今回は、ECサイトを運営する上で必ず覚えておきたいSKUについて解説していきます。
ECサイトで「食品」や「衣類」など何かしらの商品を販売するなら、担当者としてSKUという用語を使う機会は非常に多いです。また、サイトデザインによっては、EC制作の段階からSKUを知っておかなければなりません。
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SKUとは?
SKUは「Stock Keeping Unit」という英語表記の略語で、意味は商品の区分や種類をわけるときの最小管理単位です。
販売や配送など幅広い事業で使われており、とくに物流業界では日々のビジネスで当たり前のように目にします。
SKUの数え方・読み方
SKUはアイテムをさらに細かく分類したいときに使います。
たとえば、Tシャツというアイテムを白・黒・青の3色に分類したいとき、そのTシャツは「3SKU」と数えます。さらに、サイズがS・M・Lと3種類あるなら、3色のカラーと合わせて合計9通りのパターンがあるため、この場合は「9SKU」です。
もし、「20SKU」という表記を見かけたなら、それは20通りの種類があるという読み方になります。
SKUのメリット
SKUの最大のメリットは在庫管理がしやすくなる点でしょう。
このSKUはJANコードと共にメーカーや物流業社、卸売業者や小売業者など、すべての流通チャネルの共通言語です。SKUを使えば、どの流通段階においても、サイズやカラーなど、細かく商品の状況をチェックすることが可能。また、発注作業が簡単になる、といったメリットも挙げられます。
仮に、青いTシャツのMサイズを3枚発注する場合、SKUを設定していないと『青いTシャツMサイズ3枚』と記載して、データを管理する必要があるでしょう。
しかし、SKUを定めておくことで、『B(青い)T(Tシャツ)M(Mサイズ)3(3枚)』『SKU BTM3』とコンパクトにまとめて、発注をかけることができます。
このように、頭文字を並べるだけで区別できるSKUの方が発注のミスが防ぎやすいです。
SKUのデメリット
SKUを設定することで逆に管理が難しくなるといったデメリットもあります。
実際にSKUを設定し、実際に現場で使うとなると、慣れるまで時間がかかるかもしれません。さらに、バーコードリーダーへの適用や、在庫管理ソフトの導入など、少なからずコストがかかり、出費を抑えたい事業所にとっては難しい部分もあります。
こういった事情から、管理できる商品の範囲内でSKUを使う企業も存在するようです。
SKUの設定方法
前の項でもご紹介した通り「SKU」は自社内で円滑に商品を管理するために設けるものです。
SKUを設定する際には、別の商品に対して同じ番号を振り分けないように気をつけましょう。
また、商品の区別がつけられるよう、SKUの中にわかりやすい番号を入れておくと、販売データや在庫管理がしやすくなります。文字の左から何番目にどのような情報を入れるのか、事前にしっかりとルールを決めておけば、新しい商品をリリースする際にとてもラクです。
特に幅広いジャンルの商品を取り扱うファッション系のECサイトなら、ひと目でその商品のカテゴリを識別できるようにする必要があります。ワンピースやドレス、コートやジャケットなど、数字やアルファベットを使って区別できるようにしましょう。
ECサイトの運営には「販売データの分析」「在庫管理」を効率的に行えるようにする、SKUの設定が必要不可欠です。顧客があなたのECサイトを訪れて、いつでも好きな商品を購入できるよう、適切なSKUを設定しましょう。
なお、SKUを管理するには、エクセルやGoogleのスプレッドシートを使うのがおすすめ。
細かく条件を設けてデータを抽出したり、商品の販売数・在庫数を集計したりできるので、非常に便利です。
