監修:黒岩俊児(株式会社セルフプラス 代表・Shopify Plus Partner)
公開日:2026年9月25日|本記事は各社の公式発表・一次情報にもとづき、EC構築の実務者が内容を確認しています。
Shopifyで複数店舗を運用する方法は2つあります。1つのストアをShopify Marketsで国・言語ごとに出し分ける方法と、ストア自体を分ける方法(Shopify Plusの拡張ストア)です。判断の分かれ目は「在庫と商品カタログを共有したいか」の1点で、共有してよいならMarketsで足り、別々に持つ必要があるならストアを分けます。Shopify Plusは拡張ストアを9つまで含み、月額は日本円で398,000円(1年契約)です(Shopify公式ヘルプ・2026年9月時点)。
目次
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判断は3つの問いで決まる

「複数店舗にすべきか」という相談を受けたとき、私たちが最初に確認するのは次の3点です。1つでも「分けたい」に当てはまるならストア分割、すべて「共有でよい」ならMarketsでの出し分けが基本線になります。
- 在庫と商品カタログを共有するか。 1つのストアは1つのカタログ・1つの在庫を持ちます。国ごとに全く違う商品を売る、在庫を完全に分けて引き当てたい、という場合はストアを分ける必要があります
- 決済手段を国ごとに変える必要があるか。 Shopify Paymentsは「一定の国と地域のストアでのみ利用可能」とされており、進出先によっては現地の決済代行を使う設計になります
- 運営チームと権限を分けるか。 ブランドや法人が別で、管理画面を触れる範囲を分けたい場合はストア分割が素直です
逆に言えば、「言語と通貨を変えたいだけ」「価格を国ごとに調整したいだけ」であれば、ストアを増やす理由にはなりません。ストアを分けると運用の手間はおおむね店舗数に比例して増えます。
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1ストア+Shopify Marketsでできること

Shopify Marketsは、顧客の所在地・顧客グループ・実店舗・販売チャネルに応じて、1つのストアの中で体験を出し分ける機能です。Shopify公式ヘルプによると、市場ごとに次の項目をカスタマイズできます(2026年9月時点)。
- 通貨・言語・価格・テーマのコンテンツ
- 商品の販売可否(市場ごとに出す商品/出さない商品を切り替える)
- ドメイン(市場ごとに別ドメイン・サブフォルダを割り当てる)
- 税設定
- 配送方法(提供可能な地域において)
- 割引・ギフトカード(決済時の通貨換算に対応)
ここまで1ストアで賄えるため、「越境ECを始める=ストアを国の数だけ作る」ではありません。実際、私たちが越境EC案件で最初に提案するのは1ストア+Marketsの構成です。運用コストが最も低く、商品情報の更新も一箇所で済むためです。進め方の全体像は越境EC制作の依頼手順|発注前に聞く15の質問で整理しています。
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ストアを分けるべき3つのケース

1. 在庫・カタログを分けたいとき
最も多い理由です。国内向けと海外向けで取扱商品が大きく違う、法規制で特定の商品を出せない国がある、倉庫が分かれていて在庫を融通しない、といった場合はストアを分けます。Marketsの「商品の販売可否」でも一定の出し分けはできますが、カタログ自体が別物になるほど差が大きいなら、分けたほうが運用は楽になります。
2. ブランドや法人が別のとき
複数ブランドを持つ企業では、ブランドごとにストアを分けるのが一般的です。デザイン・ドメイン・メール送信元・顧客データを完全に独立させられます。担当チームが分かれている場合も、管理画面の権限をストア単位で切れるぶん事故が起きにくくなります。
3. BtoB(卸売)とBtoCを併存させるとき
卸売は価格・掛け率・支払条件・最低ロットが小売と根本的に違います。Shopify PlusのB2B機能を使えば1ストア内でも構成できますが、卸売の取引量が大きい、あるいは卸売の商談フローが独自にある場合は、拡張ストアで分けたほうが設計がすっきりします。プラットフォーム選定の比較はB2B企業に適したShopify Plusと他のECプラットフォームの比較を参照してください。
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費用|Shopify Plusの拡張ストアは9つまで

