上手に商品写真を撮影するためにはどのようなポイントを抑えておくべきなのでしょうか。
また、それと同時に個人撮影ではなく外注するメリットや料金についても気になるところですね。
今回は、ECショップ運営者のかたに向けて、そのあたりをまとめてご紹介していきます。
Contents
ECショップに商品画像を掲載するまでの流れは3ステップ
最初に、ECショップに商品写真を掲載するまでの流れを抑えておきましょう。
- 商品の撮影
- 写真の加工
- ECショップへ写真をアップロード
基本的にどんなECショップでも撮影からアップロードまでの流れは共通です。
①商品の撮影
商品写真の撮影は、主に4つの選択肢があります。
- 一眼レフカメラなど本格的な機材で撮影(個人撮影)
- スマホで撮影(個人撮影)
- 商品写真代行業者に依頼(外注)
- プロカメラマンに直接依頼(外注)
個人撮影と外注はそれぞれにメリットとデメリットがあるため、後半の解説記事を参考にしながらベストな選択肢を探してみてくださいね。
②写真の加工
商品を撮影したら必要に応じてレタッチと呼ばれる写真の加工編集をおこないます。
- ぼかし
- 彩度
- 明度
- コントラスト(彩度や明度などの対比調整)
- サイズ、など
写真のレタッチで何ができるのかは、レタッチで使う編集ソフトの機能によります。
レタッチ職人というプロの職業があるほどに、写真の加工や編集はかなり奥が深い作業です。
商品写真は必ずしもレタッチが必要というわけではありませんが、よりクオリティの高い商品写真を求めるほどレタッチは欠かせない作業になりやすいです。
写真撮影を外注する場合は、レタッチも対応してもらうことができます。
③ECサイトへ写真をアップロード
商品撮影からアップロードまでの工程は、ECショップ運営において商品マスター管理の1つの業務となります。
- 商品登録
- 在庫管理
- 文章作成
- 価格設定
- 写真掲載
商品写真を掲載すると同時に価格設定や文章作成もおこなう必要があるため、販売する商品が増えるほど個人撮影は業務負担が大きくなります。
この点も踏まえて、個人撮影と外注のどちらにするのかを判断していきたいところです。
撮影機材はなにが必要?実際にどれくらいの費用がかかるの?
個人で商品撮影をおこなう場合、主に「本格的な機材で撮影」と「スマホで撮影」があります。
それぞれを見てみましょう。
【本格的な機材で撮影】代表的な必要機材と総費用
機材 | 費用 |
カメラ | 一眼レフカメラ:約50,000円~450,000円 ミラーレスカメラ:約50,000円~450,000円 デジタルカメラ:約15,000円~150,000円 フィルムカメラ:約1,000円~2,000円 |
カメラスタンド | カメラスタンド:約200円~950,000円 |
レンズ | ズームレンズ:約30,000円~300,000円 マクロレンズ:約15,000円~750,000円 望遠レンズ:約10,000円~3,600,000円 広角ズームレンズ:約28,000円~1,010,000円 |
ストロボ | フラッシュストロボ:約3,000円~138,000円 大型ストロボ(モノブロック&ジェネレーター):約30,000円~710,000円 クリップオンストロボ:約4,000円~140,000円 |
ストロボスタンド | ストロボスタンド:約500円~20,000円 |
背景 | 背景紙:約1,000円~90,000円 背景スタンド:約1,000円~50,000円 |
アンブレラ(傘) | アンブレラ:約1,500円~70,000円 ソフトボックス:約600円~130,000円 オパライト:約5,000円~20,000円 |
トレーシングペーパー | トレーシングペーパー:約700円~3,000円 |
ライトスタンド | ライトスタンド:約1,000円~40,000円 |
カポック | カポック:約2,000円~9,000円 |
本格的な撮影をするために必要な機材は本当にいろいろとありますが、絶対に必要となるのがカメラです。