SKUの設定で迷いがちな3パターン
ここからは、どのようにSKUを設定すればいいのか判断が難しい、3つのケースをご紹介いたします。
キャンペーン中の商品
先述したように、内容量が異なる商品は別のSKUを設定するのが基本です。
なお、一時的なキャンペーンやプロモーションにより、異なる内容量の商品を販売している場合、同じSKUを使っているショップも少なからず存在します。この場合、通常期と内容量が違うことで、クレームを受ける可能性があるので、その点には要注意です。
まとめ売りとバラ売りがある商品
まとめ売りしている商品とバラ売りしている商品はSKUを分けて設定しましょう。
主な例としては、アパレルのECサイトなら「Tシャツ◯枚セット」。
食料品を取り扱うECサイトなら「ペットボトル飲料◯入り」といったものが挙げられるでしょう。
これらは、単体で販売されているものとは、異なったSKUで管理する必要があります。
パッケージデザインに違いがある商品
マーケティングの都合上、同じ内容量でも異なるパッケージで商品を販売している場合も別のSKUを設定する方が良いでしょう。
具体的には、アニメやキャラクターとのコラボで訴求しているケースが挙げられます。
SKUを設定する際の4つのポイント
分かりやすいものにする
SKUを適当につけてしまうと、効率的に商品管理を行えません。そのため、運営を行う側の誰が見ても分かりやすいような、SKUを設定する必要があります。
例えば、アイテムの頭文字をアルファベットにして盛り込んだり、小さいサイズのものから順番に「1〜3」と数字を振り分けたり、パッと見ただけで商品を見分けられるようにすれば、管理業務がラクになるでしょう。
このとき、システムの認識ミスを防ぐために日本語や記号を使わないようにするのが無難です。
また、大文字や小文字の使い分けも同様のミスが起こる可能性があるので、避けた方が良いでしょう。
「0」から始まらない
SKUに限らず、商品コードには数字とアルファベットが使われています。
ひと目で商品の種類やカテゴリを見分けられるよう、事前に決めたルールに合わせて、規則的に振り分けていくのが好ましいとされていますが、頭文字に「0」を使うのは避けましょう。
というのも、管理システムによっては、頭文字の「0」を認識しないものがあります。
先述したエクセルがその際たる例です。
設定機能で文字列の表示を調整しておけば、「0」を表示できるようにすることもできますが、あらぬミスを防ぐためにも避けた方が良いでしょう。
桁数を揃える
管理にかかる工数を減らすためにも、SKUの桁数は揃えておくといいでしょう。
これは必須というわけではありませんが、エクセルやGoogleスプレッドシートなどのシステムを使って、販売データ・在庫データを修正する際に「3行目だけの数値を参照して抽出する」なんてことができるのです。
ただし、桁数を揃えるとはいえ、短すぎると似たような商品にSKUを設定する際に違いを表すのが難しいですし、長すぎるとどのような商品か見分けるのに時間がかかってしまいます。
ちなみに、SKUに価格情報も表記した方が良いという記事もありますが、その場合は桁数が揃いにくくなるでしょう。桁数を揃えるか、価格情報も明瞭にしたいかで使い分けてみてください。
数字だけにしない
エクセルを使ってデータの修正を行うECストアでは、数字だけのSKUは避けるべきです。
なぜかというと、エクセルは表計算のためのツールなので、数字は「数」として認識します。
ここで関数を使って、データの抽出をしようとすると、正常に動作しない可能性もゼロではありません。
エクセルに「数字」ではないと認識させるためにも、一文字はアルファベットを使うようにすると良いでしょう。
ECサイトでSKUはいつ使う?
