監修:黒岩俊児(株式会社セルフプラス 代表・Shopify Plus Partner)
公開日:2026年9月18日|本記事は各社の公式発表・一次情報にもとづき、EC構築の実務者が内容を確認しています。
目次
- 1 多通貨・多言語・関税負担表示とは何か
- 2 なぜ多通貨・多言語対応が越境ECの購入率に影響するのか
- 3 Shopify Marketsとは何か
- 4 Shopify Marketsの設定手順
- 5 対応通貨の追加と価格のローカライズ
- 6 為替レートの自動更新と手動設定の違い
- 7 多言語対応:公式アプリ「Translate & Adapt」とサードパーティアプリの違い
- 8 DDP(関税込み)とDAP(関税別)の違いと選び方
- 9 HSコード・原産国の設定と関税計算の仕組み
- 10 Managed Markets(旧Markets Pro)と日本の事業者が使える範囲
- 11 決済手段:クレジットカード以外の現地決済への対応
- 12 よくある失敗とその対策
- 13 段階的な導入ロードマップ
- 14 まとめ
- 15 よくある質問
- 16 編集ポリシー
- 17 執筆者について
- 18 多通貨・多言語・関税設定の見直しはお済みですか?
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多通貨・多言語・関税負担表示とは何か

多通貨表示とは、購入者が住む国・地域の通貨で商品価格を表示し、決済まで完結できる仕組みのことである。多言語対応とは、商品ページやカート、チェックアウト画面を購入者の言語で表示する仕組みを指す。そして関税負担表示とは、輸入時にかかる関税・輸入消費税を「販売者が肩代わりして商品代金に含める(DDP)」か「購入者が配達時に別途支払う(DAP)」かを、注文前に明示する仕組みである。越境ECでは、この3つがそれぞれ独立した設定項目でありながら、顧客が「安心して買えるかどうか」を左右する体験として一体で機能する。
国内向けのECであれば、価格表示・言語・税や送料の扱いはほぼ固定で考えればよい。しかし越境ECでは、販売する国・地域が増えるたびに、通貨、言語、関税制度、決済習慣という4つの変数がそれぞれ組み合わさって増えていく。たとえば同じ商品を米国・EU・東南アジアの3地域で販売するだけでも、通貨は最低3種類、関税制度は地域ごとの協定や税率が異なり、決済手段の主流も国によって変わる。この組み合わせを個別のページやアプリでバラバラに管理すると、設定漏れや矛盾が起きやすくなるため、Shopifyでは国・地域ごとの設定をひとまとめに管理する仕組みが用意されている。
Shopifyでは、この3つをまとめて管理する機能がShopify Marketsという名称で提供されている。本記事では、Shopify Marketsを軸に、多通貨・多言語の設定手順、DDPとDAPの選び方、HSコードと原産国の設定、決済手段の考え方、そして設定不備によって起こりやすい失敗までを、公式ヘルプセンターの記載に沿って整理する。越境ECをこれから始める事業者だけでなく、すでに複数国で販売していて設定を見直したい事業者にも参考になるよう、設定画面の場所や判断基準を具体的に記載している。
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なぜ多通貨・多言語対応が越境ECの購入率に影響するのか

越境ECにおいて、価格が自国通貨で表示されない、あるいはチェックアウト画面が読めない言語のままだと、購入者は「本当にいくら払うことになるのか」「関税は後から請求されるのか」を正確に把握できないまま購入判断を迫られることになる。この不確実性は、クレジットカード情報を入力する最終ステップでの離脱要因になりやすいと一般に説明される。
海外通貨のまま価格が表示されていると、購入者は自分でおおよその自国通貨換算額を計算する手間を強いられる。スマートフォンでの購入が主流になった現在、この一手間が生じるだけでもカートに商品を残したままサイトを離れる要因になり得る。同様に、商品説明やサイズ表・返品規定が購入者の母語で書かれていないと、購入前の疑問が解消されないまま不安を抱えた状態で決済に進むことになり、機械翻訳頼みのサイトよりも自然な現地語で書かれたサイトの方が信頼されやすいというのは、越境EC事業者の間で広く共有されている経験則である。
特に関税については、チェックアウト完了後に配達員から想定外の追加請求を受けるという体験が、越境EC特有の不満要因として知られている。Shopify自身も公式ブログの中で、DDP(関税込み配送)の利点として「チェックアウト時に総額を確定させることで、配達時の追加請求という顧客体験上の問題を避けられる」という趣旨を説明している。逆に言えば、関税の扱いが不透明なまま注文を確定させてしまうストアは、届いた荷物を受け取る段階になって初めて追加費用を知らされた顧客からの信頼を失いやすい。
本記事で具体的な改善率などの数値は、公式統計として確認できたもの以外は掲載しない。効果を定量的に語れるほどの共通したデータは公表されていないため、以降はShopifyが提供する機能の仕組みと設定手順、および設定を誤った場合に何が起きるかという実務的な観点を中心に解説する。
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Shopify Marketsとは何か

