デジタル化が進んでいることや消費者の行動の変化などを背景として、D2Cの商品開発に挑む企業が増えています。
しかし、正しい方法や適切なポイントをおさえないと、D2Cの商品開発に取り組んでも成果につながらない恐れがあります。
そこで、本記事ではD2Cの定義を解説したうえで、実施すべきことや抑えるべきポイントなどを解説します。
本記事を読めばD2Cビジネスについて理解が深まるため、ぜひ参考にしてください。
Contents
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D2Cとは?
D2Cとは、「Direct to Consumer」の略した言葉です。
商品およびサービスを開発しているメーカーが店舗販売・代理店・仲介業者を介さずに直接消費者に販売することを意味します。
D2Cを実践する際には、Shopifyを始めとするECサイトを活用するのが一般的です。
コロナウイルスの流行やインターネットの普及によって、店舗ではなくECサイトから商品およびサービスを購入する顧客が増えています。
そのため、現代では多くの企業がECサイトを使った販売を行っています。
商品開発とは?
商品開発とは、「商品やサービスを作り出すこと」を意味します。
商品開発には、主に以下の2パターンが存在します。
- 新たな商品およびサービスの開発
消費者の趣向の変化やトレンドなどに基づいて新たな商品およびサービスを開発する。
- 既存商品・サービスの改良
既に販売している商品およびサービスを新商品へと改良する。
新商品を開発する際には、既存商品に関する評判や不満を収集し、消費者のニーズを探ります。
企業にとって良い商品・サービスを作るのではなく、消費者の顕在的・潜在的な悩みや困りごとを解消できる商品およびサービスを開発する点がポイントです。
また、既存商品・サービスの改良では、競合を徹底的にリサーチし差別化を図ります。
競合よりも価格を安くする・競合にはない機能を追加して付加価値をつける、といった方法でより魅力的な商品およびサービスに刷新するのです。
商品開発と混同しやすい用語として、「商品企画」があります。商品企画は新たな商品をゼロから企画することを指し、商品開発は商品企画に基づいて商品やサービスを形にすることを指します。
D2Cビジネスの商品開発で実施すること
D2Cビジネスを実践したいものの、具体的なフローが分からないと感じている人もいるでしょう。
適切な流れでD2Cビジネスを展開しないと、売上向上などの成果につながらない恐れがあります。
ここでは、D2Cビジネスの商品開発を行う際に実施すべき以下の7つの工程を紹介します。
- 企画
- 市場のトレンド・商材の情報収集
- 競合調査・分析
- 市場調査・分析
- 商品の訴求ポイント・特徴を決定
- ブランドコンセプト&ペルソナの決定
- 財務シミュレーションの作成
上記の流れに則って商品開発を進めることで、効率的にD2Cビジネスを展開できて、売上向上につながります。
企画
はじめに、商品の企画を考えます。市場に新しい商品やサービスを提供するにあたり、商品・サービスのイメージを具体化するのです。例えば、以下の項目について具体的に決めていきます。
- どのような機能を搭載するか
- どのようなデザインを施すか
- 販売価格はいくらにするか
抽象的ではなく具体的に企画を進めることで、その後の商品開発をスムーズに進められるでしょう。
市場のトレンド・商材の情報収集
続いて、市場のトレンドや商材に関するリサーチを行います。
自社で企画した商品やサービスに関わりのある市場領域や商材の特徴について情報収集します。
例えば、ファッション関連の商品を開発する場合、以下の項目についてリサーチすると良いでしょう。
- 市場ではどのようなファッションが流行しているか
- 市場ではどのようなファッション関連の商品が売れているか
- ファッションに関して消費者がどのような悩みを抱えているか
- 消費者はどのような商品を求めているか
上記の項目について深く調べることで、市場の動向や商材について理解が深まり、自社商品の開発に活かせます。
競合調査・分析
市場のトレンドや商材のリサーチができたら、競合の調査や分析に移ります。
自社が開発しようとしている商品およびサービスに似通ったものをすでに販売している企業を洗い出し、調査・分析していきましょう。
具体的には、以下の内容について調べると良いです。
- 競合の商品にはどのような特徴があるか
- 競合の商品にはどのようなベネフィットがあるか
- 競合の商品はどのような価格帯で販売されているか
- 競合の商品のなかでも特に売れているものはどのような商品か
- 競合は商品をどのような方法で販売しているか
- 競合はどのようなECサイトを活用しているか
- 競合の商品は消費者からどのような評判を集めているか