カメラだけでもいくつかの種類がありますが、商品撮影として使われることが多いのは「一眼レフカメラ(ミラーがある)」と「ミラーレスカメラ(ミラーがない)」です。
- 一眼レフカメラ:ミラーで反射させた映像を見ながらリアルタイムに撮影可能
- ミラーレスカメラ:ミラーがない変わりに液晶モニターで映像を確認しながら撮影可能
この2つは内部にミラーがあるかどうかが主な違いで、シャッターチャンスを撮影テクニックで攻略していくなら一眼レフカメラ、明るさなどを考慮して映像を確認してから安定した撮影をしていくならミラーレスカメラが向いています。
そのほかの機材については、どのような撮影環境を求めるのかによって必要性が変わってくるため、実際に撮影しながら必要と思った機材を揃えていくのがおすすめです。
プロレベルの商品撮影をするなら結局は必要な機材が増えてくるため、総額として約500,000~1,500,000円ほどは見ておくほうがいいでしょう。
【スマホで撮影】メリットとデメリット
メリット | デメリット |
・持ち運びが簡単でいつでも撮影できる ・コストが安い ・写真管理が楽 ・パソコンへのアップロードがお手軽 ・アプリで加工や編集ができる |
・一眼レフやミラーレスに性能が劣る ・小さな商品は至近距離で撮影しなければならず、ピントが合わない ・レンズ交換ができない ・暗いところでは不向き ・背景紙などの補助機材は必要 |
スマホはカメラ専用機器ではないため、一眼レフカメラやミラーレスカメラに比べて機能は確実に劣ります。
しかし、明るいところで撮影すると思った以上にクオリティの高い写真を撮れるなど、レタッチも含めて使い方によってはスマホだけで商品写真を対策していくことは可能です。
実際、すべての商品写真をスマホで撮影している運営者もいますが、それが正解かどうかは写真に求めるクオリティ次第です。
今すぐにでも試せる方法なので、機材を揃える前にまずはスマホでやってみるというのもアリでしょう。
その結果、やはりスマホで撮影した写真では売上が伸びないと判断されるなら、一眼レフカメラやミラーレスカメラを検討してみるといいですね。
スマホで商品撮影をする場合、とくに絶対に必要となる機材はありませんが、「スマホスタンド(2,000円~3,000円)」や「背景紙(安価なもので1,000~5,000円)」あたりを用意しておくと便利です。
顧客の購買意欲が高まる!撮影方法で抑えておきたい7つのポイント!
個人撮影は機材だけではなく、上記のように見栄えのいい写真を撮るためにも撮影方法のポイントを抑えておきたいところです。
顧客の購買意欲を高めるために7つのポイントを意識しながら撮影に挑んでみてください。
①商品に汚れや傷がないかを確認する
最初に撮影する商品に汚れや傷がないかをしっかり確認しましょう。
②撮影パターンと撮影枚数を決める
アパレル写真のように商品によってはパターンの異なる写真を掲載するほうがいいケースがありますね。
撮影前にパターンと枚数(カット数)を決めましょう。
③背景を決める
商品写真の背景は好みの世界ですが、基本的には白がおすすめです。
白背景は好印象を与えやすいという意外にも、ECモールによっては背景が白でなければならないというケースがあるのも理由です。
Amazonの場合、メイン画像の背景には純白を使用するようにルールが決められています。
参照:Amazon
④角度を決める
商品写真の角度は、お客様に商品の詳細を伝えられる最適な角度を探しましょう。
ECショップに掲載する写真に統一感を出したい場合は、カメラをスタンドで固定しながら角度を探すのがおすすめです。
複数パターンを撮影する場合、各パターンごとに角度を決めておくと撮影がスムーズです。
⑤光の当て方を決める
商品写真の光加減は、暗くならないように光加減を調整しながらも、明るくなりすぎないようにバランスを意識しましょう。
適度な明るさをキープして撮影すれば、あとはレタッチで明るさを微調整することができるため、かなり強いこだわりがない限りはそこまで神経質になる必要はありません。
⑥商品を大きく映す