Shopify Marketsは、1つのShopifyストアの中に複数の「マーケット(market)」を作成し、国・地域のグループごとに異なる顧客体験を出し分けるための標準機能である。Shopify公式ヘルプセンターでは、マーケットごとに管理できる要素として、通貨、言語、商品の販売可否、テーマのコンテンツ、ドメイン(またはサブフォルダ・サブドメイン)、税金・関税の設定、配送オプションが挙げられている。つまり「アメリカ向けマーケットは英語・米ドル・米国向け配送設定」「日本向けマーケットは日本語・円」というように、地域ごとに独立した設定の束を作れる点がMarketsの中核である。
Markets導入前は、多言語・多通貨対応を実現するために国ごとに別ドメインのストアを複数開設したり、サードパーティアプリを組み合わせて無理やり出し分けたりする運用が一般的だった。Marketsは、こうした複数ストア運用を1つの管理画面に集約し、商品登録や在庫、注文管理を一元化したまま、顧客に見える部分だけを国・地域ごとに切り替えられるようにした点に意味がある。在庫や商品マスタを国ごとに二重管理する必要がなくなるため、商品点数が多い事業者ほど運用負荷の削減効果は大きい。
Shopify Liteプランを除く各プランで、1つのストアから最大20言語での販売が可能とされている。一方で、同時に管理できるマーケットの数や一部の高度な機能(後述するManaged Markets等)はプランによって異なるため、正確な上限は契約中のプランのShopify公式料金ページで確認するのが確実である。
なお、Markets機能は「販売するチャネル」という文脈でも重要な役割を持つ。オンラインストアだけでなく、Shop AppやPOSなど他のセールスチャネルとも連携する設計になっているため、越境販売を検討する段階でMarketsの設計を後回しにすると、後からドメイン構成やURL体系を変更する必要が出てくることがある。可能であれば、複数国展開を計画した時点でMarketsの設計を先に固めておくことが望ましい。
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Shopify Marketsの設定手順

Shopify Marketsの設定は、管理画面の「設定」>「マーケット(Markets)」から行う。基本的な流れは次のとおりである。
マーケットの新規作成
「マーケットを追加」から、販売したい国・地域を1つ、または複数まとめて選択してマーケットを作成する。たとえば北米向け、EU向け、アジア向けというように、通貨や言語、配送条件が近い国をまとめて1つのマーケットにすると管理がしやすくなる。
通貨・言語の割り当て
作成したマーケットごとに、表示する通貨と言語を選択する。通貨は自国通貨(Shopifyペイアウトの基軸通貨)とは別に、マーケット専用のローカル通貨を有効化できる。言語は「設定」>「言語(Languages)」で追加した言語の中から、マーケットに割り当てる形になる。
ドメイン・URL構成の設定
マーケットごとに、独自のccTLD(例:shop.jp)、サブドメイン(例:jp.shop.com)、サブフォルダ(例:shop.com/ja-jp)のいずれかを割り当てられる。検索エンジンに国・地域別のページとして正しく認識させるうえでも、この設定は重要な項目である。
価格・税・配送のローカライズ
最後に、マーケットごとの価格ルール(後述)、関税・輸入税の徴収可否、配送料金や配送可能エリアを設定する。すべての設定を終えたら、実際にストアの言語・通貨を切り替えて、商品ページからチェックアウトまで通しで確認することが推奨される。
商品ごとの販売可否の設定
マーケットを作成しても、すべての商品を自動的にそのマーケットで販売可能にする必要はない。輸出規制の対象品目、現地の認証を取得していない商品、在庫や物流の都合でまだ出荷できない商品などは、商品ごとの「販売するマーケット」の設定で対象外にしておくことができる。全商品を一律に展開するのではなく、マーケットごとに販売可能な商品を絞り込む運用も、Marketsの重要な使い方の一つである。
公開前のテスト確認
設定が一通り終わった段階で、実際に対象国からアクセスした場合の表示を確認するテストを行うことが望ましい。VPNなどを使って対象国のIPアドレスからストアにアクセスし、想定した通貨・言語・ドメインで表示されるか、関税・送料の計算が意図どおりに動くかを確認する。新しいマーケットを追加した直後や、価格ルールを変更した直後は特に、テスト注文(Shopifyの管理画面から作成できるテスト注文機能)を使ってチェックアウトの最終画面まで通しで確認しておくと、公開後のトラブルを防ぎやすい。
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対応通貨の追加と価格のローカライズ

