お客様を細分化する「顧客セグメント」という用語を聞いたことがあるかもしれませんが、その詳細については分からないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
また、お客様を分類したいと考えているが、どのように分類すれば良いかわからないという悩みもあるかもしれません。
本記事では、顧客セグメントの意味や分類方法、そして顧客セグメントを評価するための方法について詳しく解説しています。ぜひご一読いただき、お客様のニーズに合った効果的なセグメンテーションを実施し、ビジネスの成功につなげていただければ幸いです。
Contents
顧客セグメントとは?
顧客セグメントとは、対象とする顧客の特徴を分けてふるい分けした状態をいいます。ここでいう特徴とは、顧客の性別や年齢、住まい、行動です。
なぜふるい分けをするのかというと、万人に同じものを売ろうとすることはとても困難なため、それぞれの特徴を持つ人が希望するものや商品を提供することで売上につながるからです。
例えば、畑を耕す機械を売りたいと考えているのに、高層ビルが多く畑がない地域の人にアプローチをかけても売れないのは当たり前です。
しかし、ふるい分けをして畑を持つ人や耕すことを目的とした人にアプローチをかけると売れる可能性は高まります。このようなふるい分けを行うことを「顧客セグメンテーション」といいます。
顧客セグメントの重要性とは?
上記でも説明をしたように、顧客が求めるものをより的確にキャッチをするためには、ふるい分けつまり「マーケティング」を行わなければいけません。顧客が求めるものに対して的確にアプローチすることで、必要最小限の費用で最大の効果を狙えます。そのためには、顧客セグメントを分類し、特定の属性ごとのセグメントを作らなければいけません。的確に狙うために、顧客セグメントの設定は重要です。
SNSを多くの方が利用しているため、顧客の趣味や関心などの情報が容易に獲得できる時代です。このような情報を各企業が入手できるようになったことから、より顧客が求めるもの心理的な部分にアプローチできるように、顧客セグメントを行わなければいけません。
顧客セグメントの分け方(分類方法)
顧客のニーズを掴むためには、顧客セグメントを分けなくてはいけません。
大まかに分類すると以下の4つに分けられます。
- 人口動態変数
- 地理的変数
- 心理的変数
- 行動変数
売り出す商品によって細かく分類することで、戦略を立てやすくなります。
人口動態変数
人口動態変数とは、年齢や性別、家族構成、職業、世帯年収など顧客の属性のことをいい、「デモグラフィック変数」ともよばれます。最初の大枠でふるい分けるときによく使われる変数です。
上記の属性をもとに分けるとした場合、以下のような分け方ができます。
- 年齢:幼児・10代・20代・30代・若者・中高年・高齢者など
- 性別:男性・女性・LGBTなど
- 家族構成:独身・既婚・子供の有無・親と同居など
- 職業:自営業・経営者・会社員・学生・専業主婦など
- 世帯年収:〇万円~〇〇万円など
例えば、腕時計を売ろうと考えた際、腕時計の価格に対し、世帯年収が〇万円以上で職業は自営業や経営者に向けた顧客に向けると購入される可能性が高いという様に、細かなところまでアプローチできます。
他にも食品や衣料品に関しては、年齢や性別により、購入される傾向も顕著に表れます。
地理的変数
地理的変数とは、国や地域、気候、文化や人口密度などのことをいい、「ジオグラフィック変数」ともよばれています。
上記の属性をもとに分けるとした場合、以下のような分け方ができます。
- 地域:東日本・西日本・関東・関西など
- 気候:温暖・寒冷・湿度・季節など
- 人口密度:都市部・郊外・地方など
- 人口規模:〇万人以上など
例えば電化製品で暖房に関するものを売り出そうとしたとき、地理によって必要・不必要なところにふるい分けができます。
商品によっては地域によってのニーズの差が顕著に出る場合があるため、地理的変数による顧客セグメンテーションは必要です。
心理的変数
心理的変数とは、表には見えないパーソナリティやライフスタイルといった趣味趣向のことをいい、「サイコグラフィック変数」ともよばれます。
上記の属性をもとに分けるとした場合、以下のような分け方ができます。
- パーソナリティー:ブランド志向・健康志向・社交的など
- ライフスタイル:アウトドア派・インドア派・スポーツ・釣りなど
従来は心理的変数のセグメンテーションは困難でしたが、ITが進化したおかげで、Web上での購入分析やネットでのアンケート回答の普及により、内面でしか見れなかった部分が視覚化できるようになりました。
行動変数
行動変数とは、商品の使用頻度や用途、ベネフィットなどの利益や行動パターンのことをいい、「ビヘイビアル変数」ともよばれます。
上記の属性をもとに分けるとした場合、以下のような分け方ができます。
- 使用頻度:ライトユーザー・ミドルユーザー・ヘビーユーザー
- 用途:日常使い・お祝い事などの特別な時・イベントなど
- ベネフィット:品質・機能性・経済性など
心理的変数と同様に、行動変数も内面にあるものですが、ITの進化により見える化してセグメントしやすくなりました。
ニーズが多様化している現在において、人間の内面にある小さな部分までアプローチをできるようにセグメントをしなければいけません。
顧客セグメントの評価方法である4Rとは?
