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ECマーケティングで用いられる主な手法
それでは次にECマーケティングで用いられる手法を見ていきましょう。
集客対策で使われる手法
リスティング広告
リスティング広告はGoogleやYahoo!の検索結果上位に表示される広告のことです。
インターネット広告の中で最も集客に効果的と言われており、デバイスの普及により、一度は目にしたことがあるかもしれません。
リスティング広告は他の広告と比べて、獲得見込みの誤差が少なく、売上予測を立てやすいというメリットがあります。集客において、何から始めればいいのかわからない方はまずはリスティング広告から始めるのがおすすめです。
なお、広告代理店にリスティング広告の運用を依頼する方法もあります。その場合は相場として予算の20%程度が運用費用として必要になるので、コストを抑えたい場合は自社で運用してみてください。
ディスプレイ広告
次にご紹介するディスプレイ広告はYahoo!やブログの記事に表示されるバナー広告とお伝えする方がわかりやすいかもしれません。
通常、ディスプレイ広告はリスティング広告と比較して、獲得件数を稼げる手法とは言えず、新しくリリースした商品やサービスの宣伝には、あまり向いていません。
もちろん例外もあり、リマーケティング広告と呼ばれる、自社サイトへ訪問した方にのみ表示させるバナー広告は多くの顧客を獲得できると言われています。
「リスティング広告+ディスプレイ広告」といったイメージで他の広告と並行して活用していくと良いでしょう。
SEO対策
厳密には手法に分類されるものではありませんが「SEO対策」もこちらで解説させてください。
SEO対策とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンに自社サイトを上位表示させるための施策のことです。
例えば、メンズTシャツの販売を行うECショップの運営を行う企業は「Tシャツ メンズ」「Tシャツ おすすめ」といったキーワードで検索された際に自社サイトが検索結果の上部に表示されるよう施策を行う必要があります。
検索結果の上位に表示されれば、集客の向上が見込め、売上もアップするでしょう。
なお、どのような基準に基づいて検索結果が決められるかははっきりとはわかっていません。
アルゴリズムは日々調整されており、それまでは1位に表示されていたサイトがある日を境に10位にまで落ちていた、ということもあり得る話なのです。
ただし、顧客が抱えている課題を解決するサイトが上位に表示されることは変わっておらず、顧客のニーズを満たしたサイトになっているかが重要になります。
購入対策で使われる手法
ランディングページ最適化
顧客に商品を購入してもらうには、魅力的なランディングページを作る必要があります。
あなたのサイトを訪れた顧客の興味を惹かなければ、商品を購入することなく、サイトから離脱されてしまうかもしれません。それを防ぐためにも、サイトのデザインを調整したり、商品の魅力をわかりやすく掲載したりと、ランディングページの改善を行いましょう。
レコメンド機能
目当ての商品を検索できることはもちろん、それに加えておすすめ商品が提示されるレコメンド機能があると親切でしょう。
レコメンド機能は顧客の閲覧履歴や以前に検索した際のキーワードなどの情報を基に類似するおすすめ商品を表示させる機能のことです。レコメンド機能を追加することで、サイトの滞在時間を延ばし、一人あたりの購入単価を増やすことができます。
カゴ落ち対策
カゴ落ちとは、顧客がカートに追加した商品を購入することなく、別のサイトへと移動してしまうことを意味します。
カゴ落ちしてしまう主な理由として挙げられるのが「決済を行う際の入力フォームが複雑」「利用できる決済方法がない」です。決済に至るまでの流れを一度見直し、余分な工程をカットしたり、決済方法を新しく追加したりと工夫してみてください。
ユーザーインターフェースの見直し
先述したランディングページの最適化と似た内容になりますが、ユーザーインターフェースの見直しも重要な対策のひとつです。
ユーザーインターフェースとは、サイト上で顧客の目に触れるすべての情報のことを指し「UI」とも略されます。
サイトのデザインやレイアウト、商品に関する情報などがわかりやすければわかりやすいほど、顧客の満足度は向上していくとされており、運営側は顧客の視点に立ってサイトを見直す必要があると言えるでしょう。
再訪対策で使われる手法
クーポン・ポイントの付与
自社サイト内で商品を購入したことがある顧客に対して、クーポンやポイントを付与するのも効果的と言えるでしょう。
あなたのサイトで利用できるクーポン・ポイントをプレゼントすれば、顧客の購入意欲が上がり、再びサイトを訪れてもらえるチャンスが上がります。また、付与したクーポン・ポイントに有効期限を設けることで、より効果的に購買意欲を促すことも可能です。
リマーケティング広告
リマーケティング広告はあなたが運営するサイトに訪れた顧客に対して、表示させるインターネット広告のことです。
少なくとも一度はあなたのサイトに興味を持った見込み顧客に対するアプローチなので、費用対効果は比較的高いとされています。サイトに訪れる顧客が多ければ多いほど、効果を発揮する手法です。