通貨の追加は、マーケットの設定画面から行う。あるマーケットで通貨を有効化すると、そのマーケットに属する顧客には、商品価格が指定した通貨で自動的に表示されるようになる。この機能はShopifyの公式ヘルプセンターで「顧客は店舗で価格を確認し、チェックアウトでは現地通貨で支払い、返金も同じ通貨で受け取れる」と説明されている。
価格のローカライズには、大きく分けて自動計算と個別設定の2つのアプローチがある。自動計算は、基軸通貨の価格に為替レートを掛け合わせてローカル通貨価格を算出する方式で、端数を切りのよい数字に丸める「価格の四捨五入(ラウンディング)」ルールや、一定のパーセンテージを上乗せ・割引する調整ルールを組み合わせて使うことができる。個別設定は、商品ごと・マーケットごとに価格を手動で入力する方式で、現地の競合価格や心理的な価格帯(例:999円ではなく1,000円で統一する、など)に合わせて細かく調整したい場合に向いている。なお、こうした国・地域別の価格コントロール機能をフルに利用するには、Shopifyペイメントを利用し、ワンページチェックアウトが使える状態であることが前提になる点は公式ヘルプセンターに明記されている。
通貨を追加する際は、対象国で実際に流通している通貨単位を選ぶだけでなく、その通貨の一般的な価格表記の慣習(小数点以下の扱いや、切りのよい価格帯の感覚)にも配慮するとよい。たとえば日本円のように補助単位を通常使わない通貨と、多くの通貨のように小数点以下2桁まで表記するのが一般的な通貨とでは、自動計算後の見え方が大きく異なる。ラウンディングルールを併用して、不自然な端数(たとえば1,234.56のような価格)が並ばないように整えておくと、購入者にとって見慣れた価格帯に近づけられる。
また、マーケットごとに価格を個別設定する場合は、値上げ・値下げの履歴や、なぜその価格に設定したかという判断根拠を社内で記録として残しておくことをおすすめする。担当者が変わった際に、なぜ特定の国だけ価格が違うのかが分からなくなり、放置されたまま何年も更新されない、という事態を避けやすくなる。
価格戦略との組み合わせ
為替換算後の価格をそのまま採用するのではなく、マーケットごとの価格戦略と組み合わせて微調整することも検討に値する。たとえば送料や関税を自社で負担する分を価格に上乗せする、現地の物価水準や競合価格を踏まえて調整率を設定する、といった判断は自動計算だけでは行えないため、価格のパーセンテージ調整ルールなどを活用して事業判断を反映させる必要がある。
会計処理における多通貨売上の扱い
複数通貨で売上が発生するようになると、経理処理の面でも国内販売のみの場合と異なる考慮が必要になる。Shopifyの管理画面やレポート機能では、注文自体は現地通貨で記録されつつ、入金は契約している決済サービスの基軸通貨に換算されて行われる。この換算タイミングと実際の会計処理上のレート(月次平均レートを使うか、取引時点のレートを使うかなど)は税務・会計の方針によって異なるため、多通貨販売を始める前に、顧問税理士や会計担当者と処理方針をすり合わせておくことが望ましい。
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為替レートの自動更新と手動設定の違い

Shopify Marketsで多通貨価格を管理する方法は、大きく「自動為替レート」と「手動(固定)価格設定」の2種類に分かれる。自動為替レートは、市場の為替レートを参照して価格を自動的に換算・更新する方式で、初期設定のままであればこちらが適用される。運用の手間がかからない一方で、為替が大きく動いた局面では、表示価格が短期間で変動することになる。
手動(固定)価格設定は、マーケットごと・商品ごとにローカル通貨の価格を直接指定する方式である。為替変動の影響を受けずに価格を一定に保てるため、価格戦略を安定させたい場合や、競合と価格帯をそろえたい場合に向いている。ただし、この方式を選ぶ場合は、為替が大きく動いたときに利益率が変わってしまう点を踏まえて、定期的に価格を見直す運用ルールをあらかじめ決めておく必要がある。「自動更新に任せているつもりが、実際には固定価格を設定していて、円安・円高が進んでも価格を据え置いたままだった」という設定の思い込み違いは、次の失敗事例の章で改めて取り上げる。
どちらを選ぶべきか
取扱商品数が多く、すべての商品を手作業で価格改定する余力がない事業者は、自動為替レートを基本としつつ、主力商品や利益率の低い商品だけを個別に固定価格へ切り替えるという併用が現実的である。逆に、扱う商品点数が少なく、ブランドイメージとして「価格が変動しないこと」を重視したい事業者は、手動設定を基本として、為替が大きく動いた節目(決算期や一定の変動幅を超えたタイミングなど)に見直すサイクルを決めておくとよい。いずれの方式でも、価格改定を誰が・いつ・どのような基準で行うかを社内ルールとして明文化しておくことが、放置による機会損失を防ぐ最も基本的な対策になる。
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多言語対応:公式アプリ「Translate & Adapt」とサードパーティアプリの違い