4つの変数「人口動態変数」「地理的変数」「心理的変数」「行動変数」それぞれのセグメントがありますが、ターゲットはどれにするのか、どのようにマーケティングをするのかを検証しなければいけません。
このときに使用される検証方法は「4R」です。
- Rank
- Realistic
- Reach
- Response
4Rを使用してセグメンテーションができていたか否かを評価します。4つ全てまんべんなくクリアできているかを検証する必要性があります。
Rank
Rankは優先順位のことをいい、セグメントに分けた項目の重要度の優劣をつけます。自社の経営戦略とマーケティングとセグメントの収益性を照らし合わせ、順位をつけるのがポイントです。
セグメントで項目を並べても、どれが商品を売るのに適しているのかが明確化していないと、消費者にも商品の思いが伝わりません。セグメントで並べられた項目と自社の戦略とマーケティングにマッチした内容の重要度の優劣をつけます。
Realistic
Realisticは有効な規模のことをいい、対象となるセグメントが市場で十分な売上をあげられうかを検証します。
またセグメントが適切であっても売上がでないものであれば、収益もでず採算をとることは難しいです。
分類したセグメントの売上市場の規模とライバル会社の収益をマーケティングし、有効な規模であるかの検証が必要です。
Reach
Reachは到達可能性のことをいい、広告を打ち出して消費者のもとに商品やサービスが届けられるかを検証します。
海外にも商品やサービスを展開したいと考えているときに、言語のハードルだけではなく、輸送のコストも考えなければいけません。
Realisticは十分でも商品が消費者のもとへ到達する可能性が低い市場や、到達はできるけどコストがかさむ場合は、セグメントとしてのRankは低くなります。
Response
Responseは測定可能性のことをいい、消費者の反応を測定・分析できるセグメントかを検証します。
ここでいう反応とは、口コミといったレビューだけではなく、消費者の行動がどのような追跡を行ったかも含めます。
測定や分析ができるセグメントであれば、商品の改善を図れるだけでなく、PDCAサイクルにも活かせるため、Responseは重要です。
顧客セグメント実施における注意点
顧客セグメントを実施する際に注意しなければいけないことがあります。それは主観的にではなく客観的に分け、細かく分けすぎなことが大切です。なぜなのかを詳しく解説します。
主観的にではなく客観的に分ける
自身の考えだけではなく、他の人が聞いても納得できる内容でなければいけません。
なぜならば、自分だけの考えだけでは偏った結果が出る可能性が高いからです。4Rで分析したデータを元に行うことで、主観的にではなく客観的な考えで物事を考えられます。
自身の考えは一つのデータとしてとっておき、データや他の方の意見を取り入れて偏った方向性に行かないようにしなければいけません。
細かく分けない
ある程度経験を積んだ方に見られる失敗が「細かく分ける」ことです。細かく分けてしまえば、上記で説明した4Rの条件に満たさなくなり、目的のところに到達できず失敗をする可能性高くなります。
4つの顧客セグメンテーションに分け、さらに4Rで再確認をするため、あくまでも4Rを基準にすると意識しましょう。
顧客セグメントごとに配信を工夫することでECは伸びる
セグメントごとに配信の工夫を行うことでECは伸びていきます。どのような工夫を施してECを伸ばすのか具体的な方法について解説します。
顧客データを分析し、見える化する
顧客データを分析し、表や図にしてどれぐらいの顧客がいるのかの「見える化」を行います。
具体的には
- 購入した顧客は初回なのか?毎回なのかを毎日確認
- ECデータは会員IDと紐づけをしているか
- ECのデータとSNS会員のデータをメディアごとに分けているか
- 顧客のタイミングに合わせてアプローチができているのか
- 顧客1人1人のコンテンツに合わせてパーソナライズ化しているか
このようなデータを掘り起こし、メディアやECデータを紐づけて「見える化」を行うことで、具体的なアプローチ方法が見えてきます。条件が異なる顧客にアプローチを行っても、高い確率で逃げられます。
逃げられないようにするためにも、顧客の行動やデータを分析し、的確にアプローチをすることでリピーターへと昇進します。
セグメント内にいる休眠予備軍にアプローチする
データを分析しているときに出てくるのが、購入してから日数が経過している「休眠予備軍」です。購入してから日が経っても、サイトやアプリ内を閲覧している可能性はあります。
セグメントして最下層にいる休眠予備軍を見つけてアプローチを行うことで、ロイヤリティを上げられます。
ECにおける顧客分析とは?