ECサイトで販売する商品の種類が極端に少ない場合は、SKUを使う必要はないと思いますが、将来的なことも考慮しておくことは大切です。
たとえば、Tシャツを販売するとき、その商品はSサイズの白色しか販売しないのであればSKUという単位を使う必要はありません。しかし、実際は売り上げを伸ばすためにも種類を増やすケースは多いはずです。
今の段階でSKUを使う必要がなくても、将来的に最小単位で在庫管理する必要があるのであれば、ECサイトでSKUに対応できる環境を整えておくほうが効率的ですね。
SKUとJANコードの違い
JANコード(Japanese Article Numberの略称)は『事業所』『商品』を13桁、または8桁の数字を表したもので、一般社団法人流通システム開発センターが管理・普及するコードのことです。
世界共通で使用できるコードとなっており、自社内で管理を行うために自由に設定できるSKUとは大きく異なります。
太さが異なる白と黒の線が特徴的で皆さんも一度は目にしたことがある『バーコード』がイメージに近いです。なお、このバーコードに価格の情報は含まれません。
ちなみに、JANコードの名称は万国共通ではなく、世界的には『EANコード(European Article Number)』と呼ばれます。
SKUとPLUコードの違い
PLUコード(Price Look Upコードの略称)は価格情報を調べるために紐付けされたコードのことです。
あくまで価格を管理するためのコードなので、在庫管理を目的に設定されるSKUとは役割が違います。なお、JANコードがバーコードに似ているか解説しましたが、普段私たちが目にするバーコードはPLUコードであることがほとんどです。
店舗ごとで価格を管理するためのコードなので、詳細に読み取りを行うには、店舗のデータベースにアクセスしなければなりません。中には、データベースに紐づけられているのではなく、コードそのものに価格情報を含んでいるお店もありますが、ほぼ稀です。
ShopifyのSKUフォーマット
EC制作ツールによってSKUの機能はさまざまですが、ここではShopifyの機能を例としてご紹介します。
Shopifyはデフォルトで「SKUフォーマット」という機能が搭載されており、これを使ってSKUコードを作ることができます。
SKUフォーマットの機能性
SKUフォーマットでは、文字と長さから自由にSKUを編集することができます。
- 文字:数字と文字の組み合わせ
- 長さ:16文字以内(4~8文字も可能)
文字列は数字と文字から好きな組み合わせを作ることができ、商品属性からグループを区切ることもできます。
文字数は基本的に16文字以内ですが、商品によっては4~8文字の短いフォーマットも可能です。
ShopifyのSKUフォーマットの例
アパレル販売で「####(ブランド)-###(スタイル)-###(サイズ)」という10桁のフォーマットを使うとします。
商品が「ブランド=4225」・「スタイル=776」・「サイズ=32×34」というSKUにした場合、「SKU 4225-776-3234」となります。
SKU別から売上レポートを管理することも可能
Shopifyは「商品バリエーションSKU売上レポート」という機能があり、これを使うとSKU別から売上を管理することができます。
商品名 | 商品の名前 |
バリエーション名 | バリエーションの名前 |
バリエーションSKU | SKUコード |
正味数量 | 販売数-返品数の数量 |
Shopifyにはさまざまな販売レポートがあり、その1つとしてSKU売上レポートがあります。
販売レポートは経営を見直す際に必要な情報なため、より細分化して情報を見ることができれば問題点を見つけやすくなりますね。
SKUの実例
実際の現場では、SKUがどのように使われているのでしょうか。
ここからは商品ごとに使用例を見ていきながら、SKUの実例を見ていきましょう。
Tシャツの場合
まずは、Tシャツを項目ごとに分けて細分化していきましょう。ここで言う項目とはブランドや色、サイズなどです。
例えば、ブランド名を『B』として、色を『W(白)』、サイズを『M(Mサイズ)』としたTシャツを5枚としましょう。そうなると、SKUは『SKU 5BWM』となります。
細かくSKUを定めることで、どのカラーのTシャツが多く売れたか、残り少ないか把握でき、その都度発注をかければ、販売機会の損失を防ぐことも可能です。
この他にも『中身の量』『販売を行う単位(セット)』などでも、SKUを設定する場合もあります。
お菓子の場合
お菓子を1つずつバラで販売するお店では、1個を『1SKU』と管理します。この『1SKU』は最小の単位です。
なお、お菓子を10個=1セットで販売するお店の場合は10個セットを『1SKU』と表記する方がわかりやすいかもしれません。20個=1セットで販売している場合は20個セットで『1SKU』と表記するお店もあるでしょう。
以上のようにSKUはそのお店が管理しやすいよう、独自に設定されるものなので、お店によって差があります。
まとめ:SKUとは?たった5分でSKUの全てを簡単理解!
EC制作担当者としてSKUはしっかり覚えておきたいところです。
また、単に用語の意味を知るだけではなく、EC制作においてもSKUの整備が必要なため、これからECツールを探すなら1つの機能性として注目してみてください。
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