Shopifyでの多言語化は、まず「設定」>「言語」で店舗に言語を追加し、それをマーケットに割り当てるところから始まる。ただし、言語を追加しただけでは商品説明やテーマ文言は自動翻訳されないため、実際にコンテンツを翻訳するための仕組みが別途必要になる。
Shopify公式アプリ Translate & Adapt
Shopifyが公式に提供する無料アプリTranslate & Adaptは、自動翻訳と手動翻訳の両方に対応し、商品ページやテーマの文言、通知メールの文面まで翻訳・編集できる。CSVファイルを使った一括インポートにも対応しており、翻訳会社に依頼した訳文をまとめて反映することも可能である。管理画面との親和性が高く、追加のアプリ連携を最小限にしたい場合の第一候補になる。無料枠で利用できる自動翻訳の言語数や、有料プランとの機能差は変更される可能性があるため、導入前にShopify App Store上の最新の記載を確認したい。
サードパーティの翻訳アプリ
Shopify App Storeには、Translate & Adapt以外にも多数の翻訳・ローカライズアプリが登録されている。サードパーティアプリを選ぶ利点は、DeepLなど翻訳エンジンを選択できるものがある、多言語SEO(hreflangタグ)の管理機能が手厚いものがある、翻訳者への発注ワークフローが組み込まれているものがあるなど、公式アプリより専門特化した機能を持つ場合がある点にある。一方で、月額費用が別途発生する、アプリ間の連携不具合が起こり得るといった運用上の注意点もある。自動翻訳だけで公開せず、主要な言語だけは人による確認・修正(ポストエディット)を挟むことが、誤訳による信頼低下を防ぐうえで実務上推奨される。
言語切り替え・通貨切り替えのUI表示
多くのShopifyテーマには、フッターやヘッダーに言語・通貨を切り替えるセレクター(選択メニュー)が標準で用意されている。ただし、テーマによってはこのセレクターが目立たない位置に配置されていたり、初期状態では非表示になっていたりすることもある。せっかく多言語・多通貨対応を設定しても、購入者がその切り替え方法に気づけなければ意味がないため、テーマカスタマイズの段階でセレクターの視認性を確認しておくことも実務上重要である。
翻訳範囲の優先順位の付け方
ストア全体を一度にすべて翻訳しようとすると、作業量が膨らみ着手が遅れがちになる。まずは購入判断に直結する箇所、すなわち商品名・商品説明・価格表示・送料と関税に関する案内・返品ポリシー・チェックアウト画面の文言を優先して翻訳し、ブログ記事やヘルプページのような購入後に読まれることが多いコンテンツは後回しにするという優先順位づけが、限られたリソースで多言語化を進める際の現実的な進め方である。
多言語SEOへの配慮
多言語ページを検索エンジンに正しく認識させるには、各言語版のURLとその対応関係を示すhreflangタグの実装が重要になる。Shopify MarketsでURL構成(ccTLD・サブドメイン・サブフォルダ)を設定すると、多くの場合テーマ側でhreflangタグが自動的に出力される仕組みになっているが、テーマやアプリのカスタマイズ状況によっては正しく出力されないこともあるため、公開後にページのソースを確認しておくと安心である。
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DDP(関税込み)とDAP(関税別)の違いと選び方

DDP(Delivered Duty Paid)とは、貿易条件(インコタームズ)の一つで、販売者が輸入時にかかる関税・輸入税・通関手数料などの費用を負担するという条件である。Shopifyのチェックアウトでは、関税・輸入税の概算額を注文合計に含めて購入者から徴収し、販売者がその負担を引き受ける仕組みとしてDDPが提供されている。DAP(Delivered At Place)は、販売者は配送のみに責任を持ち、購入者が配達時に運送業者へ関税・輸入税・通関手数料を直接支払うという条件である。
Shopify公式ヘルプセンターは、DDPを選ぶ利点として、チェックアウト時に総額が確定するため購入者が想定外の追加費用に驚くことを避けられる点、通関がスムーズに進みやすく配送遅延を軽減できる点を挙げている。一方でDAPは、販売者側の初期設定や資金負担が小さく済むという利点がある反面、購入者が配達時に予期しない金額を請求されて受け取りを拒否する、あるいは不満を持つリスクを伴う。
選び方の判断基準
どちらを選ぶべきかは、主に次の3点で判断するとよい。第一に、主要な出荷先国でDDP対応の配送ラベルを購入できるかどうかである。Shopify経由でDDPラベルを直接購入できる配送業者は、Canada Post(米国向けのみ)、DHL Express、DHL Express Canada、DHL eCommerceなどに限られており、これら以外のキャリアを使う場合は外部で別途DDP対応の手配をする必要がある。第二に、関税計算の元になるHSコードと原産国を全商品に登録できる体制があるかどうかである(次章で詳述)。第三に、関税を商品価格や送料に事前に織り込んで利益を確保できる価格設計になっているかどうかである。これらの条件を満たせるならDDP、体制がまだ整っていない、あるいは対応国・配送業者の制約でDDPラベルを利用できないならDAPからスタートし、段階的にDDPへ移行するという進め方が現実的である。
DAPを選ぶ場合に最低限やるべきこと
DAPを選ぶ場合であっても、関税が別途発生すること自体はチェックアウト画面で明確に案内しておくべきである。Shopifyの関税・輸入税徴収機能を有効にしていなくても、配送ポリシーページやチェックアウト前の注意書きに「関税・輸入税はお客様のご負担となる場合があります」といった案内を明記しておくことで、DDPほどの精度はなくても、購入者が心の準備をした状態で注文できるようになる。案内が一切ない状態でDAPのまま販売を続けることが、後述する失敗事例の中でも特にクレームに直結しやすいパターンである。
社内での費用負担の考え方
DDPを選んで関税を商品価格や送料に織り込む場合、実際に発生する関税額は仕向け国・商品カテゴリーによって変動するため、価格設定の段階で利益率をどこまで確保するかという判断が必要になる。関税分をすべて価格に転嫁すると現地価格が競合より割高に見えてしまうことがある一方、転嫁しきれない分を自社が負担し続けると採算が悪化する。主要な出荷先ごとに想定される関税率の目安を把握したうえで、価格設計に反映させる工程を、DDP導入の初期段階で行っておくことが望ましい。
インコタームズという枠組みの中でのDDP/DAP
DDPとDAPは、国際商業会議所(ICC)が定める貿易条件の共通ルール「インコタームズ(Incoterms)」に含まれる複数の条件のうちの2つである。インコタームズには、このほかにも輸出者・輸入者の責任範囲が異なる条件が複数定義されているが、越境ECのチェックアウト設計で実務上選択肢になるのは主にDDPとDAPの2つであり、Shopifyの関税・輸入税機能もこの2つを前提に設計されている。
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HSコード・原産国の設定と関税計算の仕組み