ECにおける顧客分析とは、ECサイトで利用した顧客の年齢や性別、購入した商品や金額などのデータのことをいいます。
ここで得たデータをセグメント別に分け、さらに他の商品でもアプローチをかけられるようにしなければいけません。実店舗に比べて細かいデータが得られるため、適切な分析を施せば効率的に販促がすすみます。
ECでは顧客分析は成功の鍵
ECで売上を上げるためには、顧客の個々に適したアプローチを行わなければいけません。
なぜならば、分析を行い顧客にアプローチをかければリピーターへと繋がり、売上があがるからです。
例えば男性であれば、男性向けの製品、女性であれば女性向けの商品を訴求するといった具合です。
大手のECサイトでは、購入した顧客に対し、レコメンドでアプローチします。
反応がない方には、クーポンを発券するなど、リピーターにつながるアクションを頻繁に行っています。顧客の行動や購入した内容、足取りを細かく分析することが成功の鍵だといえます。
ECで活用したい分析手法
顧客分析の種類については、以下の分析方法があります。
【顧客分析の種類】
- CPM分析
- RFM分析
- デシル分析
これらの分析をセグメントごとに行い、顧客の階層に応じてアプローチを行うことで、売上に大きく貢献できます。
CPM分析
CPM分析とは、顧客が購入したデータをもとに行う分析方法です。
確認する項目は以下の通りです。
- 購入回数
- 購入金額
- 最後に購入した日からの経過日数
- 会員としての在籍期間
これらのデータをもとにできる分析は、顧客のロイヤリティやしばらく購入をしていない「休眠顧客」へのアプローチなどです。
RFM分析
RFM分析とは、「最新購入日」「購入回数」「購入金額」3つの指標を分析する方法です。CPMと同じく顧客のロイヤリティの分析に長けており、顧客の階層に応じたアプローチが可能です。
デシル分析
デシル分析とは、購入金額によってセグメント分けを行い分析する方法です。RFM分析と似た部分があり、購入頻度が高い顧客を中心にアプローチをします。
多角的に分析をするわけではないため、ひとつの指標に向かって行う方にはおすすめです。
顧客分析は継続することが大切
顧客分析は継続することが大切です。
なぜならば、売上が低下した時に、分析結果をPDCAサイクルに回して売上の改善をはかれるからです。常に新しい商品が世の中に出ているため、優良顧客も離れる可能性も考えられます。
分析を継続して行うことで、離れかけた顧客にアプローチをかけ回避できる可能性もあるでしょう。当たり前のようですが、常に分析を継続して行うことが大切です。
まとめ:顧客セグメントの意味とは?分け方(分類方法)や顧客セグメントの評価方法(4R)も紹介!
売上を上げるためには、顧客を4つのセグメント「人口動態変数」「地理的変数」「心理的変数」「行動変数」に分け、4Rで評価を行わなければいけません。
セグメントを行うことで、アプローチすべき顧客が見え、的確な情報提供を送り売上に貢献します。
また日々の分析も継続して行うことで、ロイヤリティが高い顧客の離脱も防げます。しっかりと分類・評価を行い、顧客の心を掴み続けるように努めましょう。
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