監修:黒岩俊児(株式会社セルフプラス 代表・Shopify Plus Partner)
公開日:2026年10月13日|本記事は各社の公式発表・一次情報にもとづき、EC構築の実務者が内容を確認しています。
AI検索やAIショッピング機能が商品を「知る」経路は、ひとつではありません。検索エンジンやAIエージェントがページのHTMLをクロールして読み取る経路と、Googleマーチャントセンターのような商品フィードへ店舗側から能動的にデータを送信する経路の、2つが並走しています。どちらか片方だけを整えても、AIに商品を正しく伝えたことにはなりません。「構造化データは入れた」「アプリを繋いだから商品フィードも大丈夫」というところで止まっているサイトは少なくありませんが、実際に効いてくるのはそこから先、必須項目の抜けや、ページとフィードの値のずれです。本記事では、ページ内のProduct構造化データと商品フィードの両方を対象に、必須項目・抜けやすい項目・実務でのつまずきどころを、公式ドキュメントで確認できた範囲でまとめます。
目次
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AIが商品を知る2つの経路——ページのHTMLと商品フィード

「AI検索対策」というと、記事やページの中身を充実させる話に偏りがちです。しかし商品情報に関しては、ページとは別にもう一つ、店舗側から能動的にデータを送るチャネルがあります。それが商品フィードです。
| ページの構造化データ | 商品フィード | |
|---|---|---|
| データの置き場所 | 商品ページのHTML内(JSON-LD) | Googleマーチャントセンター等へ送信する商品データ |
| 更新の主体 | 検索エンジン・AIがクロールして読み取る | 店舗側が能動的に送信・更新する |
| 主な用途 | リッチリザルト、AI検索での商品説明の根拠 | Googleショッピングタブ、ショッピング広告、AIモードの商品カードなど |
| 片方だけ直したら | 連携設定による。独立管理なら反映されない | 連携設定による。独立管理なら反映されない |
ページを編集しただけでは、別管理のフィードまで必ず更新されるとは限りません。ShopifyのGoogle & YouTubeチャネルのような自動同期もあるため、使っている連携の仕様と最終更新時刻を確認し、両方の値を突き合わせてください。ページ側の実装はShopifyの構造化データ実装ガイドを参照し、本記事では商品フィードとの整合を確認します。
なお2022年以降、Googleは商品の構造化データだけでもマーチャントセンターを使わずに検索結果への商品掲載の対象になり得るよう、仕組みを拡張しています。とはいえ実務では、ショッピングタブや価格情報を伴う表示の多くは、今も商品フィード経由が中心です。両方を押さえておくに越したことはありません。商品情報の整備は、サイト全体のAI検索対策の一部でもあります。EC全体の取り組み方はECサイトのGEO対策で整理しています。
本記事で「必須」「必要」と断定している内容は、Google Search Central・Google Merchant Center Help・schema.org・Shopify公式ヘルプ・ecforce公式サポートなど、一次情報で確認できた範囲に限定しています。ChatGPTやPerplexityなど他のAI検索・AIショッピング機能が商品フィードやProduct構造化データをどこまで参照しているかは、公式に確認できる情報が限られるため、本記事では扱いません。
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Product / Offer / AggregateRating 構造化データの実装例

ページ側の商品構造化データは、次のようにJSON-LDで記述します。最低限の骨格は次のとおりです。
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "Product",
"name": "オーガニックコットン バスタオル",
"image": ["https://example.com/products/towel-1.jpg"],
"sku": "TW-1001",
"gtin13": "4912345678904",
"brand": {
"@type": "Brand",
"name": "Example Store"
},
"offers": {
"@type": "Offer",
"url": "https://example.com/products/towel",
"priceCurrency": "JPY",
"price": "3300",
"availability": "https://schema.org/InStock",
"itemCondition": "https://schema.org/NewCondition"
},
"aggregateRating": {
"@type": "AggregateRating",
"ratingValue": "4.6",
"reviewCount": "128"
}
}
コード中の商品名・価格・評価件数・識別子は説明用です。実際の商品情報と一致する値に差し替えてください。特にGTINを推測して作ったり、存在しないレビュー件数を入れたりしてはいけません(Google公式:商品データ仕様)。実装時には、次の4項目も確認します。
- gtin / gtin13 など。 JAN・EANコードにあたる識別子です。schema.orgの定義では8・12・13・14桁の数値文字列、またはGS1デジタルリンクURLを指定します
- brand。 この例ではBrandオブジェクトを使っています。schema.orgではBrandまたはOrganizationが想定されています。ここが空、または店舗名とブランド名を混同したまま入っているケースをよく見かけます
- availability。 「在庫あり」という日本語文字列ではなく、schema.org/InStockのようなURL形式の値が必要です
- priceCurrency。 ISO 4217の通貨コード(JPYなど)です。price(金額)だけを入れて満足してしまいがちですが、これが無いと不完全な扱いになります
Googleの「商品スニペット」構造化データは、name に加えて offers・review・aggregateRating のいずれか1つ以上が必須です(Google Search Central・商品スニペットのドキュメント)。3つすべてを入れる必要はありませんが、1つも無いと対象になりません。さらに一歩進んで「販売者のリスティング(merchant listing)」として扱われるには、offers(AggregateOfferではなくOffer)に price と priceCurrency が必須で、価格は0より大きい必要があります(Google Search Central・merchant listingのドキュメント)。実装方法(Liquidでの出し方、scriptタグの注意点)や、よくある実装ミスの詳細はShopifyの構造化データ実装ガイドにまとめているので、そちらもあわせて確認してください。
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商品フィード(Googleマーチャントセンター)で埋めるべき属性