Shopifyがチェックアウト時に関税・輸入税を計算するためには、商品ごとにHSコード(Harmonized System Code、国際的な商品分類番号)と原産国を登録しておく必要がある。Shopify公式ヘルプセンターでは、HSコードが未設定の場合、商品の説明文やカテゴリー情報から推定して計算を試みるとされているが、これらの情報がすべて欠けている場合には、その注文について関税・輸入税は計算されないと明記されている。つまりHSコードの未設定は「関税が0円と表示される」という誤った安心感につながりかねず、後日の追加請求トラブルの原因になり得る。
設定は商品ページの「関税とHSコード」欄、またはCSVでの一括編集から行える。取り扱い商品点数が多い場合は、カテゴリーごとに代表的なHSコードを整理したうえで、CSVエクスポート・インポートを使って一括登録すると効率がよい。原産国についても、製造委託先が複数ある場合は商品ごとに正確な国名を登録する必要がある。
「関税」と「輸入税」は別のものである
越境ECの実務では「関税」とひとまとめに語られがちだが、輸入時に発生する費用には性質の異なる2種類が含まれる。1つは関税(customs duty)で、商品を国境を越えて輸入する行為そのものに課される税である。もう1つは輸入消費税・付加価値税(import VAT/GST)で、国内で商品を消費することに対して課される税であり、多くの国で国内販売の消費税・付加価値税と同じ枠組みで扱われる。Shopifyの「関税と輸入税(Duties and import taxes)」機能は、この両方をまとめて概算計算・徴収する機能として設計されており、どちらか一方だけを個別に扱う設定にはなっていない点を理解しておく必要がある。
関税計算の考え方
関税・輸入税は、商品代金だけでなく送料や保険料などを含めた課税価格に対して、HSコードごとに定められた税率を掛け合わせて算出されるのが一般的な考え方である。税率は輸入国・商品カテゴリーごとに個別に定められており、同じ商品でも仕向け先の国によって税率が異なる。Shopifyのチェックアウトで表示・徴収される金額は、登録されたHSコード・原産国・配送先情報をもとにした概算値であり、実際の通関時に確定する金額と差異が生じる可能性がある点は、公式ヘルプセンターも「見積もり額である」と明記している。
HSコード特定の実務
HSコードは商品の素材・構造・用途などをもとに、世界共通の6桁の分類に加え、各国が細分化した追加桁を組み合わせて特定する。同じような見た目の商品でも、素材や機能の違いによって分類が変わることがあり、自己判断で誤ったコードを登録すると、実際の通関時に想定と異なる税率が適用され、チェックアウトで表示していた金額と差が生じる原因になる。判断に迷う商品については、通関業者や貿易実務に詳しい専門家に確認を取ったうえで登録することが望ましい。
既存商品への遡及対応
すでに多数の商品を登録した状態からHSコード・原産国の整備を始める場合、全商品を一度に見直すのは現実的でないことが多い。販売数量の多い商品、越境販売の比率が高いカテゴリーから優先的に着手し、対応済み・未対応の商品を管理表などで可視化しながら段階的に整備を進めていく方法が、実務上は取り組みやすい。
新商品登録時のチェック体制
商品点数が増え、担当者間で商品登録の作業を分担するようになると、HSコードの登録が抜け落ちる商品が出てきやすい。新商品を追加するワークフローの中に「HSコード・原産国を入力しないと公開できない」という必須項目チェックを組み込んでおくと、登録漏れによる関税未計算のリスクを構造的に減らすことができる。
対応国・地域の制限に注意
Shopifyは、一部の国・地域についてはチェックアウト時の関税・輸入税徴収に対応していない。公式ヘルプセンターが挙げる対象外の例には、スーダン、北アイルランド、ロシア、プエルトリコ、サン・ピエール・ミクロン、ミクロネシア、マーシャル諸島、パラオなどが含まれる。対応国は変更される可能性があるため、主要な出荷先については必ず最新の公式ヘルプセンターで確認したうえで運用を設計する必要がある。
米国向け輸入規制の変更に注意
Shopify公式ヘルプセンターは、2025年8月29日以降、米国向けのすべての輸入品に関税・輸入税が適用されるようになったと案内している。これは、少額の輸入品を関税免除としてきた従来のde minimis(デミニミス)免除制度が撤廃されたことによるもので、米国向けに低単価の商品を出荷している事業者ほど影響が大きい。米国を主要な販売先とする場合は、HSコード・原産国の登録とDDP/DAPの選択を、この制度変更を前提に見直す必要がある。
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Managed Markets(旧Markets Pro)と日本の事業者が使える範囲

