KPIはWebマーケティング用語として一般的に使われますが、わからない人もいることでしょう。
そこでここでは、『そもそもKPIとは?』ということや、『正しい目標設定の方法』『KPI達成のために重要なこと』などをまとめました。
いずれもECサイトオーナーに役立つ内容ですから、これからサイト運営を成功させたい人は是非この続きをお読みください。
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そもそもKPIとは
KPIとは英語のKey Performance Indicatorの略で、日本語だと『重要業績評価指標』という意味ですからECサイト運営に当てはめると
最終的な目標を達成するための具体的な指標
となります。
たとえば、『ECサイトの売上げ〇〇万円を達成したい』という目標があったとします。
そんなとき、毎日ただやみくもに頑張って行動したとしても、なかなか目標達成には至らないことが多々あります。
そこで、大目標を達成するためにより具体的で細かな小目標を設定し、それらをひとつずつ達成すべく現状をカイゼンしていく。
そのような、大目標を達成するための具体的で細かな小目標がKPIです。
ECサイトは、目標達成のために小さな改善をし続けなければなりません。
ですが、それらのカイゼンを単なる思いつきで進めてしまうと、上手くいった時やいかなくなった時に、その原因や理由が分からなくなります。
また、ECサイトは実店舗より多くのデータを蓄積しやすいので、逆にどの数値を見ていけば良いのか、どこからカイゼンをすべきなのかといった方針決めに迷いが生じることもあります。
そんな時にKPIをいくつか設定しておけば、カイゼンのための仮説を立てる指標となるのです。
現在進行中、もしくは今後進行予定のECサイト施策に対して大目標とそれを達成するためのKPIを決め、具体的にどう進めるかを可視化させること。
これにより、達成のための目的と手段を明確にし、業務を効率的に進めることができます。
KPIとKGI
KPIと似ているマーケティング用語にKGIというのがあります。
KGIはKey Goal Indicator、『重要目標達成指標』のことで、売上や利益率など、ECサイトで目指すべき最終ゴールを指す言葉。
ですから、前出の例でいうと『大目標』のことです。
一方のKPIは、KGIの達成度を測るために定められた小目標のこと。
ECサイトでの商品購入率(CVR)や来客数(UUやセッション)目標といった、KPIを一つずつ達成できれば、最終的にKGIが達成されるという関係性にあります。
ECサイトではなぜKPIが重要なのか?
KPIはECサイトの最終目標であるKGIをどの程度達成できているかを視覚化した指標です。
逆をいうと、KPIを設定することで大目標(KGI達成のために障害となっている部分)がわかりやすくなります。
つまり、現状の問題点をあぶりだすだけでなく、より具体的なカイゼン方法まで導き出すことができるということ。
なので、KPIの設定は、ECサイトのカイゼンだけでなく、どんなWebサイトの運用においても重要なのです。
というのも、KPIを設定しなければ、日々のECサイト運営が正しいのかどうか、またカイゼンの効果などをデータとして正確に分析することができません。
そうなると、個人の好みや信条、感覚的な判断、単なる個人的な仮説などで決めるしかなくなります。
これではビジネスとは言えません。
つまり、KPIを設定することは、ビジネスや顧客についての情報収集がスムーズになるだけでなく、それらのデータから得られる現場情報に基づく戦略的な決定ができるということ。
この、現場実践データを分析して得られる結果と、その後のカイゼン行動こそが、KPIで一番重要なのです。
KPIを設定すれば、現場実践データに基づいた正確なオンラインセールスを拡大する戦略を描くことができます。
それと同時に、今のECサイト運営のどこに問題があるのかを分析することもできます。
ECサイトでのKPIの基本項目4つ
ECサイトにおけるKPIの基本項目には、次のようなものが挙げられます。
- 基本項目① 訪問者数
- 基本項目② 回遊率
- 基本項目③ 客単価
- 基本項目④ 購入割合
それぞれの項目について詳しく解説します。
基本項目① 訪問者数
ECサイトでは、訪問数をKPIに設定します。
訪問数とは、自社のサイトに訪れてくれるユーザー数のことです。サイトに訪れて商品を見てくれる人は、KPIを設定するときに重要な指標になります。