商品フィードには、ページの構造化データとは別に、Googleが定める「商品データ仕様」に沿って項目を埋める必要があります(Google公式:商品データ仕様)。
必須属性
- id。 商品の一意の識別子(最大50文字)
- title。 商品名(最大150文字)
- description。 商品説明(最大5,000文字)
- link。 ランディングページのURL
- image_link。 メイン画像のURL。2027年1月31日以降は500×500ピクセル以上が必須になる予定です(Google Merchant Center Help)
- availability。 in_stock・out_of_stock・preorder・backorderのいずれか
- price。 ISO 4217の通貨コード付き
条件付きで必須になる属性
- brand。 新規に登録する物理商品はほぼ必須です
- gtin・mpn・identifier_exists。 GTINがあれば登録を推奨、GTINを持たない商品はmpnが必須、識別子自体を持たない商品はidentifier_existsをfalseにします
- availability_date。 予約・入荷待ち(preorder・backorder)の商品では、入荷予定日の指定が必須です
- age_group・gender・color・size。 アパレルなど対象カテゴリでは必須になります
- item_group_id。 カラー・サイズ違いなどバリエーション商品をまとめる際に必須です
ここで見落とされがちなのが、「未承認のまま放置される」問題です。マーチャントセンターの商品ステータスには、審査中・処理中・承認済み・制限付き・不承認という段階があり(Google Merchant Center Help)、不承認になった商品はショッピングタブや商品スニペット、ショッピング広告の対象から外れます。ただし通常のサイト表示や購入自体は問題なく動くため、担当者が気づかないまま何週間も放置されるケースが少なくありません。マーチャントセンターの「診断」タブ(商品アイテムに関する問題/アカウントに関する問題)を、定期的に(目安として週1回程度)確認する運用が推奨されています。
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サイトの表示とフィードの値がずれる問題(在庫・価格)

商品フィードとページ(ランディングページ)の間で、価格や在庫状況が一致しない場合、Googleは他のデータ品質違反とは別枠で扱い、予防措置として商品アイテムを不承認にします(Google Merchant Center Help・商品データ品質違反による不承認の解決)。値上げ後にフィード側だけ古い価格のまま残っている、在庫切れなのにフィード側はin_stockのまま、といった状態がこれに当たります。不一致を直した後は、マーチャントセンターから再審査をリクエストする必要があり、通常3〜7営業日かかります。
この問題は特定のカートに限った話ではありません。たとえばecforceの商品データフィード機能についても、公式サポートは「価格に差異がある場合、審査NGや後日掲載先から指摘を受ける可能性がある」と明記しています(ecforce公式サポート・商品データフィード)。フィードは一度作って終わりではなく、価格改定やセール、在庫切れのたびにサイト側と揃っているかを確認する運用が前提になります。
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Shopify・ecforceそれぞれの実務

Shopify——「Google & YouTube」チャネルで自動連携できるが、識別子は自分で埋める
Shopifyには公式の「Google & YouTube」チャネルアプリがあり、接続すると既存の商品が初回に自動で同期され、以降の商品変更も自動的に反映されます。Shopify管理画面で作成した一部のプロモーション(割引率・固定額・自動割引)も、Google広告やGoogleのオーガニック検索表示に自動で同期されます(Shopify公式ヘルプ・Google Merchant Center Help)。
ただし、GTIN・ブランドといった識別子は自動生成されません。GTINは商品バリアントの詳細画面に入力する項目で、入力していなければフィード側は空のままです。GTINが無い場合はMPNとブランドの入力が必要になります(Shopify公式ヘルプ)。「チャネルを追加したから商品フィードはもう万全」と思い込まず、識別子系の項目が商品ごとに実際に埋まっているかを確認してください。
ecforce——商品データフィードは手動運用が基本
ecforceには商品情報をCSVで出力する「商品データフィード」機能があります。商品の基本設定で「商品データフィードへ掲載」を選び保存したうえで、設定 > 外部連携アカウント管理 > 商品データフィードから「データフィード作成」ボタンを押してCSVを生成する、という手動の流れが基本です(ecforce公式サポート)。出力される項目(id・title・description・availability・condition・price・link・image_link・brand・mpn)はGoogleの商品データ仕様と近い構成ですが、公式サポートの説明はFacebook・Instagramのカタログ登録を主な用途として案内しており、Googleマーチャントセンターへの直接連携は明記されていません。また自動更新にしたい場合はカスタマーサポートへの申請が必要です(ecforce公式サポート)。
つまりecforceでは、「カートが商品フィードを自動でやってくれている」と思い込むと、実際にはボタンを手動で押す運用になっていたり、Googleマーチャントセンターへの登録ルート自体を別に用意する必要があったりします。Shopifyでも「チャネルを繋いだから終わり」ではなく識別子の入力が要るように、使っているカートが何を自動化していて、何を人が埋める必要があるのかは、一度棚卸ししておくべきポイントです。
棚卸しの観点は、次の3つに分けると整理しやすくなります。(1)そもそも商品フィードを送る仕組みがあるか、(2)あるとして更新は自動か手動か、(3)GTIN・ブランドなど識別子の元データが商品マスタに入っているか。この3つのどれか1つでも欠けていると、フィード自体は存在するのに中身が古い、あるいは不完全という状態になります。
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実装後の確認方法