Shopifyには、関税計算・徴収・送金までを自動化する、より高度な機能としてManaged Markets(旧称:Shopify Markets Pro)が存在する。この機能は、着地価格(Landed Cost、商品代金・送料・関税・税金を合算した総額)の自動計算や、集めた関税の政府への送金代行までをShopify側が担う仕組みだが、提供対象が米国法人に限定されている。そのため、日本国内に法人を置く事業者が直接Managed Marketsを導入することは、現時点では想定されていない。
日本の事業者であっても、Shopifyペイメントを利用していれば、いずれのプランでもチェックアウト時の関税・輸入税の概算表示・徴収機能自体は利用できる。Managed Marketsのような自動送金までは含まれないため、徴収した関税分の実際の納付や通関対応は、自社で契約する配送業者・通関業者との連携で運用する必要がある。この役割分担を理解しないまま「Shopifyが関税を全部代行してくれる」と誤解すると、納税義務や書類対応が漏れるリスクがあるため、導入前に配送業者・通関実務の担当者を交えて運用フローを確認しておきたい。
日本の事業者にとって現実的な体制は、Shopify標準の関税・輸入税表示機能でチェックアウト時の顧客体験を整えつつ、実際の通関手続きや納税は、DHLなどのDDP対応キャリアや、契約する通関業者のサービスに委ねる形である。国際輸送を専門とするキャリアの多くは、DDP発送に付随する通関代行サービスを提供しているため、Shopify単体で完結させようとせず、配送パートナー側のサービス範囲を含めて全体設計を検討することが実務的な進め方になる。
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決済手段:クレジットカード以外の現地決済への対応

多通貨表示を整えても、購入者が普段使っている決済手段に対応していなければ、最後のチェックアウトで離脱される可能性が残る。国・地域によってクレジットカード以外の決済手段の普及度は大きく異なり、たとえば中国向けであればAlipayやWeChat Payのような決済サービス、東南アジアであれば各国のQRコード決済やコンビニ決済など、地域ごとに主流の決済手段が存在する。
ShopifyペイメントはVisa・Mastercard・American Expressなど主要な国際ブランドに加え、Apple Pay・Google Payなどのデジタルウォレットに標準対応している。これに加えて、PayPalのような越境決済に強い決済手段や、地域特化の決済代行サービスをShopify App Storeから追加することで、対象国の主要な決済手段をカバーしていく設計が一般的である。決済手段を増やすほどチェックアウトの選択肢が複雑になりやすいため、まずは主要な出荷先国・地域を絞り込み、その市場で本当によく使われている決済手段から優先的に導入するという順序が実務的である。
決済代行サービスを使う選択肢
国・地域ごとに個別の決済サービスを1つずつ契約・連携していくのは手間が大きいため、複数の現地決済手段をまとめて仲介する決済代行サービスをShopify App Store経由で導入する事業者も多い。こうしたサービスは、契約や導入の手続きを一本化できる利点がある一方で、手数料体系や対応国が事業者ごとに異なるため、自社の主要販売先をカバーしているか、手数料が既存の決済手段と比べて妥当かを比較検討したうえで選定する必要がある。
通貨対応と決済手段対応は別問題である
多通貨表示ができていることと、その国で好まれる決済手段に対応できていることは、別々に確認すべき項目である。価格をローカル通貨で表示できていても、決済手段がクレジットカードとPayPalしかなければ、クレジットカードの保有率が低い国や、QRコード決済・後払いサービスが主流の国では購入までたどり着けない顧客が一定数生じる。マーケットを新規追加する際は、通貨・言語の設定と合わせて、その国で標準的に使われている決済手段が揃っているかを必ずセットで確認したい。
決済手段とマーケット設定の連動
Shopify Marketsでは、マーケットごとに利用可能な決済方法を出し分けることもできる。特定の国でのみ利用したい決済サービスがある場合は、決済サービス自体の設定に加えて、そのマーケットに紐づく決済方法の表示設定も確認しておく必要がある。設定が噛み合っていないと、決済サービス自体は有効化されているのにチェックアウト画面に表示されない、といった見落としが起こりやすい。
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よくある失敗とその対策