訪問数が少ないということは、それだけ認知度が低いことが考えられます。訪問数を上げるために、WEB広告やモール出店の検討が必要です。
基本項目② 回遊率
回遊率とは、訪問してくれたユーザーがどれだけページを閲覧してくれたのかを示す指標です。
たとえ訪問数が増えたとしても回遊率が低い場合は、サイト内の状態に満足していないことが考えられます。サイト内の情報を整理したり、魅力的な商品画像に差し替えたりなどの対策が必要です。
基本的に、回遊率が高いほど顧客満足度が向上します。
基本項目③ 客単価
客単価とは1回あたりに購入した単価のことです。客単価が高いほど売上が向上するため、ビジネスでは重要視されています。
また、近年は客単価に加えて顧客生涯価値を考える企業も増えています。
顧客生涯価値とは、一生涯にわたって自社にどれだけのお金を落としてくれるかを測る指標です。
顧客生涯価値が高ければ安定した収益を実現できます。
基本項目④ 購入割合
購入割合とは、来店者数に占める商品購入者の割合を示す数値です。
ECサイトを改善して購入割合が向上すると、売上が伸びる可能性があります。
EC業界では、購入割合のことを「CVR(コンバージョンレート率)」と呼んでいます。
CVRとは、訪問者のうち、購入や問い合わせなど、最終成果に至った件数の割合です。CVRでページのパフォーマンス力を図れるため、CVRの指標から最優先で改善すべきページがわかります。
有効な施策には、サイト内の情報を整理したり設計を見直したりするなどがあります。
ECサイトのKPIを設定する際に重要なポイント
ECサイトにおける売上の構成比は
『ユーザー訪問者数』×『購入率(CVR)』×『客単価』
という方程式で成り立っています。
なので、ECサイトのKGIは『総売上』となることが多く、KPIのポイントとなるのは、
- ユーザー訪問者数
- 購入率(CVR)
- 客単価
の3つです。
たとえば、ECサイトに月間10万人が訪問し、CVRが2%、客単価が5000円なら、月間総売上げは1000万円になるということ。
このとき、『ユーザー訪問者数』『購入率(CVR)』『客単価』のいずれかがアップすれば、おのずと総売上げは高まります。
つまり、ECサイトにおけるマーケティング施策は、これら3つの数字を同時に高めていくカイゼンをすることに他なりません。
- 集客するための施策をして、サイトのユーザー訪問者を増やす
- 商品を購入しやすいサイトづくりにしてCVRを高める
- クロスセルやアップセル策などでユーザーの購入頻度を高めて客単価アップ
これらのカイゼンをし続けることで、目標とする総売上げを達成できるECサイトになっていくのです。
ECサイトのKPIを設定するには
ECサイトの総売上げ(KGI)を伸ばすには、前出の
- ユーザー訪問者数
- 購入率(CVR)
- 客単価
この3要素の数字の目標を決め、そのための具体的な小目標としてKPIを設定していくこと。
そしてKPIにおいては、
- いかに具体的に設定するか?
- 達成可能な最適数値に設定することができるか?
というのがECサイトの成功につながる重要ポイントです。
① ユーザー訪問者数
ユーザー訪問者数とは、ECサイトに訪問してくれる人の数です。
具体的にいうと
- PV数
- セッション数
- UU(ユニークユーザー)数
などになります。
ですから、まずはこのユーザー訪問者数を増やために、KPIを具体的に達成可能な最適数値を、目標スケジュールも含め細かく設定していきます。
そして、具体的なKPI達成のために
- SEO対策
- WEB広告
- アフィリエイト
- モール出店
などといった施策を施していきます。
このユーザー訪問者数とはサービスを見てくれる人ということですから、ECサイトだけ限らずすべてのビジネスモデルにおいて重要な指標です。
② 購入率(CVR)
ECサイトでカイゼン後に売上が爆発的に伸びる可能性があるのは、この『購入率(CVR)』の向上です。
たとえば、従来のCVRが1%なのを3%にカイゼンできたとすると、それだけで総売上げは3倍になるからです。
つまり、ECサイト運営においては、『CVR』を少しでも向上させるカイゼンは、常に意識しておかなければならない重要ポイントでもあります。
具体的には
- ユーザーが商品を購入するときの導線設計の見直し
- カゴ落ち防止
- 購入ボタンの色を変える
という具合に、地味な作業を続けてABテスト検証をすることなどです。
購入率に関しては、ECサイトのどの部分からの離脱が多いのかを分析し、カイゼンをしていく必要があります。
③ 客単価
