近年の日本におけるインバウンド需要などを考えると、越境ECにより日本製品を販売することで利益を上げられる企業が増えてきています。これは、会社などの事業者だけではなく個人であっても同様です。
越境ECは企業の事業のように思われがちですが、個人でも行うことでができるので、サラリーマン以上の収入を得ることは十分可能です。
こちらの記事では、個人で出来る越境ECの実践手順や、越境ECにおける助成金に関する情報などを紹介していきます。
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越境ECは個人でも始められる
個人販売の越境ECでよく耳にするのは、アマゾン輸出・ebay輸出などです。
個人でも、日本の商品を海外に販売するという「輸出販売」を副業や事業の一つにしている人は数多く存在しています。ただし、事業者が越境ECに参入するのと個人が参入するのとでは、かけられる費用や方法が異なるため、売り上げ金額は大きく違うことも事実です。
では、個人で越境ECを行うには、どのように始めれば良いのでしょうか?
個人で越境ECを行うメリット・デメリット
越境ECを実施する場合、企業はさまざまなメリットが得られます。しかし、越境ECの利用にはデメリットがあるため注意しなければいけません。個人で越境ECを実施するメリットとデメリットには、次のようなものがあります。
・国内ECより市場規模が大きい
・世界で日本製商品の需要が向上
・販売先の言葉や文化の理解が必要
・高い配送コストがかかる場合がある
それぞれの項目を確認していきましょう。
メリット①国内ECより市場規模が大きい
近年、日本は少子高齢化が進んでおり、人口が減少傾向にあります。多くの企業はマーケットを広げるためにビジネスのグローバル化を目指す場合も少なくありません。
越境ECは国内ECより市場規模が大きいため、より多くの消費者にブランドを知ってもらえたり商品を購入してもらったりできます。
メリット②世界で日本製商品の需要が向上
2020年より感染が拡大した新型コロナウイルスにより、日本に来られない外国人が増えています。そのため、日本でしか手に入らない日本製商品の需要が高まっているのです。
このタイミングで海外にビジネスを展開することで、売り上げの向上や新規顧客の獲得が期待できるでしょう。
デメリット①販売先の言葉や文化の理解が必要
基本的なこととして、海外にビジネスを展開するときは販売先の言葉や文化を理解することが大切です。
特に、初めて商品を購入するときは、お客様から商品に関する問い合わせが来ることもあります。このような場合は、お客様の言葉をきちんと理解していないと正しく対応することができません。
デメリット②高い配送コストがかかる場合がある
国内に比べると、海外に商品を配送するとなると高いコストがかかります。また、越境ECは外貨決済になるため為替の変動を受けやすいです。
為替変動のリスクを考慮して利用するか検討する必要があるでしょう。
個人で越境ECを始める売り方とは
個人で越境ECを始めるには「Amazonなどのモール型サイトに出店する方法」と「独自ドメインで自社サイトを構築する方法」があります。
そのなかでも大きく分けて4つの方法があります。
- 海外のECモールを利用する
- 海外販売に対応した日本のECモールを利用する
- 海外で自社サイトを開設する
- 日本国内で海外向けに自社サイトを開設する
こちらの4つを順番に説明していきます。
①海外のECモールを利用する
こちらは個人で行う越境EC初心者にとっては一番ハードルが低く、販売がしやすい方法です。なぜECモールでの販売がしやすいかというと、そのプラットフォーム自体に集客力があり、すでに売る体制が整っているからです。
売りやすいプラットフォームは、たとえば欧米向けではamazon.com、ebay(イーベイ)、中国向けなら天猫などです。
ただし、モールに依存する形になるため、モールの出店料や手数料などの費用がかかることを考慮しておかなかればなりません。
②海外販売に対応した日本のECモールを利用する
海外での販売に対応した日本国内のECモールを利用すれば、国内販売をしていた延長線上で、海外にも販売できるようなります。
日本語が自動翻訳されたり、越境ECに必要な流れが整っているため初心者でも簡単に始めることができます。ただし、まずは日本国内のECモールに登録する必要があります。