Shopify公式ヘルプによると、Shopify Plusプランは国際化・拠点分割などの目的で拡張ストアを9つまで利用できます。プラン料金は日本円で月額398,000円(1年契約)/368,000円(3年契約)です(いずれも2026年9月時点)。あわせて次の2点に注意してください。
- 稼働する拡張ストアごとにテーマライセンスが必要です。 有料テーマを使う場合、ストアの数だけ費用が発生します
- 取引規模やビジネスモデルによっては変動プラットフォーム手数料が発生します。 Shopifyは「より複雑で取引量の多いビジネスでは、売上とビジネスモデルに応じた変動手数料が発生する場合があり、B2BとD2Cで異なる」と説明しています
見落とされがちなのはプラン料金以外の増分です。アプリはストア単位の課金が大半で、10ストアなら同じアプリの料金が10倍になります。制作費も、共通テーマを流用しても翻訳・商品登録・テストはストアごとに発生します。費用の考え方はShopify制作・構築の外注費用相場と越境EC制作費用の内訳と3年総額の出し方で、初期費用と運用費を分けて整理しています。
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複数ストアの運用設計で決めておく5点

ストアを分けると決めたら、作り始める前に次の5点を決めておきます。後から変えるとデータの移行が必要になり、費用が跳ね上がる項目です。
- 商品マスタをどこで持つか。 各ストアで個別に登録するのか、基幹システムやPIMから配信するのか。ストアが3つを超えるあたりから、手作業での二重登録は現実的でなくなります
- 在庫の引き当て方。 完全に分けるのか、共通倉庫から按分するのか。共通にするなら在庫連携の仕組みが要ります
- 顧客アカウントの扱い。 ストアをまたいだログインはできません。会員を統合したいなら外部の顧客基盤が必要です
- ドメイン設計。 別ドメインか、サブドメインか、サブフォルダか。SEO上の評価の集約に直結するため、検索流入を取りにいくなら最初に決めます
- 計測の設計。 GA4のプロパティを分けるか統合するか。分けると全社の売上が一目で見えなくなり、統合するとストア別の分析が煩雑になります
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よくある失敗

- 必要のないストア分割: 「言語を変えたい」だけでストアを分け、運用の手間とアプリ費用を人数分背負ってしまう。Marketsで足りないか先に確認する
- ドメイン設計の後戻り: 国別に別ドメインで立ち上げた後にサブフォルダへ統合しようとして、蓄積した評価を失う
- アプリ費用の見落とし: 初期費用だけで判断し、月額のアプリ料金がストア数ぶん積み上がることを試算に入れていない
- 商品登録の属人化: 3ストアまでは手作業で回るが、5ストアを超えると更新漏れが常態化する。分割を決めた時点で連携の仕組みを設計しておく
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よくある質問(FAQ)
Shopifyで複数店舗を運用するにはどうすればいいですか?
方法は2つあります。1つのストアをShopify Marketsで国・言語・通貨ごとに出し分ける方法と、Shopify Plusの拡張ストアでストア自体を分ける方法です。在庫と商品カタログを共有してよいならMarkets、別々に持つ必要があるならストア分割を選びます。
Shopify Plusでは拡張ストアをいくつ作れますか?
Shopify公式ヘルプによると、Shopify Plusプランは国際化や拠点分割などの目的で拡張ストアを9つまで利用できます(2026年9月時点)。ただし稼働中の拡張ストアごとにテーマライセンスが必要になる点に注意してください。
複数店舗にすると費用はどれくらい増えますか?
Shopify Plusのプラン料金は月額398,000円(1年契約・2026年9月時点)で、拡張ストアを増やしてもプラン料金自体は変わりません。増えるのはテーマライセンス、ストア単位で課金されるアプリ、そしてストアごとの制作・翻訳・商品登録の工数です。実務ではプラン料金よりアプリ費用の積み上がりが効きます。
ストアをまたいで会員情報を共有できますか?
標準ではできません。ストアが分かれると顧客アカウントも分かれるため、同じ顧客が別ストアで買う場合は再登録が必要です。会員を統合したい場合は、外部の顧客基盤やCDPを介して連携する設計にします。この点はストア分割を判断するうえで重要な材料になります。
Shopify Plusでなくても複数店舗は運用できますか?
できます。通常プランのストアを複数契約すれば運用自体は可能で、ストア数が2〜3で規模が小さいうちはこちらのほうが安く収まることもあります。拡張ストアが有利になるのは、Plusの機能を使いたい場合と、ストア数が増えて1契約にまとめる管理上の利点が出てくる場合です。
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まとめ|「在庫を分けるか」から逆算する

Shopifyの複数店舗運用は、在庫と商品カタログを分ける必要があるかどうかで答えが決まります。分けなくてよいなら1ストア+Shopify Marketsが最も安く、更新も一箇所で済みます。分ける必要があるならShopify Plusの拡張ストア(9つまで、月額398,000円・1年契約/2026年9月時点)を検討し、着手前に商品マスタ・在庫・会員・ドメイン・計測の5点を決めておいてください。制作会社に相談する際の観点はShopifyの構築・運用・制作代行会社47選にまとめています。
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