ユーザーの購入単価の改善も、ECサイトにとっては重要なカイゼン項目です。
クロスセルやアップセル策など、一つの商品だけでなく複数の合わせ買いなどを働きかけるのが施策となります。
また、客単価の向上とはちょっと違いますが、『サブスクリプションモデル』を取り入れるのも有効な施策です。
というのも、最近は1回あたりの購入単価を向上させるだけでなく、ユーザーのライフタイムバリュー(LTV)を得ようとする企業が増えてきているからです。
いわゆる、1人のユーザーが優良顧客となり、生涯を通じて自社商品を購入してくれるのかを指標とするという戦略です。
PDCAでカイゼンを続ける
KPIを決めてカイゼン策を実行したら、今度はその結果を分析しなければなりません。
というのも、KPIはあくまで小目標を達成するための指標でしかないからです。
なので、KPIを達成するためには
- 仮説をたてる(Plan)
- カイゼン策を実施する(Do)
- 実施した施策の結果を測定する(Check)
- 再度仮説をたて、カイゼンしていく(Action)
というPDCAを常にまわし続ける必要があります。
これは、ただ目標をたてれば良いというのではなく、カイゼン・実施した施策がどのような結果になるかを把握し、更にカイゼンし続けることがKPIを達成するのには一番重要だからです。
とはいえ、このPDCAを効率よく続けるためには、かなりの労力と時間が必要です。
なので、プロのマーケティング会社に依頼をするなどの二人三脚でじっくりと確実に進めるのも良いでしょう。
というのも、自分目線では気がつかない第三者の目線によるカイゼンも、かなり有効な方法となるからです。
また、マーケティングのプロによる経営アドバイスは、何より心強く頼もしいものです。
特に、現状を打破したいときや、経営が行き詰まっているときなどは、最適なカイゼン策となることでしょう。
ECサイトにおけるKPI設置〜の流れ
KPIを設置してから、仮設検証するまでの流れは次のとおりです。
- KGIとKPIを設置する
- ユーザーシナリオの仮説をたてる
- PDCAサイクルで検証する
1. KGIとKPIを設置する
KGIとKPIを設置していくときは、次の項目を意識しましょう。
- 具体的であること
- 計測可能であること
- 達成可能であること
- 関連していること
- 期限が定められていること
たとえば、KGIを設置するときに、年間の総売上げ目標を1億円とする場合、その1億円という金額が本当に達成可能な数値でなければなりません。
夢の数字や希望的観測の目標ではなく、頑張れば達成可能な具体的な数値にすることが重要です。
また、KPIを設定するときも上記の5項目を意識して具体的に定めていきます。
このとき、フィードバックできない項目を設定してしまうと、PDCAによる継続や検証ができません。
なので、KPI項目はすべて具体的に達成可能な計測できる数値で設置しましょう。
2. ユーザーシナリオの仮説をたてる
KPIを設置していくためには、いくつかの仮説をたてる必要があります。
この仮説を立てずにKPIを設置してしまうのは、単なる目標設定にしかなりません。
なので、ユーザーの行動を予想した仮説をたてる必要があるのです。
ECサイトでターゲティングとするユーザー顧客に対し、集客から購買までの流れを考え、より具体的な仮説をたててKPIを設置しましょう。
3. PDCAサイクルで検証する
ユーザーシナリオに沿った仮説をたてたら、PDCAサイクルをまわして仮説を検証していきます。
それぞれ設置したKPI項目に合わせてPDCAサイクルをまわし、ECサイトに適した施策を細かく探っていく作業です。
たとえば、
コンテンツ数を増やしてSEO対策を行う
という施策をしたのにセッション数が増えないときは、コンテンツの質や量、ターゲットとするユーザーにマッチした内容なのかを確認していくということ。
そして、それらの項目ごろに一つずつ改善をして検証していきます。
このとき、コンテンツの内容を大幅に変更したらセッション数が伸びたのなら、コンテンツ内容カイゼン策が成功したとなります。
このように、仮説をたててPDCAサイクルをまわすことで、ECサイトに最適なKPI項目の検証ができます。
ECサイトにとって重要な正しいKPI
正しいKPIの設定をするためには次のような視点で一つずつ考えていきましょう。
顧客単価の改善
顧客単価が低い原因には、『売りたい商品が売れない』といったことが考えられますから、原因に合わせた仮説をたててカイゼン策を打ちましょう。
たとえば
『5,000円以上送料無料』
というカイゼン策はどうでしょうか?