- 競合の商品に対して消費者はどのような不満を抱いているか
上記について調べれば、自社商品が競合とどのように差別化を図れるか考えやすくなります。
市場調査・分析
次に、市場の調査や分析に着手します。競合の調査を踏まえ、あらためて市場調査や分析を行っていきましょう。
消費者が抱えている悩みや困りごと・ニーズを把握したうえで、競合の商品ではなぜ解消できていないのか考えましょう。
この工程を踏むことで、競合の商品やサービスでは解決できない消費者の悩みに寄り添った商品開発ができるようになります。
商品の訴求ポイント・特徴を決定
市場のトレンド・競合などの調査や分析が終わったら、いよいよ自社商品について考えていきます。
自社商品が顧客に対しどのような訴求をするのか・どのような特徴を持った商品を開発するのか決めていきましょう。
既に市場にある商品やサービスに似通ったものを開発しても、高い売り上げを得ることはできません。
競合にはなく、消費者のニーズにあった訴求ポイントや特徴を決定していきましょう。
ブランドコンセプト&ペルソナの決定
次に、ブランドのコンセプトやペルソナを決めていきます。
ブランドコンセプトとは、「顧客に対しどのような価値を提供できる商品・サービスなのか」を言語化したものです。
この際、曖昧なコンセプトや分かりにくいコンセプトでは顧客に価値を伝えることができません。
具体的かつ端的なコンセプトを考えていきましょう。ブランドコンセプトを考える際には、以下の工程で進めるのがおすすめです。
- 市場の現状を分析する
自社ブランドが目指しているマーケットでの立ち位置を明確化したうえで、現状の市場で実現可能か判断する。
- ターゲット・ペルソナを設定する
商品やサービスを購入するターゲット像・ペルソナ像を決める。
- ターゲット・ペルソナに提供する価値を具体化する
ターゲットやペルソナにどのような価値を提供するか、競合とはどのような違いがあるのか言葉にする。
- ブランドコンセプトを言語化する
ブランドコンセプトを端的で分かりやすく印象に残りやすい言葉で表現する。
- ブランドコンセプトの推敲
ブランドコンセプトによって自社らしさが感じられるか、顧客に価値が伝わりやすいか、印象に残りやすい文言か、といったことを改めて考えて推敲する。
なお、ターゲットとペルソナの違いは以下のとおりです。
- ターゲット:自社が訴求すべき実存する集団の性別・年齢層・居住地・消費動向・悩みなどを絞り込む
- ペルソナ:自社の商品およびサービスを利用するであろう消費者像を細かく設定する
また、実際に使われているブランドコンセプトの例として、以下の3つを紹介します。
高齢者向け住宅「銀木犀」
公式サイト 銀木犀
ブランドコンセプト:自分の力で最期まで生きる場所
食器を商品として取り扱っている「バーミキュラー」
公式サイト バーミキュラー
ブランドコンセプト:暮らしをかえる鍋
大手カフェチェーン店である「スターバックス」
公式サイト スターバックス
ブランドコンセプト:サードプレイス
上記の例を参考にして、自社にぴったりなブランドコンセプトを作成してください。
財務シミュレーションの作成
最後に、財務シミュレーションを作成しましょう。
財務シミュレーションとは、商品の開発や流通にかかるコストや収益構造に関するシミュレーションです。
どれだけ売れる商品だとしても、開発コストがかかり過ぎるようでは利益が少なくなってしまいます。
また、収益構造を明確化することで、商品販売を行う前から売り上げの予測を立てやすくなるでしょう。
D2Cの商品開発で押さえるべきポイント
D2Cの商品開発を成功させるためには、以下の6つのポイントを抑える必要があります。
- 商品開発の目的・ゴールを明確にする
- 生の声を聞く(一次情報を求める)
- 顧客視点で考える
- 競合との差別化
- 市場投下後も改善を繰り返す
- 共感を得られる商品の企画
それぞれのポイントについて詳しく開発するため、商品開発に取り組む際にお役立てください。
D2Cの商品開発のポイント1.商品開発の目的・ゴールを明確にする
目的やゴールを決めずに商品開発に取り組んでしまうと、何のために商品開発を行うのか不明確になります。結果として、軸がブレて誰にも刺さらない商品を開発してしまいかねません。
目的やゴールを決める際には、以下の3つの切り口から考えていきましょう。
- 消費者目線での目的・ゴール
商品やサービスを購入することで、消費者にとってどのような利益があるか考える。
- 企業視点での目的・ゴール
自社がなにを目的として商品開発を行うか考える。
- 社会貢献に関する目的・ゴール
自社製品の開発によってどのように社会貢献ができるか考える。
とくに企業視点での目的・ゴールに関しては、企業によって多種多様です。
例えば、以下のような目的・ゴールが考えられます。