為替レートの更新設定を勘違いしたまま放置する
自動為替レートのつもりで運用していたら、実際には過去に手動で固定価格を設定していて、大きな為替変動があっても価格が据え置かれたままだった、という設定の勘違いは起こりやすい。マーケットごとの価格設定が自動計算か手動固定かは、定期的に管理画面で確認し、想定と食い違っていないかをチェックする運用が必要である。
HSコード未設定のまま関税表示なしで販売してしまう
HSコードや原産国が未設定のまま関税徴収機能をオンにすると、チェックアウト時に関税が0円、または表示自体がないまま注文が確定してしまうことがある。この状態で商品が海外に到着すると、購入者が配達時に想定外の関税を請求され、受け取り拒否やクレームにつながりかねない。新商品を追加した際は、HSコード・原産国の入力をチェックリスト化しておくことが有効である。
DDPを選んだのに対応キャリアを使っていない
チェックアウトでDDP(関税込み)を選択して顧客から関税を徴収したにもかかわらず、実際の配送ラベルはDDPに対応していないキャリアで発行してしまうと、購入者からすでに徴収した関税と、実際の配送過程で発生する関税の扱いが二重になったり、通関でトラブルになったりする恐れがある。DDPを選ぶ場合は、Shopify経由でDDPラベルを購入できる配送業者を使うか、外部で確実にDDP対応の手配ができているかを事前に確認する必要がある。
翻訳を自動任せにして誤訳やSEO面の抜け漏れが放置される
自動翻訳のみで多言語ページを公開し、そのまま放置してしまうと、商品名や仕様の誤訳、送料・返品条件など重要な文言の誤解が生じるリスクがある。また、各言語ページのURL構成やhreflangタグが適切に設定されていないと、検索エンジンに正しく認識されず、想定していた言語圏からの流入が伸びないことも起こり得る。主要言語だけでも公開前に人が内容を確認する工程を設けておきたい。
対応国・地域の制限を確認せずに展開してしまう
関税・輸入税の徴収機能や決済手段には、Shopifyが対応していない国・地域が存在する。展開を計画している国が対応対象かどうかを事前に確認しないまま販売を開始すると、想定していた機能が使えないことに後から気づき、手戻りが発生することがある。新しい国・地域への展開前には、必ず公式ヘルプセンターの最新情報を確認する工程を組み込んでおきたい。
チェックアウト後のポリシー変更を旧注文に適用してしまう
DDP・DAPの方針や関税徴収機能のオン・オフを切り替えた際、その変更が適用されるのは切り替え後に発生した新規注文であり、すでに確定・出荷済みの過去の注文には影響しない場合がある。この前提を混同したまま「設定を変えたのに古い注文の関税表示がおかしい」と対応してしまうと、顧客対応が混乱する原因になる。設定変更を行った日時と、その変更が適用される注文の範囲を、社内の対応記録に残しておくと問い合わせ対応がスムーズになる。
送料と関税を切り離して考えてしまう
送料の設定と関税の設定は管理画面上では別々の項目になっているため、それぞれを個別に検討し、購入者から見た総支払額としての整合性を確認し忘れることがある。送料を安く見せるために低めに設定し、関税は概算のまま別枠で表示していると、購入者が最終的に支払う総額が分かりにくくなり、チェックアウト直前での離脱につながりやすい。送料と関税を含めた総額を、購入者がチェックアウトのどの段階で把握できるかを通しで確認しておくことが重要である。
担当者の異動・退職で設定の背景が引き継がれない
Marketsの設定、価格ルール、HSコードの登録方針などは、一度設定すれば終わりではなく、為替や税制の変化に応じて見直しが必要になる運用項目である。設定した担当者が異動・退職すると、なぜその設定になっているのかという背景が分からないまま放置されるケースが少なくない。設定内容と、その判断根拠を簡単にでも記録に残し、複数人で把握できる状態にしておくことが、長期的な運用の安定につながる。
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段階的な導入ロードマップ

多通貨・多言語・関税設定のすべてを一度に完璧に整えようとすると、検討事項が多くなりすぎて着手が遅れがちになる。ここでは、Shopify公式ヘルプセンターの機能説明を踏まえた、現実的な段階の踏み方を整理する。
第1段階:1つの重点国でMarketsを立ち上げる
最初から多数の国を同時に展開するのではなく、既存の売上実績や問い合わせ状況から、最も需要が見込める1〜2か国を選んでマーケットを作成する。通貨・言語・ドメイン構成・配送設定という基本項目をこの段階で丁寧に作り込み、実際に自分たちでテスト注文を行って、購入者の目線で違和感がないかを確認する。
第2段階:関税表示(DAPまたはDDP)を整備する
基本の販売体験が整ったら、対象商品のHSコードと原産国を登録し、関税・輸入税の表示を整える。DDP対応の配送業者と契約できる場合はDDPを、まだ体制が整っていない場合はDAPを選び、少なくとも「関税は購入者負担になり得る」という案内をチェックアウト前に明示する状態を作る。この段階で、送料と関税を合わせた総額表示に不自然な点がないかも確認する。
第3段階:決済手段と多言語対応を拡充する
販売実績が積み上がってきた段階で、対象国でよく使われる決済手段を追加し、翻訳の精度を上げていく。自動翻訳のままだった箇所を優先度順に人の目で確認し、hreflangタグなど多言語SEOの設定も見直す。この段階まで来ると、次に展開する国を追加する際の型ができているため、以降の国・地域展開はより短い期間で進められるようになる。
展開国を選ぶ際の考え方
どの国から着手するかは、すでに問い合わせや個人輸入的な購入が発生している国、SNSでの言及が多い国、競合の越境EC展開状況などを手がかりに絞り込むのが現実的である。加えて、関税・輸入税の徴収機能や決済手段の対応状況、DDP対応キャリアの配送可否といった、Shopify側の対応範囲そのものが国によって異なる点も、優先順位を決めるうえで欠かせない判断材料になる。希望する国が現時点でShopifyの関税徴収機能の対象外だった場合は、その国はDAPで先行し、対応が広がった段階でDDPへ切り替えるという柔軟な進め方も選択肢に入る。
第4段階:定期的な運用の型を作る
為替レートの前提、価格ルール、HSコードの登録状況、対応国の制限などは、いずれも時間の経過とともに変化し得る項目である。四半期に一度など、定期的に主要な設定を見直すタイミングを社内カレンダーに組み込んでおくことで、設定の陳腐化や思い込み違いに気づかないまま長期間運用してしまうリスクを減らすことができる。
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まとめ