メールマガジンの配信
既存の顧客に対するアプローチとして効果的なのが、メールマガジンの配信です。
メールマガジンは顧客と直接コミュニケーションを取る方法としても有効で新商品や新サービスのリリースの際に大きな効果を発揮します。また、メールの反応率をチェックすることで、メール内容の改善も図ることが可能です。
ECマーケティングの課題
ECマーケティングには少なからず課題も存在します。
ここからはECマーケティングを行う際の注意点について見ていきましょう。
顧客の特定が困難
ECショップの運営を行う際にモールでの出店を選んだ場合、運営側が入手できる情報には限界があります。これが自社で運営するタイプのECショップの場合はアナリティクスとの連携により、詳しい顧客情報を得ることが可能です。
顧客情報を分析することで、顧客の属性を細かく分析することができ、商品やランディンページを改善することができます。その際には、分析が行える人材が必要になるので、その点だけご注意ください。
中長期的な計画が必要になる
ECマーケティングは中長期的な施策が必要になります。
リスティング広告といった短期的に効果が見込める施策もありますが、その分コストが莫大なものになり、総合的な集客コストが大きくなってしまう可能性があるでしょう。
さらに、リピーターの獲得や購入単価の向上はすぐに実現できるものではなく、じっくりとECショップの質を改善していく必要があります。
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マーケティングとECマーケティングの違い
ここまでECマーケティングについて解説してきましたが、通常のマーケティングとはどのような違いがあるのでしょうか。
全世界が対象
ECマーケティングは世界を相手にビジネスを展開していくことが可能です。
以前はお取り寄せ商品などを大手企業に取り扱ってもらうことで、その商品の知名度を全国に広げることができました。ただ、裏を返すとどんなに良い商品であっても、大手企業に取り上げてもらえなければ、世の中で知られる機会はなかったということです。
自社だけで宣伝を行う場合、広告にかかる費用は莫大なものになり、予算があまり組めない中小企業にとって、ハードルはあまりにも高いものでした。しかし、現在ではインターネットに接続さえできれば、簡単にECショップを立ち上げることができ、全国規模で商品を販売できるようになったのです。
さらに、英語や中国語などにも対応することで、日本国内にとどまらず、世界を相手にビジネスを行えるようになりました。
このように、大手企業の力を借りずに、世界中でビジネスを展開できるのは、ECマーケティングが持つ大きな魅力です。
対面接客がない
ECショップはパソコンやスマートフォンなどのデバイスを介して接客します。
実店舗の場合、顧客と直接コミュニケーションを取る必要があり、接客におけるマニュアルや店内での商品配置、POPなどが主な施策として挙げられてきました。しかし、ECマーケティングはこのような施策を行う必要がない分、サイト内のページ遷移やユーザビリティが重要なポイントになります。
このように、ECマーケティングはデバイスの特性をしっかりと理解したうえでの接客を行わなければなりません。
ちなみにユーザビリティとは、サイトの使い勝手や使いやすさのことを意味する言葉です。
ユーザビリティの向上には、顧客があなたのサイトをスマートフォンで閲覧した際のストレスを軽減するためにページ数を少なくさせたり、文字数を少なくさせたりする必要があります。
アクセスデータの分析が可能
マーケティングにおいてアクセスデータを分析する場合は顧客セグメントをリサーチし、その結果を参考にして施策を提案していかなければなりません。
それに対して、ECマーケティングは顧客の閲覧履歴や購入履歴などのデータを分析して、施策を計画することになります。
アナリティクスやWEB解析ツールを使えば「どのようなキーワードで検索されているか」「そのエリアからのアクセスが多いか」「どのページを平均的に何秒くらいチェックしたか」といった詳細なデータを得ることが可能です。
このように、ECマーケティングは通常のマーケティングと比べて、得られるデータが圧倒的に多く、高度な顧客分析が行えます。
なお、データはあくまでデータであることに注意しなければなりません。集めたデータに基づいて仮説を立てていき、効果を検証していくといったプロセスを踏んでいくようにしましょう。
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まとめ:【EC担当者必見】ECマーケティングとは?手法や課題を解説
このように、ECマーケティングで大きな利益を狙うには確固たる戦略が必要です。どのような施策を行う際にも、まずはゴールを明確に定義し、数値や期限を設けて目標までの道筋をしっかりと作りましょう。
ゴールから逆算する方が現実的でブレのない施策を提案できます。効果的なECマーケティングを行いたい方は記事内でご紹介したポイントを意識して、自社サイトの現状を把握するところから始めてみてください。
当記事を参考にECマーケティングにおける、成功を掴み取りましょう。
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