③海外で自社サイトを開設する
海外でサーバーをレンタルし、ECサイトを開設するという方法です。ただし、対象国の法律・言語などに従わなければならず、自力での集客をする必要があったり、独自ドメインなどを習得する必要があったりします。
この方法は、海外の消費者から見ると現地の事業者が展開しているECサイトと何も変わらないように見えますが、個人で参入する場合には大変ハードルが高いといえます。
④日本国内で海外向けに自社サイトを開設する
海外で自社サイトを開設する方法より、参入者側のハードルは高くありません。しかし先ほどと同様、実際に海外の購入者の目に触れるようにするためには、さまざまな努力や工夫が必要となります。
そんな時には、越境ECショッピングカートASPを利用すると便利です。
以下のプラットフォームは多言語で対応しており、操作が簡単なので、個人で越境ECサイトを構築したい人にピッタリの越境ECショッピングカートASPです。
ショッピングモールは売上の10~15%程度かかりますが、自分独自のサイトで商品を売る場合には、決済手数料のみ5%程度の手数料のみで済みます。
個人で越境ECを始める手順
では、次に実際に個人で越境ECを始める流れをお伝えします。
- 商品が販売可能か確認する
- 配送手段を確保する
- ECサイトの構築またはECモール出店の準備をする
このような流れになります。
越境ECで気をつけるポイントも踏まえて、事前に確認しておきましょう。
商品が販売可能か確認する
越境ECで販売予定の商品は、「海外では販売可能なのか」という点を事前に確認しておく必要があります。販売する国によって法律・規制などが異なるからです。
日本では販売可能な商品でも、対象国では違法というケースがあります。税関手続きに関する相談は、事前に各地の税関相談官室などに問い合わせておくとよいでしょう。
配送手段を確保する
越境ECを行うためには、販売した商品を海外の購入者のもとへ届ける配送手段を確保しなくてはなりません。
発送量が増えれば、配送を専門に行っている配送キャリアと個別契約をした方が配送料が抑えられます。日本郵便の国際郵便はサービスが充実していて、配送料が安く簡単に利用することができます。
ECサイトの構築またはECモール出店の準備をする
全ての準備が整ったら、ECサイトの構築やECモールに出店するための申し込みを行います。
言語に関しては、当然のことながら対象国の言葉に合わせなければなりません。自動翻訳では不十分であるため、サイト構築が困難な場合は代行業者に依頼すると良いでしょう。
決済に関しては、外貨決済するための代行業者を選定したり、為替変動で損をしない日本円建て決済を検討したりする必要があります。
個人で越境ECを始めるための簡単な手順を解説しました。さまざまな準備が完了すれば、海外に向けた商品の販売が可能になります。
ドロップシッピングを使えば無在庫でも越境ECができる
ドロップシッピング(=Drop Shipping)とは、自分で商品の仕入れをしなくても、ドロップシッピングサイトがメーカーなどから購入者の元に直接発送(直送)をしてくれるシステムのことをいいます。ドロップシッピングはネットショップに該当します。
簡単にいえば、無在庫でネットショップを開業することができる手法です。
ネットショップとの違い
一般的なネットショップと大きく異なるのは、「在庫を抱えているか否か」です。
ネットショップ販売では、自分で在庫をピックアップ、梱包作業と納品書などの書類をまとめ、自社の在庫から発送手続きに入ります。対してドロップシッピングでは、その手間をドロップシッピングサイトが全て行ってくれます。
実際の商品の流れとしては、「先に商品が売れて、その後に仕入れと発送が行われる」とイメージです。
個人で越境ECを成功させるためのポイント
越境ECによりマーケットを海外に広げることで、さまざまなメリットを得られます。しかし、日本と同じように自社商品を販売してしまうと、失敗する可能性もあるため注意しなければいけません。
個人で越境ECを成功させるために押さえておきたいポイントには、次のようなものがあります。
- 販売先に応じて多言語に対応する
- 商品に対する海外ニーズを調査する
- 販売先に応じた決済方法を決める
- 問い合わせ対応を充実させる
それぞれのポイントを確認していきましょう。