商品を撮影するときは、写真内の「商品」と「背景」の割合を考える必要があります。
ここを意識しなければ商品が小さくなりがちなので、カメラの中心に商品を置いて大きく撮影するように心がけてください。
⑦ピントを合わせる
ピントを合わせるのは商品撮影の基本です。
ピンぼけした写真はその時点で使えないため、カメラに慣れていないかたはピントを合わせて撮影できるように練習しておくのが好ましいです。
商品撮影を外注するメリットと費用
初心者でも「機材」と「撮影練習」と「レタッチ勉強」によっては、クオリティの高い商品写真を準備できるようになります。
しかし、ECショップを運営しながらも撮影やレタッチの業務をこなすのは、とても負担が大きいですよね。
そのようなときに検討したいのが商品撮影の外注です。
ハイクオリティの商品写真を簡単に準備できる
外注はプロのカメラマンに商品を撮影してもらえるため、簡単にハイクオリティな商品画像を準備できることが一番のメリットです。
- イメージの提案をしてもらえる
- 希望や要求を加味して撮影してもらえる
- 撮影の段取りをすべて任せられる
- ECショップ運営の業務負担を軽減できる
- レタッチも対応してくれる
ブランドのイメージで売り上げが変わる、膨大な商品を販売しているなど、このようなECショップではプロに依頼するケースは少なくないでしょう。
例)ティファニーオフィシャルの商品写真
こちらはティファニーオフィシャルサイトのトップ画像です。
高級感はもちろんながらも躍動感もありますよね。
こちらはティファニーオフィシャルの商品画像です。
実物よりもクオリティが高く見えるという、画像の強みが最大限に活かされており、まさにプロの商品撮影です。
引用元:TIFFANY&CO.
商品撮影代行業者の相場
業者名 | 料金プラン |
SHOUHIN SATSUEI | ハンガー吊るし撮影:1,000円/点(4カット) 平置き撮影:1,300円/点(5カット) トルソー撮影:1,500円/点(4カット) ピン留め吊るし撮影:1,800円/点(4カット) 反射・光沢品の撮影:2,000円/点(3カット) |
Virtual In | 商品撮影:300円/1カット、1,000円/5カット 集合写真撮影:600円/1カット トルソー撮影:1,000円/1カット ディレクターズカット:800円/1カット イメージ撮影:2,000円/1カット 全身マネキン撮影:1,500円/1カット ハンガー撮影:500円/1カット 立体加工プラン:3,500円/1カット 背景白加工:100円~/1カット モデル撮影:1,000円/1商品5カット ジュエリー撮影:2,000円~/1カット 特殊撮影:2,500円~/1カット 高品質画像加工:5,000円/1カット |
商品写真どっとコム | Aランク商品撮影:980円コース Bランク商品撮影:1,980円コース Cランク商品撮影:2,980円コース Dランク商品撮影:3,980円コース フルオーダー商品撮影:4,980円コース 時間制商品撮影:8,000円~12,000/時間 サブカット撮影:980円/1カット 出張撮影:40,000円/半日、70,000円/全日 リアルタイムサービス:1,500円/1カット 印刷使用の高解像度撮影:500円~1,500円 3~11カット |
EANO CREATION | 立会い撮影プラン1時間:19,800円 立会い撮影プラン3時間:39,800円 立会い撮影プラン5時間:59,800円(目安25品) 立会い撮影プラン7時間:74,800円(目安40品) 商品お預かりプラン:10,000円~ |
物撮り.jp | 通常価格:720円/4商品+4カット 反射物:通常価格+330円/1カット アイロンがけ:通常価格+220円/1商品 切り抜き:通常価格+220円/1カット 追加撮影:通常価格+180円/1カット 大型商品撮影:通常価格+540円/1カット 集合撮影:通常価格+100円/1商品 高解像度画像(1500万画素):通常価格+330円/1カット 高解像度画像(2000万画素):通常価格+540円/1カット |