- 新たな事業を立ち上げで企業の売り上げを向上させたい
- 赤字の既存事業を黒字化したい
- 自社ブランドでのビジネスを初めて下請けから脱したい
自社の現状や課題から、どのような目的・ゴールを設定するか考えましょう。
D2Cの商品開発のポイント2.生の声を聞く(一次情報を求める)
商品開発をするうえで、一次情報を集めることはとても重要です。
一次情報とは、「オリジナルな情報」のことを指し、経験に基づく消費者の生の声が該当します。
例えば、ファッション関連の商品を開発するのであれば、ファッションに関する悩みや困りごとを消費者から直接聞くと良いでしょう。また、競合の商品を利用している消費者の声を聞くのも有効です。
特典付きのアンケートなどを実施すれば、効率的に消費者の生の声を集めやすくなります。消費者の生の声を収集できたら、商品開発に存分に活かしましょう。
D2Cの商品開発のポイント3.顧客視点で考える
商品を開発する際に、自社目線での考えが先行し顧客視点が欠けてしまうケースも少なくありません。
自社がどれだけ良い商品およびサービスを開発できたと思っても、顧客のニーズに応えられなければ売上には繋がらないでしょう。
そのため、商品開発の際には顧客視点で考えることがとても重要です。
顧客が抱えている悩みや課題を踏まえて、ニーズに沿った商品開発をしましょう。
商品開発だけでなく、売り方も顧客視点で考える必要があります。
自社にとっての使いやすさよりも顧客にとって使いやすいECプラットフォームで販売することで、結果として商品やサービスが売れやすくなります。
D2Cの商品開発のポイント4.競合との差別化
開発した商品によって高い売り上げを出すためには、競合との差別化が欠かせません。
競合と似通った商品やサービスを開発しても、なかなか売れないでしょう。
なぜなら、消費者は使い慣れた商品やサービスを購入する方が安心できるからです。
競合に勝つためには、以下のうち複数の項目で差別化を図りましょう。
- 商品の価格
- 商品の機能
- 商品のデザイン
- 商品のベネフィット
- 商品の販売方法
- 商品のPR方法
消費者が「競合にはない魅力のある商品だ」と感じることで、商品やサービスがたくさん購入されるようになるでしょう。
D2Cの商品開発のポイント5.市場投下後も改善を繰り返す
商品開発をして市場で販売し出してからも、改善や改良を繰り返す必要があります。
この際、PDCAサイクルを意識すると良いでしょう。PDCAサイクルとは、以下の4つのサイクルを繰り返すことを指します。
- P(プラン):商品開発や販売の計画を建てる
- D(行動):立案した計画を実行に移す
- C(評価):商品やサービスの売れ行きを効果測定する
- A(改善):効果測定を踏まえて商品やサービスを改良・改善する
PDCAサイクルを高速で回すことによって、市場投下後も商品やサービスの売り上げが向上し続けるでしょう。
反対に、販売を始めてから効果測定などの業務を怠ってしまうと、最初は順調に売れていても時間の経過につれて売り上げが下がる恐れがあります。
D2Cの商品開発のポイント6.共感を得られる商品の企画
商品を開発する際には、消費者から共感を得られる設計にする必要があります。消費者に共感される仕組みづくりのことを「共感マーケティング」と呼びます。
企業が商品やサービスを開発するうえで大切にしている理念や、ブランドコンセプトに消費者が共感すれば、購入に至る可能性が高まります。
例えば無印良品では、省資源・低価格・シンプル・自然志向といった特性が消費者から高い共感を得ています。
そのほかにも、Apple社においても創業に込めた想いや製品開発をするうえでの苦労、多くの挑戦や失敗、といったストーリーが消費者の共感を呼び寄せ、高い売り上げを出しているのです。
まとめ:D2Cの商品開発で押さえるべきポイントは6つ!~成功の鍵を握る商品開発~
店舗や代理店を介さずに商品やサービスを販売するD2Cビジネスは、消費者の行動変化やデジタル化などにより注目を集めています。
D2Cの商品開発を行う際には、「企画→市場のトレンド・商材の情報収集→→競合調査・分析→市場調査・分析→商品の訴求ポイント・特徴を決定→ブランドコンセプト&ペルソナの決定→財務シミュレーションの作成」といった順番で進めましょう。
D2Cで商品を販売する際には、ECサイトの活用が有効です。数あるECサイトのなかでも、世界で数百万のショップ開設実績を誇るShopifyを利用するのがおすすめです。
また、顧客視点で考えることや競合との差別化を徹底するなどの6つのポイントを抑えることで、高い売り上げを達成しやすくなります。
ぜひ、本記事を参考にしてD2Cの商品開発を成功させてください。
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