4,500円の商品を買おうと思っていたユーザーは、『5000円以上で送料がおトクになるなら2つまとめて購入しよう』と検討するきっかけになるかもしれません。
あるいは、ある指定商品を購入したときは送料無料とし、それと同梱の商品はすべて送料無料にするカイゼン策はどうでしょう?
単独では買うつもりがなかったユーザーも、『指定商品を購入すれば送料が無料になるならお得』と感じて、購入してもらえるかもしれません。
また、購入してほしい商品を含むセット商品を作るというカイゼン策もあります。
このときのポイントは、セットのお得感を演出すること。
たとえば、3,000円の化粧品と2,000円のポーチをセットにし、おトクな4,500円のセットとするなど。
このように『まとめて購入したほうがお得感』を演出できればユーザーの購入動機となります。
また、ランキング形式で商品をオススメすると、ユーザーは無意識に真ん中のものを選ぶという傾向にあります。
なので、狙ったオススメ商品を真ん中にして、松竹梅のように違う価格帯の商品を並べて見せると購買意欲を高めることができます。
コンバージョン率(CVR)の改善
CVRが低い原因は、サイトに原因があることがほとんどです。
- 知りたい情報をスグにみつけにくい
- スマホやタブレットに対応できていない
- 購入時のフォーム入力項目が多い
といったことが考えられますから、思い切ってサイト全体を見直しましょう。
たとえば、
- トップページの改善
- サイトの動線を見直す
- ページの表示速度を上げる
といったことをKPIとしカイゼン策を施していきます。
特に、文字が多いとか、デザインがライバルと比べて見劣りするとか、商品画像がぼやけているといった見にくいECサイトは、ユーザーが直帰する原因です。
なので、ユーザーの目線に立って、見やすくリニューアルしましょう。
また、ネット検索や広告からユーザーがECサイトに訪問したとき、期待する内容スグに見つからない場合なども直帰の原因になりますから、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツを充実させることも大切です。
購買意欲の高いユーザーにアプローチする
たとえば、商品をたくさん見比べている購買意欲が高そうなユーザーに割引クーポンをプレゼントするとか、商品カゴに入れっぱなしのユーザーには、その在庫が少なくなったらメールで注意喚起をするといったアプローチも成約につなげることができます。
また、商品の魅力やブランドストーリーなどのこだわりを分かりやすく伝えるコンテンツにカイゼンすることも、ユーザーの共感を得られるようになります。
ユーザー数の改善
ECサイトのPV数やユニークユーザー数が低いときは、
- ECサイトの認知が広まっていない
- SEO対策が不十分
- コンテンツが不足している
などが考えられますから、最適なSEO対策を施してECサイトを上位表示させなければなりません。
SEO対策は成果が出るまでに時間はかかりますが、正しく行うと広告費をかけずに購買意欲の高いユニークユーザーを獲得できだけでなく、中長期的に効果を得られます。
また、短期間で多くのユーザーをECサイトに集めたいのなら、広告を出すという方法もあります。
ECサイトの有料広告には、リスティング、SNS広告、アフィリエイトなど多数ありますが、目的やターゲットユーザーに合わせて予算に見合ったものを検討しましょう。
なお、インスタグラムやツイッターなどのSNS発信に注力することも、新規ユーザー獲得につながります。
SNSの特性に合わせ、画像をメインとしたものや、テキストの読まれやすいもの、解説動画にするなどで、商品やブランドの魅力を伝えるなど、SNSユーザーの関心にマッチさせた投稿ができれば広くシェアされることもあります。
ECサイトでのKPI設定の例
- 月商:500万円
- 訪問者数:50,000人
- 購入割合(CVR):1%
- 平均客単価:5,000円
上記の状態で月商1,000万円を狙う場合、目標を達成するためには訪問者数や購入割合、客単価を見直す必要があります。
KPIのツリーマップを作成して、目標に到達するまでのプロセスや施策を可視化しましょう。
目標達成までに自社で何をすべきなのか明確になるため、実行に移しやすくなります。
まとめ:ECサイトにとって重要なKPIとは?正しい目標設定について徹底解説
KPIは、ECサイトが現在どんな状態にあるのか、また現時点で目標とするゴールは何なのかによって施策が異なります。
つまり、KPIを設定すれば、現状のECサイトの課題点をピンポイントで見つけやすくなるのです。
ですから、現時点での目標を明確にするためにも、場合によってはプロの力を借りつつ最適なKPIを設定し、ECサイトのカイゼンと運営をしていきましょう。
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