商品撮影を代行業者に依頼する場合、各社によってプラン料金がさまざまなため、「時間内無制限」や「カット数」など、目的に応じてコストを計算して選べるのが便利です。
遠方の場合は出張撮影に対応している業者が多く、商品を預けて未立会いで撮影してもらえる業者もあります。
1点あたりの相場は約500円~1,500円あたり、時間で料金が決まっている場合でもそれほど大きな料金差にはならないでしょう。
プロカメラマンに直接依頼する相場
福永 俊樹 | 500円/1点 |
谷崎春彦 T-Studio | 出張撮影:32,400円/~10点 スタジオ撮影:50,000円/150カット |
photomagic24 | Goodプラン(JPEG撮影):16,000円/2時間 Greatプラン(RAW撮影):28,000円/2時間 |
合同会社ミックスドスタイル | 15,000円/10商品2カット |
森 健児 | 30,000円/4商品 50,000円/雑誌表紙 50,000円/商品カタログ写真 |
プロのカメラマンに直接依頼する場合、こちらもプラン料金はさまざまです。
- リーズナブルな価格帯:19,500円
- 標準な価格帯:30,000円
- プレミアムな価格帯:52,300円
Meets Moreでは、平均相場が1商品あたり1,000円~3,500円、大まかな予算は19,500円~52,300円となっています。
依頼内容から柔軟に料金を見積もってもらえるケースもあるため、この点は代行業者にはないメリットでしょう。
参照:Meets More
商品写真は個人撮影と外注のどちらがおすすめ?
スマホ |
本格機材 (個人撮影) |
代行業者 (外注) |
プロカメラマン(外注) |
|
必要機材 | スマホ スマホスタンド 背景紙 |
カメラ カメラスタンド レンズ ストロボ ストロボスタンド アンブレラ(傘) トレーシングペーパー ライトスタンド カポック |
なし | なし |
費用 | 約10,000円 | 約500,000円~1,500,000円 | 1点あたり500円~1,500円ほど | 1点あたり1,000円~3,500円 |
メリット | ・コストが安い ・撮影も写真管理もスマホで完結できる ・持ち運びが楽 |
・長期になるほどコストが安い ・自由自在に写真を撮影できる |
・コストが安い ・写真のクオリティが高い ・対応できる写真の幅が広い |
・コストが安い ・写真のクオリティが高い ・対応できる写真の幅が広い ・代行業者よりも対応が柔軟なケースがある ・代行業者よりも料金が安いケースがある |
デメリット | ・写真のクオリティに限界がある ・商品によってはスマホで対応できない ・暗闇の撮影に弱い ・業務負担が増える ・勉強や練習が必要 |
・コストが高い ・機材選びが難しい ・業務負担が増える ・勉強や練習が必要 |
・業者によってプランや料金がピンキリ ・少ない枚数の依頼は割高になりやすい |
・少ない枚数の依頼は割高になりやすい ・実績が低いと依頼しずらい ・個人で運営しているだけに割高なケースがある ・代行業者よりも相場の波が激しい |
最終的に商品写真をどのように準備するのかは、運営者によってかなり答えが変わりそうです。
個人撮影の場合、スマホも本格機材もメリットとデメリットが極端なため、ECショップの運営状況と予算がまずポイントになりそうですね。
それに対して外注は、必要な商品写真の枚数分だけにコストを抑えることができ、さらにプロが撮影する写真なのでクオリティも約束されています。
このように比較すると、個人撮影にこだわりがないのであれば、外注を試してみるのがいいかもしれません。
まとめ
商品写真を個人撮影する場合は、撮影方法のポイントだけではなく、機材にどこまでのコストをかけるのかも合わせて考えていく必要があります。
カメラの機材は種類が多い上に価格がピンキリなので、これが初心者にとって難易度が高く感じる要因にもなっています。
自社で商品写真を準備するのが難しいときは、商品写真代行業者やプロカメラマンへの依頼を検討してみてはいかがでしょうか。