多通貨・多言語・関税設定は、それぞれが独立した機能に見えて、実際にはチェックアウトまでの一連の顧客体験として一体で機能する。Shopify Marketsは、この3つを1つの管理画面でまとめて扱うための標準機能であり、通貨の自動・手動設定、翻訳の公式アプリとサードパーティアプリの使い分け、DDP・DAPの選択、HSコードと原産国の登録という、それぞれの判断ポイントを正しく押さえることが、越境ECを安定して運用するための土台になる。
本記事で取り上げた設定項目や制度(特に関税に関する規制)は、各国の制度変更に応じて随時更新される可能性がある。実際の設定を行う際は、必ずShopify公式ヘルプセンターの最新の記載を確認したうえで進めることをおすすめする。
越境ECの成否は、広告や商品力だけでなく、こうした地味な設定の積み重ねによって左右される部分が大きい。多通貨・多言語・関税表示のいずれか一つでも不備があると、購入者が離脱する理由が「価格が高いから」でも「商品が魅力的でないから」でもなく、単に「安心して買える情報が揃っていなかったから」になってしまう。まずは自社のストアが、現在展開している国・地域それぞれで、通貨・言語・関税表示・決済手段の4点をきちんと満たせているかを棚卸しするところから始めるとよい。
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よくある質問
Shopify MarketsはどのShopifyプランから使えますか?
Shopify Liteを除く各プランでMarkets機能自体は利用でき、複数言語・複数通貨の基本的な設定が可能である。ただし同時に管理できるマーケット数や一部の高度な機能はプランによって異なるため、契約中のプランの詳細は最新の公式料金ページで確認するのが確実である。
為替レートはどのくらいの頻度で更新されますか?
自動為替レートを選択している場合、市場の為替レートを参照して価格が更新される仕組みになっている。更新の即時性や反映タイミングは仕様として変更され得るため、価格戦略上重要な商品については、管理画面で表示価格を定期的に確認する運用をおすすめする。
DDPとDAP、越境ECを始めたばかりならどちらを選ぶべきですか?
対応配送業者でDDPラベルを購入できる体制と、全商品のHSコード・原産国の登録が整っているならDDPが望ましい。体制がまだ整っていない場合は、まずDAPで開始し、関税表示だけはチェックアウト時に明示したうえで、体制が整い次第DDPへ移行する進め方が現実的である。
HSコードが分からない商品はどうすればよいですか?
HSコードは商品の材質・用途などから国際的な分類表に基づいて特定する。自社での特定が難しい場合は、通関業者や貿易実務の専門家に確認するのが確実である。未設定のまま関税徴収機能を有効化すると、正しく関税が計算されない注文が発生し得るため注意が必要である。
多言語対応は自動翻訳だけで十分ですか?
自動翻訳は迅速に多言語ページを用意できる利点があるが、商品仕様や返品条件など誤解が許されない情報については、人による確認・修正を挟むことが望ましい。特に主要な販売言語については、公開前にネイティブ話者によるチェックを行うことが推奨される。
Managed Marketsを日本の会社で使うことはできますか?
Managed Markets(旧Shopify Markets Pro)は米国法人向けに提供されている機能であり、日本国内の法人が直接利用することは想定されていない。日本の事業者は、チェックアウト時の関税・輸入税の概算表示・徴収機能を使いながら、納付や通関対応は自社で契約する業者と連携して運用する形になる。
クレジットカード以外の決済手段はどう選べばよいですか?
展開先の国・地域で実際によく使われている決済手段を優先することが基本である。中国向けであればAlipayやWeChat Payのような決済サービス、東南アジア向けであれば各国のQRコード決済など、地域特性に合わせてShopify App Storeから決済アプリを追加していく。
関税の対応国・地域はどこで確認できますか?
Shopify公式ヘルプセンターの「関税と輸入税」に関するページに、対応対象外の国・地域が明記されている。対応範囲は変更される可能性があるため、新しい国への展開を計画する際は、都度最新の公式情報を確認することをおすすめする。
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編集ポリシー
- 本記事は各社の公式発表・公式ドキュメント・一次情報を優先して執筆し、本文中に出典と日付を明記しています。
- 効果や改善幅に関する記述は、公的な統計が存在しない領域では断定せず、確認できた一次情報と、読者が自分で確かめるための手順に置き換えています。
- 執筆は片岡、内容の正確性はShopify Plus Partnerの黒岩が確認しています(執筆・監修者は記事上部・下部に記載)。
- 公開後に誤り・古い情報が判明した場合は、本文を修正のうえ更新日を改めます。修正のご指摘は運営元(株式会社セルフプラス)までお寄せください。
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執筆者について
本記事は、Shopify公認の上位認定「Shopify Strategic Partner」に選出された株式会社セルフプラスが運営しています。
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多通貨・多言語・関税設定の見直しはお済みですか?

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