ポイント①販売先に応じて多言語に対応する
当然のことながら、海外に商品を販売するときは販売先の言語に合わせる必要があります。ほとんどの場合は、英語に設定するのが一般的です。
しかし、販売先によっては英語以外の言語に設定しなければいけない場合があります。また、言語を決定したら、次は自社サイトやコンテンツの内容を翻訳しなければいけません。翻訳には時間がかかることも多いため、早めに準備を進めましょう。
ポイント②商品に対する海外ニーズを調査する
自社の商品が日本で売れたからといって、そのまま海外で売れるわけではありません。日本と海外では商品に求めるニーズが異なる場合も多いです。
そのため、商品を海外で売り始めるときは、外国でニーズがあるのか事前に調査する必要があります。例えば、販売先を決めるときはアンケート調査や店舗調査などを実施して、どのくらいの利益が見込めそうか把握することが大切です。
ポイント③販売先に応じた決済方法を決める
販売先が決まったら、どのような決済方法を選ぶかが重要な課題になります。決済方法を豊富に揃えるだけでなく、販売先に合わせて選ぶことが大切です。
例えば、販売先が先進国であれば、クレジットカードの決済のみでも問題ないでしょう。
しかし、クレジットカードだけでなく銀行振込など現地に適した決済方法を用意しなければいけないこともあります。個人で越境ECを利用するときは販売先に応じて適切な決済方法を選びましょう。
ポイント④問い合わせ対応を充実させる
海外でもは日本の商品に対して品質が高いといったイメージがあるため、安心して購入するお客様も多いようです。しかし、初めて日本の商品を購入する海外のお客様は購入に不安を感じる方も少なくありません。 この結果、商品に対する問い合わせが多くなることがあるのです。
問い合わせは、メールやチャットボットなど様々な方法があります。幅広いお客様に対応するためにも問い合わせ方法を充実させましょう。
ドロップシッピングのメリット・デメリット
ドロップシッピングを始める前に、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておく必要があります。その上で、ドロップシッピングが自分に合っているかどうかを判断しましょう。
ドロップシッピングのメリット
- コストがかからずリスクが少ない
- ネットショップの運営を学ぶには最適
一番のメリットは、在庫を持つ必要がないので、仕入れにコストがかからないという点です。購入が確定してから仕入れ・支払いが発生する仕組みなので、赤字になりにくいという点が最大のメリットと言えるでしょう。
また、ドロップシッピングサイトでは、消費者からの問い合わせやクレーム・返品対応まで請け負ってくれるところもあるため、手間がかかりません。
どんな商品がどのくらいの金額で売れるのか、いま何が流行っているのかなど、一般的なネットショップ運営に関する知識を学ぶことができる点もドロップシッピングの魅力です。
ドロップシッピングのデメリット
- 競合が多いため利益率が低い
- 商品への知見を深めにくい
ドロップシッピングができる商品は限られており、基本的に仕入れ価格は固定されています。また、扱える商品にはライバルが多くいるため、利益率が低くなります。
また、実際に商品を手にとって確認することがないため、商品説明や購入者からの問い合わせに関して答えられない部分での難しさもあります。
以上のように、ドロップシッピングにはネットショップとは違ったメリットやデメリットがあります。
国内販売と海外販売の比較
海外販売は世界中の人が対象になり、国内通販よりも競合サイトが圧倒的に少ないため、ブランディングしやすく利益を確保しやすい場合があります。
ここからは、国内販売と海外販売を比較してみましょう。
発送の際に関税がかかる
海外販売は、国内発送とは違って商品に関税がかかります。商品の発送時にはインボイスを一緒に付ける必要があります。
インボイスとは、日本の商品を海外に送るときに税関の申告などの際に必要な書類のことで、発送した相手国での輸入通関をする際に確認されるものです。
各国の税関では、商品の種類や通関手続きに応じた独自の輸出入手数料を設定する権限があります。
また、各国の法規制により、国際郵便で発送できない商品があったり輸出入が制限または禁止されている品物が存在します。