- リッチリザルトテスト。 ページに入れたJSON-LDが正しく認識されているか、Googleのリッチリザルトテストで確認します
- Search Consoleの拡張レポート。 「商品スニペット」と「販売者のリスティング」は別々のレポートとして用意されており(Search Console ヘルプ)、ページ側の構造化データがどう検出されているかを確認できます
- マーチャントセンターの表示設定とステータス。 商品ごとに審査中・処理中・承認済み・制限付き・不承認のいずれかが表示されます(Google Merchant Center Help)
- マーチャントセンターの診断タブ。 「商品アイテムに関する問題」「アカウントに関する問題」をまとめて確認できます。アカウントに関する問題は全商品に影響するため優先度高めです
4つとも一度確認して終わりにするのではなく、価格改定・セール・在庫切れのたびに崩れていないかを見る、定期チェックの対象として運用に組み込むことが大切です。
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よくある質問(FAQ)
商品フィードとページの構造化データ、どちらか一方だけで十分ですか?
十分ではありません。ページの構造化データは検索エンジンやAIエージェントがページをクロールした際に読み取るもので、商品フィードは店舗側がGoogleマーチャントセンターなどへ能動的に送るデータです。データの置き場所も更新経路も別なので、片方を整えてももう片方には反映されません。両方を揃え、かつ値が一致していることまで確認する必要があります。
GTIN(JAN・EANコード)がない商品はどう対応すればいいですか?
Googleマーチャントセンターの仕様では、GTIN・ブランド・MPNの識別子を持たない商品は、それらを送信せずidentifier_existsをfalseに設定することになっています(Google公式:商品データ仕様)。GTINがあるのに省略したり、適当な値を入れたりすると審査で問題になります。
Shopifyを使っていれば商品フィードは自動で完璧になりますか?
全部ではありません。Shopifyの「Google & YouTube」チャネルを設定すると、既存の商品が初回に同期され、以降の変更も自動的に反映されます。ただしGTIN・ブランドといった識別子は、商品のバリアント詳細に入力していなければ空のままです。チャネルを追加しただけで満足せず、識別子系の項目が実際に埋まっているかを商品ごとに確認してください。
ecforceでGoogleショッピングに商品を出すにはどうすればいいですか?
ecforceには商品情報をCSVで出力する「商品データフィード」機能がありますが、公式サポートの説明ではFacebook・Instagramのカタログ登録を主な用途として案内されており、Googleマーチャントセンターへの直接連携は明記されていません。また出力自体もデータフィード作成ボタンを押す手動運用が基本で、自動更新にしたい場合はカスタマーサポートへの申請が必要です(ecforce公式サポート)。Googleマーチャントセンターへの登録ルートを別途用意する必要がないか、事前に確認しておくと安全です。
フィードの不承認に気づかないまま放置するとどうなりますか?
不承認になった商品は、ショッピングタブや商品スニペット、ショッピング広告などの対象から外れますが、通常のサイト表示や購入自体は問題なく動くため、気づかれないまま放置されがちです。マーチャントセンターの診断タブでは「商品アイテムに関する問題」「アカウントに関する問題」を確認でき、週1回程度のチェックが推奨されています。放置期間が長いほど、機会損失も長く続くことになります。
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まとめ|ページと商品フィード、同じ内容で揃える

AIに商品情報を正しく伝えるには、ページのProduct構造化データと商品フィードという2つの経路を、別々にではなく同じ内容で揃えるという視点が欠かせません。構造化データ側の必須・推奨プロパティ、フィード側の必須・条件付き必須属性を一度埋めるだけでなく、価格改定やセール、在庫切れのたびに両者がずれていないかを確認する運用まで含めて設計してください。使っているカートが自動でやってくれる範囲と、人が手を動かす必要がある範囲を切り分けておくことも同じくらい重要です。
ページ側の構造化データの実装はShopifyの構造化データ実装ガイドに、サイト全体でのAI検索対策の考え方はECサイトのGEO対策にまとめています。自社の商品データが今どう見えているか判断がつかない場合は、AIO無料診断で確認することもできます。
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