配送コストと到着までの日数の違い
日本国内は即日発送が可能で、すぐに商品が手元に届きますが、海外に商品を送るには配送コストが高くなり、到着日数が長くなります。
商品を送る国までの距離や、配送方法で配送料金や到着時間が大幅に変わります。
売れ筋商品の違い
インバウンドにおいてもいえることですが、商品を販売する国や地域によって、売れ筋商品はそれぞれ異なります。
たとえば、中国では家電やコスメ、医薬品といった工業製品の需要が高い傾向があります。また、洋服・アクセサリーなどのアパレル関連商品も人気です。
一方、欧米では日本文化に関連した商品が売れ筋商品となっており、国によって人気商品がそれぞれに違うことがわかります。
また、日本の商品は海外の消費者からすると、文化の違いから理解できない用途だったり、別の捉え方をして使用される場合もあります。
商品代金の決済方法の違い
海外向けの販売では国ごとに法定通貨が異なるため、決済通貨が変わります。また、それぞれの国ごとに主流となっている決済方法が異なります。
例えば、米国ではクレジットカードがメインで使用されますが、中国ではクレジットカードより電子決済Alipay(アリペイ)やWeChat Pay(ウィーチャット)が主流となっています。
このように、言語が違うことはもちろんのこと、日本国内では当たり前の販売方法が海外販売では大きく異なる場合があります。
IT補助金を活用すれば安価で越境ECを制作できる
経済産業省主導の『IT導入補助金』は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツール(越境ECサイトShopifyやMagento、ソフトウエア、ITサービスなど)を導入する経費の一部を補助することで、事業者の業務効率化・売上アップをサポートするものです。
目的は、業務プロセスを改善・効率化し、生産性を向上させることで、被用者保険の適用拡大やインボイス導入といった制度変更に、中小企業・小規模事業者が対応できるようにすることを目指してきます。
このIT導入補助金には、「通常コース」と「新型コロナウイルス感染症の特例コース」の2コースがあります。
IT導入補助金2020 通常枠(A類型・B類型)
通常枠(A類型・B類型)は、ITツールを導入するための費用の一部を支援する補助金制度です。
通常枠(A類型・B類型)の具体的な内容は以下の通りです。
- 費用の1/2、最大450万円を補助
- 様々な業種・組織形態に対応
- 自社の課題にあったITツールが導入できる
- 「IT導入支援事業者」が申請・手続きをサポート
詳しくは、IT導入補助金 通常枠(A類型・B類型)をご確認ください。
IT導入補助金2020 特別枠(C類型)
IT導入補助金 特別枠(C類型)は、新型コロナ感染症が事業環境に与えた影響への事業者によるIT導入を優先的に支援する為に導入されたものです。
この「特別枠」は「通常枠」と比べると、越境ECサイト構築にとても利用しやすい補助金制度となっています。
特別枠(C類型)の具体的な内容は以下の通りです。
- 補助率が最大3/4に拡充(最大450万円を補助)
- PC・タブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象
- 公募前に購入したITツール等についても補助金の対象
(※審査等、一定の条件あり)
たとえば、越境ECサイト制作費600万円のうち450万円(補助率3/4)の補助まで可能です。こちらは、採択されてからの契約となるので、リスクがないため大変有利な補助金となっています。
詳しくは、IT導入補助金 特別枠(C類型)をご確認ください。
まとめ:【プロ直伝】個人で出来る越境ECの実践手順と成功のためのポイント!
今回は海外向けネットショップを始めたいと考えている方のために、個人でも始められる越境ECの基本について解説しました。
越境EC市場は拡大が続いており、個人で輸出に対してのハードルも低くなりつつあります。そのため、個人ビジネスで越境ECに取り組み売上を伸ばすことは、それほど難しいことではなくチャンスなのかもしれません。
越境ECに興味がある人は『IT導入補助金』なども上手に利用して、ぜひ越境EC市場に挑戦してみてください。
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